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[Fリーグ]首位・町田の新守護神イゴール「まだまだ、これからです」

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 好スタートを切った。昨季まで3季連続で下位に沈んでいたペスカドーラ町田のことだ。開幕2節を1勝1分で終え、湘南ベルマーレ(Fリーグ)と並び、首位に立っている。その原動力となっているのが、シュライカー大阪から加入したGKイゴールだろう。開幕戦で対戦した北海道のFP水上玄太は「イゴールというブランドにやられた」と話すほど、その存在感は絶大だ。

 ただし、開幕前にケガをしていたイゴールは、まだまだ万全の状態ではないという。「もう痛みはなくなりましたが、状態としては70~75%くらいですね。コミュニケーションの部分やカバーリングのタイミングといった連係面も、まだチームと合わせることができていません。自分でも『出足が遅いな』と感じているようにゲーム感覚も、まだまだこれからです。2か月、3か月経てば、フィジカルも上がってくると思います」と、最高の状態になるまでは、もう少しかかると話している。

 前所属の大阪は、一昨年、昨季と2年連続で準優勝だった。タイトルを目指すためには、過去3年の成績が9位、7位、8位だった町田に移籍するよりも、大阪に残った方が良かったのではないか。新天地を求めた理由について、イゴールは「今までと違う、新しい挑戦をしたかった」と説明する。

「町田からオファーをもらって、その内容が良かったこと、町田のチームの方向性を聞き、感銘を受けたことも理由です。それに選手として、今までと違う、新しい挑戦をしたいという気持ちもありました。同じところにいると、どこかでぬるま湯に浸かるようになってしまうというか、その環境に慣れてしまうことがあります。それを払しょくしたかった。『ずっと同じ環境でやっていていいのか?』と自問自答する中で『もっともっと成長したい』『新しい環境で、新しいモノを吸収して、もっと良いGKになりたい』。それができるのが、町田だと思い、移籍を決断しました」

 下位に低迷する時期が続いたとはいえ、町田には技術の高い選手がそろう。イゴールも、それは感じ取っている。「あらためて選手個々の技術の高さは感じています。特に日本のフットサル選手はボールを持つと、まずパスを考えて、横を向いてしまう。でも、町田の選手はゴールに向かう意識の強い選手が多い」と、チームの長所を語る。さらに課題にも目を向けた。「僕は相手との1対1が得意ですし、ストロングポイントです。でも、GKと相手選手が1対1になる回数は、昨年より減らしてもらわないといけません。声を掛けて、DFを修正してやっていきたいと思います」。

 ミックスゾーンでは、「間違えると恥ずかしいから」との理由で、ポルトガル語の堪能な関野淳太監督を通訳に喋るイゴール。それでも、ピッチ内では問題なく日本語で指示を出せているという。個の力でも、守備組織をつくるという点でも、日本で5年目のシーズンを迎える守護神は、初のプレーオフ進出を目指すチームのカギを握りそうだ。

「僕も、ほかの選手たちも、町田のプレーオフ進出を信じて疑っていません。長いシーズン何があるか分かりませんが、日々、少しずつ、少しずつ成長していくこと。同時に試合に勝って、チームが勝者のメンタリティを付けることも重要です。内容はともかく、勝たなければいけないことも出てくると思うので、そういうところにこだわってやっていきたいと思います」

 そのフィード能力の高さで、チームの持ち味でもある攻撃力もさらに高めているFリーグ最強の守護神が、2節を終えて首位に立った町田をどんなチームに変えていくか。今後も目が離せない。

(取材・文 河合拓)

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