beacon

[ユニバーシアード]粘り強さ、したたかさ発揮する日本、“本気”の南米勢も撃破

このエントリーをはてなブックマークに追加

[7.10 ユニバーシアードGL第3戦 日本1-0ウルグアイ ロシア]

 ユニバーシアード日本代表は10日、第27回ユニバーシアード競技大会(ロシア・カザン)グループリーグ最終戦でウルグアイと対戦し、MF茶島雄介(東京学芸大4年=広島ユース、サンフレッチェ広島内定)の決勝ゴールによって1-0で勝った。

 トルコとの初戦に続き、一昨日(8日)のウクライナ戦にも勝ったことで、史上最速のグループリーグ首位突破を決めたユニバーシアード日本代表。他国代表が引き分け続きとなり、それに助けられた部分もあるが、グループリーグ最大の敵と目されたウクライナにも、苦しみながら逆転勝ちをもぎ取るなど、本大会に入ってからは“うまい”だけではない、粘り強くしたたかな一面も見せるようになった。それが、もっとも顕著に現れたのが、グループリーグ第3戦のウルグアイ戦だった。

 日本は連戦の選手を休ませる狙いもあり、本来CBの菊地俊介(日本体育大4年=伊奈学園総合高)を右SBで起用。また、この試合でキャプテンマークをまいたボランチのMF窪田良(阪南大4年=東京Vユース)を、やや低めのアンカーの位置に置いて守備面を強化するなど、ここ2戦とは違う形でこの試合に臨んだ。

 対戦相手のウルグアイは、現時点で2位につけているとはいえ勝ち点は2と、他国との勝ち点差はわずかに1。日本に勝てば文句なしに決勝トーナメント進出だが、敗れれば、ウクライナ対トルコ戦の勝者に順位をひっくり返される。そんな“本気”の南米のチームに、日本は立ち上がりから苦戦。ベンチスタートだった茶島は、激しいラフプレーの応酬に、「南米のチームが目の色を変えて勝ちにくると、こんなサッカーになるのかと思った。正直、(交代で)入りたくないと思ったくらい」だったという。

 MF泉澤仁(阪南大4年=新潟ユース)やMF仲川輝人(専修大3年=川崎F U-18)がサイドから突破を試みるも、中で潰されてゴールまで持っていくことができない。それは1トップのFW皆川佑介(中央大4年=前橋育英高)にしても、2列目からシュートを狙ったMF下田北斗(専修大4年=大清水高)にしても同じ。前半の半ばすぎからはチャンスを作ることはできたものの、決定的な形を作れない。一方で、守備陣はアグレッシブに攻めるウルグアイに対し冷静に対応。序盤はビルドアップができずに苦しんだが「あれだけセットプレーを食らって、失点しなかったのは上出来」(吉村雅文監督)と、ウルグアイの攻撃を防ぎきり、両チーム無得点のまま前半を折り返す。

 しかし「自分たちのサッカーを続けていれば勝てる。どこかで1点取れば絶対に勝てると思っていた」(窪田)という日本は、後半24分に茶島とFW松本大輝(法政大4年=大津高)を揃って投入。この起用が試合を動かした。後半に入ってからは主導権を奪って攻め続ける日本に対し、ウルグアイはファウルを連発。「セットプレーになったとき、茶島の精度の高いプレーが生きる」(吉村監督)という目論見が結実したのは、交代からわずか3分後の27分だった。

 泉澤が左サイドから中へと切れ込んだところを、止めようとしたウルグアイの右SBの選手が倒してFKをゲット。このチャンスに交代したばかりの茶島がキッカーとして志願。放ったキックは、ウルグアイの壁を超えてゴール右スミに決まり、日本が貴重な先制点をあげ、スコアを1-0とする。

 このゴールで勢いに乗った日本は、同じく交代出場の松本の抜け出しを中心に何度となくチャンスを作るなど、流れは完全に日本ペースに。終了間際には、後がないウルグアイのカウンターを食らう場面もあったが、攻め急ぐウルグアイに対して日本は全員が高い守備意識をもって対応。約5分という長いロスタイムをも守りきって1-0で勝利し、グループリーグ全勝で決勝トーナメント1回戦(準々決勝)、マレーシア戦に弾みをつけた。

[写真]後半27分、日本は茶島(左)が決勝ゴール

(取材・文 飯嶋玲子)

TOP