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リーグ戦初完封を喜ぶ川崎F DF中澤「コンパクトにやれていた」

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[7.13 J1第16節 川崎F4-0浦和 等々力]

 DFとして、どこかスッキリしないところがあったのだろう。今シーズン、等々力陸上競技場で無敗を誇っている川崎フロンターレだったが、完封試合は一つもなかった。守備の要となることが期待され、今シーズン、ガンバ大阪から川崎Fに加入した中澤聡太にとっても、もどかしい状況だったに違いない。

 迎えた第16節の浦和戦、川崎Fは相手への対策として3-4-2-1の布陣で臨んでいた。前節で同じような戦い方をする広島と対戦していた。広島戦、川崎Fは4バックで臨んだ。しかし、攻撃面でのビルドアップがうまくいかずに、ミス絡みで前半に2失点を喫している。後半に入って3バックに変更した川崎Fは、一時同点に追い付くなど、良い流れの中で試合を進めることができた。結局、2失点を喫して2-4で敗れたが、後半の戦い方を踏襲するための判断だった。

「2戦連続で同じようなサッカーをやってくる相手ですからね。ボールを失わないっていうサッカーをしてくる相手に、広島ではハマってしまいましたが、その教訓を生かすことはできました」と中澤は言う。結果、前半から3得点を挙げたチームは、後半にもFW大久保嘉人のJ1通算100ゴールが飛び出し、4-0で今季初の完封勝利を収めている。

「前半で試合がすごく動きました。点差が離れると、相手は攻めだけになりがちです。点が取られやすい展開でもありましたが、コンパクトにやれていたと思います。両隣が、縦もそうですけど、離れていなかった。一人がかわされてもプレスバック、スライドでカバーできていたので、常に数的優位で守れていたし、効率的な縦パスを入れられる回数も少なかった。前線の細かいポジショニングが良かったと思いますし、だからこそカウンターもうまくできたと思います」と、中澤は振り返り、布陣変更が奏功したことを認めた。

「今回、布陣は相手に合わせる形になりましたが、だからといって、サッカーを変えるわけではありませんでした。(布陣変更は)相手がボールを持った時にハメやすいようにしただけです。自分たちがボールを持った時は、(ボールを)大事にしながら、ポゼッションを上げようとするのはいつもどおりでした。守備がハマったのが、勝因だったと思います」

 MF中村憲剛は、今季初の無失点試合になったことを指摘されると「相手も、この試合までリーグで一番点を取っていた浦和だったからね」と強調していた。実際に攻撃力の高い相手を無得点に抑えたことは、今後に向けた大きな自信になるはずだ。

「どの試合も完封することは狙っていましたし、これからもっと失点ゼロの試合は増やさなければいけません。それが浮上する要因にもなると思います。それに得失点差も必ず生きてくると思うので、まだまだ上位との試合も続きますし、失点をゼロにしていくことは今後も意識していかなければいけないと思います」と、中澤も言う。

 次節の対戦相手は首位に立つ大宮だ。広島、浦和とは、まったく異なる戦い方をしてくる相手を、どう抑え込むか。リーグ戦3試合で10得点を大爆発している攻撃面以上に、注目したいポイントだ。

(取材・文 河合拓)

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