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[国際ユースサッカーin新潟]GK伊勢亀の壁破れず、U-17日本代表がU-17新潟選抜に敗れる…

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[7.14 国際ユースサッカーin新潟第2戦 U-17日本代表0-1 U-17新潟選抜 新発田市五十公野公園陸上競技場]

 第17回国際ユースサッカーin新潟は14日、大会2日目の2試合を行い、U-17日本代表はU-17新潟選抜と対戦。新潟選抜FW山田貴仁(帝京長岡高)に奪われた1点を取り返すことができず、0-1で敗れた。2連敗となった日本は15日の最終戦でU-17クロアチア代表と対戦する。

 試合終了のホイッスルとともに新潟選抜ベンチが両拳を突き上げ、選手たちが会心の表情で抱擁を繰り返す。U-17代表の吉武博文監督は新潟選抜戦を控えた前日に「(今大会で対戦する)この3チームの中では一番強敵だと思っています」と警戒していたが、その難敵に無得点で敗れる結果となった。

 U-17アメリカ代表に1-2で逆転負けした第1戦から先発7人を入れ替えたU-17代表は、アメリカ戦同様ボールを支配して攻めていく。ただ、前線でDFを外せず、動きが重なってしまう場面も散見された。またくさびへのパスや落としの精度を欠き、縦パスからスピードアップすることができない。逆に前線でのプレッシャーがかからないU-17代表は新潟に縦パスを通されてしまう。

 CB中山雄太(柏U-18)は「前線のプレッシャーがなくて、自分たちもビビってしまって下がって中盤と最終ラインの間にスペースが空いてしまったので、そこはもう少し自分たちがラインを下げずに思い切ってできたらいいと思います」と反省していたが、加えてビルドアップ時に自陣での連係ミスもあったU-17代表に対して新潟選抜は26分に左サイドを個人技で打開したMF手塚竣一朗(新潟ユース)の折り返しから最後は山田が決定的な右足シュート。U-17代表は前半27分にCB三竿健斗(東京Vユース)の縦パスを起点にこの日存在感を放っていたMF三好康児(川崎F U-18)がスルーパス。抜け出したFW山口真司(神戸U-18)が決定機を迎えたが、シュートはGK伊勢亀大輝(新潟工高)の好守に阻まれ、28分にも再び三好の好パスを起点にチャンスを迎えたが得点に結びつけることができない。

 逆に新潟は29分、右サイドでFKを獲得すると、間髪入れずにリスタートしてFW飯野七聖(新潟ユース)がディフェンスラインの背後へループパス。これで右サイドを抜け出した山田が一気にドリブルで持ち上がると、そのまま角度のない位置から豪快な右足シュートを叩き込んだ。前日のU-17クロアチア代表戦でも2ゴールをたたき出している山田のファインゴール。地元の観衆が一気に沸いた。

 第1試合でアメリカが2連勝としたため、敗れるとこの時点で優勝の可能性が消える日本は32分、34分と三好の左足ミドルがゴールを捉えるが、新潟選抜GK伊勢亀が反応良くはじき出す、逆に新潟選抜は39分に左サイドでDFを鮮やかに抜き去った手塚のラストパスから連続シュート。日本は何とかゴールを死守するものの、直後にも左CKからCB酒井高聖(新潟ユース)にヘディングシュートを放たれるなど、新潟選抜の勢いを止めることができない。

 41分にはたまらずAFC U-16選手権MVPのFW杉本太郎(帝京大可児高、鹿島アントラーズ内定)を投入。中盤のスペースへ降りてボールを受け、また鋭い反転でDF1枚を剥がす杉本が加わったことで、ノッキングしていた攻撃にようやくリズムが生まれてきた。だが、ゴールが遠かった。後半2分にはMF瓜生昂勢(筑陽学園高)の左足シュートがゴールを捉えるがGK伊勢亀が阻止。7分にも山口のとのワンツーで瓜生が左中間を抜けだそうとしたが、新潟選抜は酒井がスライディングタックルで突破を阻む。そして8分には右サイドを完全に抜け出した石田崚真(磐田U-18)がGKと1対1となったが、右足シュートは再び伊勢亀の好守によって止められてしまう。

 新潟選抜は中盤でMF加藤潤(新潟明訓高)やMF今井輝(開志学園JSC高)らが相手にプレッシャーをかけ続け、最終ラインの中央では気合十分のプレーを見せる酒井と佐久間理央(新潟ユース)が奮闘。相手のプレッシャーを物ともせずにボールをキープする杉本、三好、瓜生を中心に反撃する日本は17分にも右FWから左SBへポジションを移していた浦田樹(千葉U-18)が左サイドをワンツーで崩して杉本が右足シュート。29分には鋭いターンでDFを振り切った杉本のコントロールショットがゴールを捉えたが、いずれも伊勢亀が立ちはだかる。終盤はスタンドの声援を後押しに戦う新潟選抜が酒井のスーパークリアなど好守を連発。日本はPAの赤い壁を攻略しても大当たりだった伊勢亀を破ることができず、無得点で敗れた。

 U-17代表はアメリカ戦に続き、引いて守る相手に対してボールは保持していたものの、2連敗。チームは2年間、ボールを保持し、いかに崩すかという部分に注力してきた。相手CB、そしてディフェンスラインを見て、身体の向きによって判断をして相手の見えていない方向へパスを通すという部分など、細部にこだわってトレーニングを積んできた。この日は1点を追う終盤も戦い方を変えることなく、ボールを保持して崩すことを目指した。今大会は結果につながっていないが、今後も戦い方を変えることはない。その判断、精度の質を上げていくことにこだわっていく。

 吉武監督は「こういう戦いは世界でも予想されるところなので、これを今からどうやって修正していくかということになる」と語った。今大会最終戦の相手はクロアチア。未勝利のままで終わることはできない。この日、ゲーム主将を務めた石田は「クロアチアもワールドカップに出るということなので、本番と重ねた試合ということで絶対に勝ちたいと思います」。最後必ず1勝を挙げて今大会を終える。

[写真]U-17日本代表はU-17新潟選抜FW山田(右)に決勝ゴールを許し、2連敗

(取材・文 吉田太郎)

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