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[Fリーグ]浦安 FP荒牧太郎インタビュー「Fリーグを制して、歴史を変える!!」

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 Fリーグのバルドラール浦安に3年ぶりに復帰することが決まったFP荒牧太郎。いよいよ7月20日に名古屋で行われる第7節の町田戦(9時45分KO)から、ピッチに立つことになる。約2シーズンに渡り、スペインで何を得たのか。そして今回、どのような意図を持って日本に帰って来たのか。ゲキサカが直撃した。

――まずは、おかえりなさい。早速ですが、日本に戻る決め手はなんだったのでしょうか?
「僕はブラジルに行ったときの理由も、スペインに行った理由も、同じなんです。もちろん目標はいくつもあるじゃないですか。日本代表に入ってブラジルやスペインに勝ちたいというのも一つですし、スペインリーグで活躍したいというのも一つです。そして、Fリーグで優勝したい。そこに対するモチベーションがめちゃくちゃ高いんです」

――しかも、『名古屋以外で』ですよね?
「そうです。『名古屋以外で初めて優勝するチームのキャプテンとしてトロフィーを掲げたい』と、以前は言っていたのですが、キャプテンはあまり興味がなくなったので、今は良いです(笑)。とにかくFリーグで優勝したくて仕方がありません。あとは日本代表に入ることですよね。スペインに行く前から、それは思っていました。当時は(小宮山)友祐さんと一緒に浦安でプレーしていましたが、このまま浦安でずっとプレーしていても、この序列は変わらないなと思ったんです。しかも、友祐さんは25歳から代表に入っていた。僕は当時26歳になっていたけど、代表に選ばれていませんでした。このまま行けば、友祐さんには勝ち目がないなと思って、序列を変えるには、何か友祐さんがやっていないことをやらなければいけない。そう考えたら、海外でプレーする経験しかないと思って、海外に行かないと越えられないと思ったんです。だから、めちゃくちゃな行き方をしたんですよ」

――どういう流れだったんですか?
「最初は浦安で監督をやっていたセサルに、イタリアのクラブを紹介してもらうということになっていたのですが、うまくいかなくて。偶然、(星)翔太がサンタコロナというチームにいたので、そこの練習に参加させてもらって。それで行ったので、今思えばありえないですよね(笑)。超ハイリスクですよ。だから、とにかく友祐さんとの違いを出すことを考えて、海外に行ったんです。そうしないと僕の日本代表での未来はないと思っていたので。それとFリーグで優勝することが常に頭の中にありました。日本人だけのチームで、初めて名古屋以外で優勝するという歴史をつくりたかったんです。だから今回、スペインでプレーをするという選択もできたのですが、日本に帰るのを決めたのは、年齢的にも今年で29歳になりますし、あと3、4年向こうでやったら、32、33歳で日本に戻っても、自分のパフォーマンスも落ちつつあると思ったので。今ならチームの力になれると思ったし、優勝したら誰が支えていたかもはっきりするし、トップパフォーマンスを出せるなら、今かなと。今年か、来年か、というのは悩みましたけどね。3年間はスペインでやりたいと言う気持ちがあったので」

――今年の浦安は、Fリーグ開幕直後と同じくらいにメンバーが充実していますね。
「そうなんですよ。来年、再来年になったら、友祐さんが引退している可能性もあった。でも、もう一度、一緒にやりたかったですし、今、このメンバーでやって、何かしらタイトルを獲りたいという気持ちがあります。Fリーグで優勝して、結果を出して、あれこれ言いたいですね(笑)。『スペインはこうでしたよ』と言っても、説得力がないと思うので。優勝して、高橋健介、星翔太、僕といたら、スペインでの経験というものに、ものすごい説得力が出るじゃないですか」

――『何を得たのか?』と聞きたかったですが、それまでは封印ですね。
「まずは、とにかくプレーで一生懸命やることですね」

――では、一つだけ向こうで身に付けて得意になったプレーを教えてください。
「『パラレラ(※1)』ですね。パラレラから絶対にシュートまで行けるようになったんです。みんな知っている、本当に基本的な動きですよ。でも、『何でアイツは、あの基本的な動きだけで、バンバンシュートまで持って行けるんだろう?』って、思わせることができると思うんです」
(※1パラレラ フットサルの基本的なボールの受け方。タッチライン際で、タッチラインと並行に縦に動いてボールを受ける動き)

――当然スペインでは周囲のレベルも高かったと思います。スペイン時代と同じようなボールを受ける動きをして、同じようなパスが浦安でも出てもらえるでしょうか?
「そこはもちろん、浦安でも選手たちと話し合って、コミュニケーションをとらないといけません。でも、パスを出せる選手はメッチャ多いですよ。(中島)孝くんもそうだし、健介さん、徹さん(完山徹一)、智貴。彼らにボールを渡して、僕はパラレラで出て来たボールをシュートして、セグンド(ファーポスト)の前で翔太がちょっと押し込めば、絶対に得点王になれると思う。こうやって文章にすると『まぁまぁまぁ』となると思うけど、実際に試合を見てもらって感じてもらえたらと思いますね。だから、結果ですよ。結果、結果って、とにかく結果にこだわりますよ」

――そもそも、荒牧選手のプレーを見たという人も少ないかもしれません。大雑把に言うとフィクソ(サッカーのDF)として最後尾でプレーしますが、積極的に攻撃参加もして点を取るような感じですよね?
「そうですね。世界的に見ても、フィクソも点を取るじゃないですか。僕が一番好きな選手は、バルセロナのキャプテンでもあるFPジョルディ・トーラスという選手なんですが、彼も大事な試合ですごく点を取るんです。今年もコパ・エスパーニャの決勝でハットトリックしたり、プレーオフ決勝でも点を決めた。リーグの得点数は多くないですが、大事な試合で点を取るフィクソなんです」

――前回W杯でMVPになったブラジル代表のネトのような存在ですね。
「そうです、そうです。まさにそうです。まぁ、ネトはテクニックもすごいですけどね。でも、フィクソが前に出て行って点を取るのがスタンダードになっていると思うので。どこからでも点を取るのがブラジルだと思うし。後ろから出ていくことで相手も混乱すると思いますし、後ろからどれだけ前に出ていけるか。あまりに行きすぎると職場放棄になると思うので。そういう判断の部分もスペインで磨いてきたつもりなので、新しいフィクソ像を見せたいですね。ボールを奪うこと、右足、左足でシュートを打てる。その動きに僕は特化していたので。もちろん、ブロックしたり、パスコースをつくったりもしますよ。でも、ボールを奪うこと、シュートを打つことだけを意識してやってきたので。昔はもっとゲームコントロールとか、パスを出したり、味方をどう生かすかって考えていましたが、自分の長所を出すことで、周りの長所を引き出せるとも思うんです」

――具体的に言うと?
「たとえば、僕がシュートを打ちたくて『ヘイ! ヘイ! ヘイ!』とボールを呼びますよね。それがおとりになって、他の選手にパスコースができたり。周りを生かそうとしてやるんじゃなくて、やりたいことをやっていたら、結果的に周りが生きてきた。そういうのが理想的だと思うし、それができるのが、今の浦安だと思うんです。そうしないと『生かそう』『生かそう』と思っていたら、頭がこんがらがってしまう。本当にボールをもらう気で動くから、相手も引き付けられるし。偶然かもしれませんが、そういうメンバーが浦安にそろっているんですよ」

――これだけ浦安に日本代表メンバーがそろっているのも久しぶりですよね。
「そうですよ。代表に呼ばれていない選手でも、徹さん、智貴、孝くん、もっさん(岩本昌樹)と、すごく能力が高いですし。僕も簡単に試合に出られるとは思っていませんよ。練習から『大したことないな』と思われたらヤバいなと思っていますよ。こんなこと言っていますけどね(笑)」

――練習をやった印象では、小宮山選手との距離は縮まっていましたか?
「友祐さんが、僕のことをある程度リスペクトしてくれているので。『おまえ、下手だな。まだまだだな』っていう感じではないので。お互いに『こうした方がいいですよね』っていう感じなので。ライバルですけど、同じチームメイトで、一緒に高め合っていきたいですね。でも、違いを出せるところでは、どんどん違いを出していきたいです」

――とにかく今シーズン、Fリーグ優勝という結果にこだわるということですね。
「それだけじゃなくて、翔太を得点王にすることも目標にしています。名古屋以外からリーグ得点王、リーグMVPを輩出して、Fリーグの顔を変えたいですね。そうやって結果を出すことが、その先にもつながるはずですから、まずは浦安でFリーグ王者になって、歴史も変えたいと思っています」

(取材・文 河合拓)

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