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[総体]旋風止まらず!果敢に攻め返した真岡がPK戦で滝川二下して7年ぶり4強進出!

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平成25年度全国高校総体
「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技(福岡)

[8.5 全国高校総体準々決勝 真岡0-0(PK8-7)滝川二 博多の森陸上競技場]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技は5日、準々決勝を行い、真岡(栃木)が0-0で突入したPK戦の末、滝川二(兵庫)に8-7で勝利。06年以来7年ぶりの4強進出を決めた。真岡は準決勝で流通経済大柏(千葉2)と対戦する。

 失点を覚悟したような場面は何度もあった。被シュート19本のうちの3分の1は決定的と言ってもいいような形だった。だが、栃木の実力派は引いて守る、耐えて勝つというサッカーはしなかった。滝川二は試合開始40秒で3戦連発中のエースFW谷本優(3年)が決定的なシュートを放ったのをはじめ、司令塔MF李光(3年)が左足から繰り出すスルーパスや左MF増田大樹、右SB高橋一樹(ともに3年)のドリブル突破、またワンツーで真岡守備陣を振り回して立ち上がりからシュートを連発。7分に右クロスから谷本が放ったヘディングシュートがクロスバーを叩き、またFW星野遼河主将(3年)のドリブルシュートがゴールを襲う。

 前半だけで真岡の浴びたシュートは11本。ただ「よく体張って守るところ守って、ただ、守る一辺倒ではなくて、点数取れそうな場面も作れましたよね。その姿勢をなくしたら絶対に勝てないと思っていました。攻めていないと、安心して攻められてしまう」と川上栄二監督が説明するように、真岡は相手に決定機をつくられても、押し込まれても、怯むことなく勇気を持って攻め返す。

 躍進の要因は4試合でわずか1失点の好守とこの攻撃面が噛み合っている点だ。元々堅守速攻型だった真岡だが、今年4月の川上監督就任とともにポゼッションをベースとした攻撃型チームへスタイルを変更。指揮官は「県内でも矢板中央とか、佐野日大とか私たちのチームよりも個人の能力が正直高い子たちが多いチームがある中で、それ(堅守速攻スタイル)では勝てないということで、とにかくボールを動かせるようにやってきた」と説明する。まだまだ課題もあるが、積み上げてきたスタイルを全国舞台で展開。個々で上回る滝川二に対し、真岡も会場をうならせるような崩しを見せていく。

 最前線に位置する10番FW大柿匠(3年)がよくボールを収め、予選はメンバー外だった1年生MF神山皓亮やMF規矩智涼平(2年)が寄せてくる相手をドリブルや少ないタッチのパスで剥がしてサイド攻撃。左SB大山望槻(3年)のスピードあるオーバーラップも交えて決定機をつくり返した。8分には右SB内堀雄介(2年)が右サイドを打開し、その折り返しから規矩智が右足シュート。30分にはバイタルエリアを完全に攻略してMF吉田雅也(3年)が右足を振りぬいた。これは滝川二GK杉本守(3年)の好セーブによって阻まれたものの、サイドで数的優位をつくって崩すなど、いつ一刺ししてもおかしくないようなシーンを作り出していた。

 そして後半からダブルボランチの一角、吉田が守備に専念する形で中盤の劣勢を修正。前半に決定的な仕事をしていた李をケアすると、同時にセカンドボールを支配して流れを引き寄せた。10分にはサイドチェンジから左サイドを縦に突いた大山の折り返しを規矩智が決定的な右足シュート。18分にはMF山崎舜一郎(3年)のシュートのこぼれ球に反応した李に決定的な右足シュートを打ち返されたが、「(大会を通じて)ドリブルとか結構通用して自信がつきました」とその技巧で存在感放つ神山らがパスをつなぎながら攻め、「内容が不満足でハーフタイムにハッパかけた」(川上監督)という前半から五分五分に近い展開にまで持ち直した。交代出場のFW鶴見拓樹(3年)が左サイドをえぐり、中央のMF成島明仁(3年)を経由して右中間の規矩智が迎えた32分のビッグチャンスは活かすことが出来ずに無得点に終わったものの、鋭い飛び出しでクロスに対応したGK谷田部晃輔(3年)とCB大塚勇気(2年)、CB柿沼俊祐主将(3年)中心に無失点。PK戦に持ち込んだ。

 PK戦ではともにキッカーのシュートがコースへ決まり続けて7-7で8人目へ突入。先攻・真岡のDF金田裕明(3年)がゴール左へ決めたのに対し、滝川二DF福田風太(3年)のキックを谷田部が右へ跳んで止めた。これで決着。予選から通じてPK戦4試合目だった真岡が自信を持つPK戦を制して4強へ駒を進めた。

 真岡は全国高校選手権11回、全国高校総体9回の出場を果たしているが、現在の部員たちにとっては初めての全国舞台。だが、選手たちは自分たちのサッカーに自信を持って堂々と戦っている印象だ。柿沼は「(6月の)関東大会で帝京に0-4で負けたけれど、自分たちが攻めることができていた。組織力でやれるんだなという自信はそこから出てきました。真岡は最高がベスト4なので越えられるように頑張ります」。過去最高成績は06年の4強。優勝候補の流経大柏と対戦する準決勝では、これまで通りに自分たちのサッカーで思い切り戦い、同校史上初となる決勝進出を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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