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[豊田国際ユース]英国生まれの異質な才能、U-16代表MFサイ・ゴダード

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[8.11 豊田国際ユース最終節 U-16日本代表0-2 U-16メキシコ代表 豊田]

 8月11日に閉幕した第14回豊田国際ユース大会で注目を浴びた選手がいる。英国育ちのU-16日本代表選手、サイ・ゴダード(トッテナム)だ。イギリス人の父と日本人の母を持つMFは、3月のフランス遠征における初招集を皮切りにコンスタントに代表に呼ばれているが、日本での公式戦は今回が初めてだった。大会初日と最終日は先発、2日目は途中出場でプレー。「気温がとにかく暑かったけど、日本の人たちがすごく歓迎してくれたと感じているし、エキサイティングだった」と背番号10と日の丸を身につけて駆けた3日間を振り返った。

 大会最終日は、ともに2連勝で優勝をかけたU-16メキシコ代表戦に先発した。4-1-4-1のインサイドハーフでプレー。身長163cmと体は決して大きくないが、序盤はキレのあるターンで巧みに相手からボールを隠してキープに成功すると、CKなどで正確なキックも披露した。しかし、前半の途中から不慣れな暑さに苦しみ、ペースダウン。体のキレを失うと、ボールロストの場面が増えた。「今日は良いプレーができなかったけど、U-16日本代表のプレーは、僕に合っているし、好きなスタイル。トッテナムでのプレーにも似ている。トップレベルの選手が多く集う、エクセレントな大会だった」と悔しさをにじませながらも、手ごたえを話した。

 チームメートからは「サイ」と呼ばれ、少しずつ吉武ジャパンのサッカーを吸収している。「僕のプレーの特長は、ポケットを見つけてチャンスを作り出すこと。大会を通した収穫は、僕のポジションだと、SBやフロントボランチ、ワイドトップと常にトライアングルの関係を作ることが大事なのだけど、少しずつできるようになってきていると思う」と的確に課題を捉えているあたりは、頼もしい。

 英国育ちのため、学校で外国語科目として学び始めた日本語はまだ習得過程だ。日本語の先生に教えてもらい、少しずつ言葉を覚えているという。言葉の壁はサッカーに大きく影響するものだが、吉武監督は「始めは日本語をまったく話せなかったのだけど、少しずつ勉強を始めているし、子どもなのでコミュニケーションが取れてないということはない」と不安を一蹴。後半開始前の円陣では、少ない言葉の交換ながらもチームメートと談笑する姿が見られたところや、通訳を通した取材が終わると「ありがとう」とにこやかな表情を見せるあたりを見ていると、心配はなさそうだ。

 U-16日本代表が今秋に挑むU-17W杯については「注目される大会だし、日本は良いチームだと思う。もちろん、僕もプレーしたいと思っている」と意欲を見せた。外国育ちの日本代表、サイ・ゴダード。異質な才能が今後どのような成長を見せるか楽しみだ。

(取材・文 平野貴也)

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