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[SBS杯国際ユース大会]終了間際に川辺劇的V弾!U-18日本代表が静岡ユース振り切り、全勝V!

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[8.18 SBS杯第3節 U-18日本代表1-0静岡ユース エコパ]

 18日、SBS杯国際ユースサッカー大会(静岡)最終節が行われ、ともに2戦2勝のU-18日本代表と静岡ユース(U-18静岡県選抜)が激突。0-0で迎えた後半終了間際にMF川辺駿(広島ユース)が決めた決勝点によってU-18日本代表が1-0で勝ち、優勝した。

 PK戦決着かと思われた“優勝決定戦”は試合終了間際にスコアが動いた。U-18代表は右中間でパスを受けたFW宮市剛(中京大中京高)がダイアゴナルにドリブルして中央のFW北川柊斗(名古屋U18)へつなぐ。パスを受けた北川が右前方へスルーパスを通すと、中盤の底の位置から猛烈な勢いで走りこんできた川辺がコントロールから右足一閃。飛び出したGKの左横を破り、決勝弾がゴールへ突き刺さった。

 ベンチ方向へかけ出した背番号7をチームメートたちが興奮した表情で迎える。この日サブだったGK高木和徹(清水ユース)に抱きかかえられた川辺は「走っている途中に『来る』と思った。思い切り打とうと思っていました。入って良かった」と喜び、鈴木政一監督は「我慢強く、粘り強くプレーした中で最後ああいう形で点を取って良いゲームだったかなと思う」と選手たちを賞賛していた。 

 10月に行われるU-20W杯アジア1次予選(AFC U-19選手権予選)のシミュレーションとして臨んだSBS杯の最終戦。U-18代表は右サイドのスペースをフリーで駆け上がるSB広瀬陸斗(浦和ユース)を再三活用し、そのクロスからチャンスを迎える。2分、7分と広瀬からのクロスが入り、14分には左サイドでMF望月嶺臣(名古屋)とMF松本昌也(大分)がダイレクトでショートパスを交換。これで松本が2人を振り切ると、FW金子翔太(JFAアカデミー福島)がPAで粘り、最後は相手の処理ミスを突いたFW越智大和(広島ユース)が左足を振りぬいた。

 主導権を握ってボールを動かすU-18代表は、20分には敵陣でのインターセプトから望月が右足シュートを放ち、24分には右サイドで2人をかわした川辺のクロスボールがPAの越智の胸へ入る。そして前半終盤には広瀬のクロス、そしてショートカウンターから金子が立て続けに決定機を迎えるなど得点機をつくり出した。ただ望月は「連動性というか、パス受けて次出すところがなかったりとか。ボクのところでは前半途中からなんですけど、出すところがなくて2人に囲まれたりした。ダイレクトで動かしたときは(松本)昌也と動かした時みたいに行けたんですけど。向こうもコンパクトにして、球際のところで来ていた」。確かに鈴木準弥(清水ユース)と長島來雅(静岡学園高)を中心とした静岡ユースの守りは堅かった。加えてU-18代表はそれぞれの受け方とパスワークのテンポがやや悪かったこと、そして疲れもあってか運動量が少なかったことが徐々に攻撃に停滞感をもたらしていた。

 一方の静岡はウルグアイ戦決勝ゴールのMF梅村晴貴(磐田U-18)が出場停止。右SB手塚朋克(静岡学園高)が右膝の負傷のために欠場と主力を欠いて苦しい陣容だったが、それでも前半8分には3ボランチの一角に入ったU-17日本代表MF須藤駿介(静岡学園高)がドリブルで中央突破し、FKを獲得すると、自らクロスバーをかすめる右足シュート。そして29分には左中間でボールを持った須藤の浮き球パスをMF金原唯斗(磐田U-18)が頭でPAへ入れ、これに決定的な形で走りこんだFW中野誠也(磐田U-18)が押し込もうとした。

 そして後半開始から右MFに入ったMF小谷春日(藤枝東高)が積極的な仕掛け。運動量の落ちたU-18代表は停滞した時間が続き、相手の3ボランチの前に効果的な楔を入れることできない。後半4分に越智とのワンツーから広瀬が上げたクロスに金子が頭で合わせたが、シュートはGK正面。その後は決定機をつくることができず、逆にSBのオーバーラップを交えたサイド攻撃から静岡ユースに決定機をつくられてしまう。静岡ユースの廿日岩亮監督が「プラン通りだった」と振り返る内容。クロス、折り返しに逆サイドの選手が飛び込んでくる静岡ユースの攻撃の前に危ないシーンが続いた。U-18代表はロングボールを跳ね返されるなど、なかなかPAまでボールを運ぶことができない。28分には交代出場のMF小川直毅(G大阪ユース)が右サイドを縦にえぐり、決定的なラストパスに北川が飛び込んだがわずかに合わずに得点することができなかった。それでもU-18代表は指揮官が讃えたように押し返されても最後のところで得点を許さず。「打倒・代表」に燃える静岡ユースを終了間際の1点によって振りきって優勝を果たした。

 苦戦を強いられたものの、アジア予選のシミュレーションとして臨んだSBS杯を3連勝で終えたことは今後につながるはず。まずは10月、中国、マレーシア、マカオと戦う1次予選突破を目指す。SBS杯3試合を無失点で大会を終えたCB三浦弦太(清水)は「(最近U-20W杯へ)行けていないですし、予選からチーム全員でしっかり勝ち切れるように。これからまたキャンプもあるので、チームとして内容にもしっかりとこだわって、個人としても、チームとしてもしっかりとレベルアップしていきたい」。また望月は「アジアは何があるか分からない。中国で中国とやりますし、色々な経験を活かしていければいい。気を引き締めてやっていきたいと思います」と「本番」へ向けて意気込んでいた。

(取材・文 吉田太郎)

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