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長谷部は不可侵の域? ザック「試合に出ていないのでここで使わないといけない」

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 揺るぎない信頼がたったひと言に込められていた。ボランチの起用について聞かれたときだ。アルベルト・ザッケローニ監督は「長谷部はチームで試合に出ていないので、ここで使わないといけない」とさらりと言った。

 他の選手に関しては普段から「コンディションを見極めないといけない」「コンディションが良いのが前提」というコメントで自身の哲学やスタンスを示している指揮官だが、全幅の信頼を置くキャプテン長谷部誠(ボルフスブルク)に対してだけは別だった。チームで試合に出ていないのなら、代表戦で使うことでコンディションを維持させるべきというプランを明らかにしたのだ。

 ボルフスブルクで7シーズン目を迎えている長谷部だが、今季はリーグ開幕直前のカップ戦でベンチ外だったのを皮切りに、リーグ開幕戦は出場停止、第2節はベンチで出番なし。24日の第3節マインツ戦で今季初めて出番がめぐってきたが、出場時間はわずか6分間だった。欧州の新シーズンになってから公式試合で長時間プレーしたのは、先発から75分間出た日本代表のウルグアイ戦だけ。試合勘が危ぶまれる。

 とはいえ、このような状況は長谷部にとって初めてではない。昨季も8月の開幕から10月下旬までまったく出場機会がなく、コンディションキープに関しては危機感が漂っていた。けれども日ごろの鍛錬と高い意識で難局を乗り越え、シーズン途中からポジションをつかんでいったという経験がある。

 14日のウルグアイ戦では「新しい選手が入ってくることで競争が起きるのを歓迎している。化学変化が起こるのが楽しみだ」と言っていた長谷部。代表合宿ではMF山口螢やMF青山敏弘らフレッシュな顔ぶれに刺激を受けたとも話しており、9月の合宿でも新戦力との競争と融合に意欲を燃やすに違いない。

 たとえザッケローニ監督から全幅の信頼を受けても、約束手形にあぐらをかくことのないのも長谷部の長所。ザックジャパンの中心に長谷部が君臨する。

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(取材・文 矢内由美子)

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