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日本代表メンバー発表 ザッケローニ監督会見要旨

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 日本サッカー協会は29日、9月のキリンチャレンジ杯2試合に臨む日本代表メンバー23人を発表し、FW大迫勇也(鹿島)、FW齋藤学(横浜FM)、DF酒井宏樹(ハノーファー)が代表復帰を果たした。日本代表は9月6日に長居スタジアムでグアテマラ代表、同10日に日産スタジアムでガーナ代表と対戦する。

アルベルト・ザッケローニ監督
「この2試合に関しても、日本代表の成長のために大切な舞台だと捉えている。W杯予選では、結果が求められる中で同時に成長を促してきた。両立させながらも結果が優先される戦いが続いたが、そうした戦いは終わった。今後はこうした親善試合を通じて、成長により比重を置いていきたい。これからはチョイスという要素も入ってくる。チームのバランスを大きく変えることはないが、当然、新戦力に期待している。9月の2試合は有意義だと思っている。この2試合を通じてチームとしてより成長を促していきたいし、よりまとまっていきたい。選手全員の相対的なコンディションの把握にも努めていきたい。対戦相手については、2つの異なる大陸のチーム。一つは中米、一つはアフリカ大陸で、ガーナはアフリカ大陸でもトップを走っているチームだと思っている」

―東アジア杯で招集した大迫と齋藤を再び招集したが、彼らにどういうプレーを期待したいか?
「当然、2試合あるので、試合の中でもできれば見ていきたいが、それ以上に練習の中で代表の常連組と合わせることができる。東アジア杯ではできなかったことで、そういうメンバーとどういう絡みができるかを見れることを楽しみに思っている。2人ともリーグ戦での活躍は著しいし、引き続き成長しているところが見えるので、こうしたチャンスを与えるのもいいかなと思った。

 大迫は、ボックス内に入ってくる動き、そこでのフィジカルの強さ。ダイナミズムがあり、ポストプレーのうまさに、守備と絡める柔軟性も持っている。最近ではゴールに向かう姿勢、ゴール数という部分でも伸びてきている。齋藤は、相手に的を絞らせない動きをしたり、1対1での強さ、仕掛けでの怖さを持っている。オフの動きでDFラインの裏に走り込むこともできるし、運動量もある。

 大迫、齋藤のどちらにも言えるが、攻守両方でチームに貢献できる選手。代表選手を選考する中で日本人選手すべてを注意深く視察しているが、大切なのは攻守両方でチームに貢献できること。代表選手というのはグローバルな選手でなければならない。攻守両方ができる選手が来るべきだと思う。大迫も齋藤も攻守両方をよくできる選手だと思っている」

―ウルグアイ戦では準備期間が短いので選手に多くは要求しないと話していたが、今回は選手にどんな要求をしたいか?
「今回は少し時間がある。前回のようなシングルマッチデーでは海外組のコンディションを把握できずに試合に入るが、今回は1試合目までに時間があるので、海外組のコンディションを見て、フォーメーションを見極めることができる。ウルグアイ戦では我々のミスが目立ったと思うが、同時にウルグアイのミスが少なかったということも言わないといけない」

―失点が続いているDF陣の顔触れが変わらないのは他に新戦力がいないからか、それとも現在のメンバーにまだ伸びしろがあると思っているからか?
「私の考えとしては、一人の選手、一つのパート、DFラインだけのせいにするのは容易なことだが、そうではなく、他の選手、他のパートとの絡みを考慮することが大切だと思う。逆に聞きたいが、メッシはバルサでは違いを見せつけるが、代表チームではそうではない。チーム全体のコンディションとして、やりたいことができる時期もあれば、できない時期もある。周りがサポートできる時期もあれば、できない時期もある。

 結論から言うと、他にメンバーが思い当たらないというより、今の選手たちに自信を持っているし、信頼もしている。高いレベルにある選手たちだと思っている。DFライン自身が各々のコンディションを高めることも大切だ。我々の失点が多い試合は直近だと思うが、それは欧州のシーズンの終わり、そしてシーズンが始まったばかりの時期と重なっている。

 今回の10日間でフィジカルコンディションを上げることは難しい作業になるので、チーム全体として守備を整理するやり方をしたい。まずはDFラインをよりまとまった状態にすることも大事だし、中盤のライン、FWのラインといかに連動できるかに注意したい。攻撃をするときにDFの選手が一番最初の起点になるように、守備ではFWの選手が一番最初に守備をすることが大切だと思う。守備一辺倒のやり方はしていないので、チーム全員が攻撃と守備でそれぞれの役割をしっかりとこなすことが大切になる。

 就任当初は皆さんから決定力不足をずっと言われてきた。まずはその問題から改善しようということで、そこに着手した。そこはある程度改善できてきたから、これからは違うステップの部分で改善していくつもりだ。今のDFラインのメンバーを心の底から信頼している。たとえ『世界中から好きなDFを取っていい』と言われても、そんなに大きくは変えたくないと思うほど信頼しているメンバーが顔をそろえている」

―ボランチで青山、山口を試す考えは?
「2人を呼んだ理由としては、常連組とどう絡めるかということがある。いわゆるA代表で、どういうことができるかを練習で見極めていきたい。同じパートのメンバーのコンディションを見ながら試合で使っていくかを決めていかないといけないが、長谷部はクラブでそんなに出場機会がないので、ここで試合に使わなくてはならないとも思っている」

―監督は就任当初から攻撃的なサッカーを掲げている。最近は失点が多いことを指摘されているが、それよりも長所を伸ばしていく考えは?
「代表監督に就任したころは、攻撃の部分を指摘されたことを覚えている。そこから着手し、改善しようと取りかかった。攻撃はよくなり、数か月前までは失点も多くないチームだった。最近、失点が多いのは、一人ではなく、数人の選手のコンディションが上がっていない、最高の状態ではないというのが決定的な理由だと思う。それは先ほども言ったように、時期の問題なのかなと思う。ただ、ここ数か月、失点が多すぎるという状況があるのならば、監督としてはチームのバランス、まとまりを調整することで、チーム全体の守備を調整しようと思う。一方で、個のコンディションのクオリティーを上げることが問題を解決するには大切なことになるとも思っている。もちろん、守るための守備をするのではなく、次の攻撃につながるための守備をするという哲学は持っている」

―W杯に向けて、どれぐらいの時期まで選手を競争させる考えか?
「メンバーを固めるのは、来年の5月以降になると思う。14年は現時点で3月の1試合しか予定されていない。それを考えると、メンバーを固めるのは5月以降になる。柱になる部分は年内に固まってくるだろうとも思う。しかし、W杯本番に向けて、そのときにコンディションがいい選手が出てくると思う。最後までそういった選手に注目することは大切だし、最後の最後まで代表チームの扉は日本人選手全員に開いていると言っておきたい。そして、この場を借りてJリーグの選手に感謝の気持ちを述べたい。代表チームに来るために高いモチベーションを持って、非常に素晴らしい活躍を見せてくれている。昨日もほとんどすべての試合をスタッフを視察したが、代表候補の選手全員が得点を取るような状況を生み出している。メンバーを選ぶのに苦労したし、特に攻撃陣に(代表に)呼べなくて残念な選手がいるのも事実だ」

―ハーフナーや細貝、乾がウルグアイ戦に続いて呼ばれていないのは?
「個人的には国内組も海外組も同じように平等に扱いたいと思っている。今回は特にJリーグで活躍している選手を選びたいと思った。選手たちも分かっていると思うが、海外に移籍したから代表に入れるわけではないし、代表に行きたいから海外に移籍するわけでもない。それぞれのリーグ、クラブで力を見せることが、代表に選ばれる一番の近道だと思ってほしい」

―これまではシングルマッチデーでも海外組を多数招集していたが、最近は国内組が増えているのは東アジア杯での活躍が影響しているのか? それとも欧州のシーズンが始まったばかりだからか? また、清武がMF登録になっているが、トップ下で試す考えがあるのか?
「一つ目の質問に関してだが、意図的にやっているのではないが、海外組のコンディションを気にしているというのはある。代表にはコンディションのいいメンバーが来るべきだと思うし、そのためにこうしたことが起きている。2つ目の質問については、結論から言うと、そういうことではなく、日本代表選手はユーティリティーな選手が多いので、MFとして期待しても、FWとして期待しても、それほど差はない。全員が攻守に貢献してくれることが大切で、それは清武だけでなく、本田、岡崎にも同じことが言える。攻撃ではFWの選手となり、守備ではMFの一員としてやってほしい。なので皆さんもDF、MF、FWという欄はそれほど気にしないでほしい」

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(取材・文 西山紘平)

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