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総理大臣杯王者・流通経済大が後半戦白星発進!:関東1部

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[9.4 関東大学リーグ1部第10節 流通経済大1-0東洋大 江戸川陸]

 JR東日本カップ2013第87回関東大学サッカーリーグ戦1部は4日、第10節1日目の5試合を行った。8月の総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント優勝の流通経済大と東洋大との一戦は、FW田上大地(2年=流通経済大柏高)の決勝ゴールによって流経大が1-0で勝利。勝ち点3を加えている。

 流経大は総理大臣杯優勝後、対外試合での敗戦が続いていた。天皇杯予選では筑波大に5ゴールを奪われ、練習試合でも順天堂大、千葉に失点を重ねて敗戦。中野雄二監督が「どこよりも激しいプレッシングをしていた」という総理大臣杯優勝を支えた堅守とハードワークがタイトル奪取の安堵感と疲れもあってか、色薄くなっていた。それでもこの日は無失点で勝ち点3を掴む狙い通りの90分間。中野監督も「こういう勝ち方をしたいと思っていたのでホッとしている。(厳しい状態の中で)勝ち点3を取ることができたのは良かった」と選手たちを讃えていた。

 流経大は試合開始直後の5分、右サイドで粘ったMF森保圭悟(2年=広島ユース)の折り返しを田上が決定的な右足シュート。27分には前線でコントロールした田上の反転シュートのこぼれ球をFW藤山凌(2年=東海大五高)がフリーで頭で合わせる。だがこのシュートはクロスバーを叩いてゴールならず。流経大はこの後も、カウンターからMF西谷和希(2年=鹿島学園高)が左SB湯澤聖人(2年=流通経済大柏高)とのコンビでシュートへ持ち込み、藤山が身体能力の高さを活かしてシュートするシーンもあったが、東洋大はシュートブロックを連発するCB藤井悠太(4年=武南高、大宮アルディージャ内定)中心に守って得点を許さない。

 一方、MF古波津辰希(2年=流通経済大柏高)とMF吉村康平(4年=流通経済大柏高)の運動量が中盤を支える流経大も最終ラインが堅く穴を開けない。東洋大はMF石川俊輝(4年=大宮ユース、湘南ベルマーレ内定)が上手くスペースを突いてボールを受け、最前線に構えるFW小山大貴(2年=大宮ユース)が奮闘。ポゼッションからのオープン攻撃を駆使してFW黒須大輔(4年=習志野高)がシュートを放つなど攻め返す。

 特に主導権を握った後半はサイド攻撃から決定機の数を増加。ただ、26分に左SB平石直人(3年=帝京高)のクロスから黒須が放ったヘディングシュートはGK八巻楽(4年=聖望学園高)の手をかすめてクロスバーを弾き、30分に右サイドからPAへ潜り込んだMF斉藤昂太(3年=八千代高)の右足シュートは八巻に阻まれた。
 
 0-0のまま終盤へ突入した試合は32分にスコアが動く。流経大は森保の右クロスを中央の藤山が競り勝つと、ゴールエリアへ飛び込んだ田上が1タッチでゴールへ押し込んだ。「彼はマジメなので使い続けてあげないといけない。(ただ)きょうは50点くらい。代えようと思ったら取ってくれました。我ながら我慢して良かったです」と中野監督も微笑む田上の一撃で大きな大きな1点が入った。先制された東洋大は43分に藤井のスルーパスから右サイドを突いた交代出場のMF年森勝哉(4年=F東京U-18)の折り返しを同じく交代出場のFW仙頭啓矢(1年=京都橘高)が左足シュート。決定的な形だったが、これはゴールを捉えず、1-0で流経大が逃げ切った。

 相手を圧倒した訳ではないが、今年のチームらしく全員で戦って白星を引き寄せた流経大は、この試合でチームリーダーのMF椎名伸志(4年=青森山田高)が左膝前十字靭帯断裂の重傷から復帰した。後半23分に今季初出場を果たした背番号10をチームは「お帰り、椎名!」のコールで祝福。声でチームを引っ張り、チームの勝利に貢献した椎名は「勝てて良かった。でもまだまだ」。充実した表情でこれからの活躍を誓っていたが、総理大臣杯を欠場している椎名をはじめ240名の部員それぞれがチームのために何ができるか常に考えていることが今年の流経大の強みだ。08年のチームから11人がJリーガーとなったほか、毎年複数のタレントをJリーグへ輩出している強豪は今年、かつてないほどの団結力によって「強い」チームになりつつある。近年獲得することのできていなかったタイトルも奪取した。「泥臭く、あきらめず、粘り強くというところから考えて、力を発揮することができている」と指揮官。すでに出場権を獲得している年末の全日本大学選手権へ向けて、流経大が再び一体感を持ってスタートを切った。

[写真]決勝点を決めた流経大・田上

(取材・文 吉田太郎)
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