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2年ぶりリーグ戦出場の浦和GK山岸「罵声やブーイングを浴びるのも浦和の選手の責任」

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[9.21 J1第26節 浦和1-1甲府 埼玉]

 リーグ戦の出場は、2011シーズンの5月28日に行われた第13節・新潟戦(1-1)以来だった。それでも、浦和レッズのGK山岸範宏は試合勘不足をまったく感じさせないプレーで、試合終了間際まで無失点を保った。

 前半からボールを保持していたのは浦和だったが、ピンチの数が多かったのも浦和だった。「あれだけ引かれると、どこから攻めればいいか分からなくなる」とDF森脇良太が振り返ったように、浦和はポゼッションで圧倒しながら決定的な場面をつくれない。逆に浦和は速攻を狙う甲府を相手に前半からシュート数3対5と下回るなど、チャンス以上にピンチが多かった。

「自分らしさを出せた部分はあると思う。慌てずに『(シュートを)受ける』のではなく、『シュートを打たせる』ようにしてのシュートストップはできたと思う」と、2年ぶりのリーグ戦出場を山岸は振り返った。実際に前半38分、FWパトリックと1対1の場面を迎えたが、絶体絶命の場面を救った。最初のシュートを足で阻むと、こぼれ球を拾われてのシュートも右腕で枠外へはじき出した。

「股下に打たせたわけではなく、来たシュートに反応しました。場面としては不利な状況ですが、あそこでどれだけ慌てずにプレーできるかが重要なので。1本目を止めたら、前に転がってしまったのですが、次もすぐに対応できました。でも、最後に森脇(良太)が戻ってきて、スライディングをしてくれていたのも大きかったと思いますよ」

 結局、山岸が弾いたボールはパトリックに拾われたが、角度のない位置からのシュートは枠外へ逸れている。ここを無失点で抑えた浦和は、後半にPKを獲得し先制した。しかし、後半ロスタイムに甲府のパワープレーを守り切れず、失点を喫して勝ち点2を逃した。「悔しいですね。1-0なら満足はできなかったけど、納得はできていたと思う」と、山岸は唇を噛む。だが、長い時間、ピッチに立てない悔しさに耐えてきたGKは「高い授業料という言葉は使いたくありませんが、同じことはもうやらせたくない」と、次につなげなければいけないと強調した。

 そんな姿勢を山岸は、試合終了直後にも、チームメイトたちに伝えていた。他の選手たちがスタンドに挨拶に向かおうとする中、一人ベンチに座り込んだFW興梠慎三のもとに歩み寄り、一緒に行くように呼びかけたという。

「(興梠は)悔しさを滲ませていましたが、全員で行かないといけないと思っていたので『全員で行こう。これで下を向く必要はないから』って言って、一緒に周りました。あそこで呼び出さないと、行かなかったと思う。結果がどうであれ、受け止めないといけない。罵声やブーイングを浴びるのも、浦和の選手の責任ですからね」

 久しぶりに味わったリーグ戦のピッチに立てる喜び。『復帰戦』で惜しくも手の先をすり抜けた勝利する喜びは、次の湘南戦できっちりつかむ。

(取材・文 河合拓)

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