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スタイル確立の国士舘大、後半戦3勝1分で最下位から急浮上:関東1部

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[9.21 関東大学リーグ1部第13節 日本体育大1-4国士舘大 味フィ西]

 JR東日本カップ2013 第87回関東大学サッカーリーグ戦1部は21日に第13節1日目の4試合を行い、日本体育大対国士舘大戦は国士大が4-1で快勝。7位へ順位を上げた。

 前節に首位・専修大を撃破するなど後半戦はこれで3勝1分で一気に6位浮上。前半戦を2勝7敗で最下位に沈んでいた国士舘大が猛烈な勢いで巻き返してきている。前半戦低迷した国士大はこの夏、チームアドバイザーとしてアテネ五輪日本代表監督の山本昌邦氏や元日本代表キャプテンの柱谷哲二氏らを育てた元監督で、国士舘大学学長や全日本大学サッカー連盟理事長などを務めた経歴も持つ大澤英雄氏が加わった。チームは1936年生まれの大澤氏や4年生たちの情熱あるトレーニングの中で原点に立ち返って強化。特に1対1は前日練習でも行う徹底ぶりで、「個々が絶対に負けない」という意識向上などチームに活気が出てきている。

 上昇気流に乗っているチームはこの日も前半を3-0で折り返す。ゴールは全てセットプレーからだった。前半5分、MF橋本拓門(4年=柏U-18)の左FKをファーサイドで競り勝つと、最後は中央のFW平松宗(3年=新潟ユース)が頭で押し込んで先制。36分に橋本の左CKを左SB藤嵜智貴(1年=清水ユース)が頭で合わせて加点すると、40分にも橋本の左CKからMF進藤誠司(3年=流通経済大柏高)が頭で決めて3-0と突き放した。

 細田三二監督はセットプレーでの3発に驚きつつも「キックの精度がいい」と橋本のキックを評価。その橋本やMF{池ヶ谷颯斗}}(4年=札幌一高)の展開など早い段階でボールを前線へ入れた国士大は、進藤のスピードやFW新村武玄(4年=東京Vユース)のアイディアなどを駆使して流れの中からもシュートへ持ち込むなど前半を非常に良い形で終えた。

 一方、倉又寿雄監督が「これで3試合で10失点。同じ失点の仕方をして動揺してしまっている。(結果が出ていなくても)下を向いていてはいけない」という日体大はビルドアップのミスからボールを失い、セットプレーを与えてしまう悪い形から大量リードを許してしまった。守備の柱である全日本大学選抜CB菊地俊介(4年=伊奈学園総合高、湘南ベルマーレ内定)が教育実習中のために不在。またチームはけが人も多く、苦しい陣容の中でMF稲垣祥(4年=帝京高、ヴァンフォーレ甲府内定)らが奮闘するも苦しい展開となった。

 それでもサイド攻撃を軸に反撃を続けた日体大は後半28分、左サイドをえぐったMF阿部潤(3年=矢板中央高)の折り返しを交代出場のFW田中豪紀(4年=三菱養和SCユース)がゴールへ押し込んで2点差。直後にも左SB高野遼(2年=横浜FMユース)から好クロスがゴール前へ入るなど試合の流れを引き寄せていた。ただ32分に高野が2枚目の警告を受けて退場すると、決定的な4点目を奪われてしまった。

 国士大は37分、FW福田真也(4年=東京Vユース)が強引な突破で中央を抜け出すと、そのパスから左中間を切れ込んだ進藤がシュート。こぼれ球を進藤が中央へつなぐと、最後は平松がダメ押しゴールを押し込んだ。

 国士大の細田監督は「やってきたことが形になってきた。(手数をかけずに)狭いところから広いところへ。それが選手たちに浸透してきた。また気持ちの面でも『戦うんだ」という気持ちが出ているし、出足も良かった」と評価。また細田監督は「まだチームとしてよくなっていかないといけない。インカレ出て優勝を目指す。きょう勝ったからといって慢心してはいけない」という右SB石川喬穂主将(4年=広島皆実高)を中心とした4年生の姿勢も高く評価している。石川は「前期は自分たちのスタイルが何だと言われた時に自分たちの意識統一がされていなかったんですけど、後期になって自分たちの戦い方がはっきりとできている。前期は相手に合わせることが多かったんですけど、後期はどんな相手だろうと自分たちのスタイルを貫いて90分やることができている。球際だったり、相手の裏をついて行く、そしてコンパクトにということをやっていて、1対1で絶対に負けないという部分も染み付いてきている」。多忙な合間を縫って連日チームを指導する大澤氏の存在とともに変わってきた国士大。結果の出なかった前半戦から浮上のきっかけを掴んだチームは一戦必勝の姿勢でさらに上位へ突き進んでいく。

[写真]後半37分、国士大は平松が2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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