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U-20代表の追加招集MF原川、"前科"吹き飛ばすインパクト

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 追加招集ながら強烈な存在感を見せつけた。U-20日本代表に追加招集されたMF原川力(京都)は東京Vとの練習試合でゴールを挙げると、セットプレーでも無回転の強烈なボールを蹴り込むなど、堂々のプレーをみせた。

 当初は代表に選出されていなかったが、MF大島僚太(川崎F)の離脱を受けての追加招集。しかし、この日は霜田正浩監督が原川について「いいと思う。あとから呼んだ子が最初に呼んでいた子よりも、ちょっと落ちるということではない」と話す通りの活躍ぶりだった。

 前半はボランチで出場。1-0で迎えた前半31分、MF長谷川竜也(順天堂大)のパスをゴール正面で受ける。右足で落ち着いてトラップすると、タイミングをずらしてコンパクトに左足を振り抜いた。「トラップが上手くできたので、落ち着いてGKを見て決めることができました」。ボールはゴールネットを揺らし、2-0と差を広げることに成功した。後半に入ると、トップ下に入ってプレー。得点にこそ、つながらなかったものの、セットプレーでは無回転のボールを蹴り込むなどインパクトを残した。

「練習でサイドを起点に仕掛けて、中から崩すというのをやっていた。練習通りのことができたかなと思う」。冷静にこの日のゲームを振り返った原川。約1年半前から大きく成長した姿がそこにはあった。

 2012年3月に行われたU-19代表候補の合宿。千葉との練習試合で原川は「自分が前に行った方が点が取れると思った」と独断でポジションを変更。試合が始まると監督の指示とは違うポジションへ入り、チームメイトたちも困惑する"事件"があった。「当時は自分のことしか考えてなかったし、チームにも監督にも迷惑をかけたと思う」原川はそう振り返る。

「そういう経験があるので、(きょうは)自分中心ではなくチームのことを考えてプレーしました。自分のためにプレーするよりも、チームのためにプレーした方が僕はいいプレーができるイメージがあるので」

 この日は献身的な働きぶりでチームのために奔走。前半はボランチで、後半はトップ下に入り、ゴールを狙いながらも味方を活かすべくプレーした。「僕はボランチでもトップ下でもどちらでもいい」。そう話す原川が追加招集の身から、リオ五輪世代の主力にのし上がる。

(取材・文 片岡涼)

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