beacon

浦和が2人退場の大宮から大量4点を挙げ、ダービーを制す

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.5 J1第28節 浦和4-0大宮 埼玉]

 J1は5日に第28節を各地で開催し、埼玉スタジアム2002では浦和レッズ大宮アルディージャのさいたまダービーが行なわれた。前半9分にPA内でFW興梠慎三が倒されてPKを獲得した浦和は、MF阿部勇樹がこれを決めて先制する。さらに、このプレーでDFニールが退場となり、数的優位も得た浦和は、その後も大宮を押し込み続ける。攻めあぐねる時間が続いたが、後半27分にMF原口元気が2点目を挙げると、FW興梠慎三、途中出場のMF関口訓充も得点を決めて4-0とした。その後、DF今井智基も一発退場となった大宮に対し、最後まで攻め続けた浦和がホームでのリーグ戦では実に7年ぶりとなるダービーの勝利を飾っている。

 浦和は前節の湘南戦(2-2)で3バックの中央を務めたDF山田暢久に代えて、DF那須大亮を先発で起用した。一方の大宮は前節のF東京戦(2-5)で先発したGK江角浩司に代えて、GK北野貴之が6試合ぶりにスタメンに復帰している。
[スタメン&布陣はコチラ]

 直近の5試合が1勝2分2敗で、首位の横浜FMを勝ち点4差で追う3位の浦和。一時は首位に立ったもののベルデニック監督解任後の7試合で1勝6敗と急降下している大宮。互いに、このダービーを浮上のきっかけにしたいところだった。

 最初に決定的なチャンスを迎えたのは、アウェーの大宮だった。ハーフウェーライン手前からMF渡邉大剛が右前方のスペースにロングボールを入れる。これを受けたFWズラタンがヒールパス。MF高橋祥平がゴール前に入れたクロスをFWノヴァコヴィッチがフリーで合わせたが、シュートは枠を捉えられなかった。

 浦和もすぐに反撃を見せる。前半8分には最終ラインの裏を取ったFW興梠慎三がGK北野貴之と1対1になった。ここはGK北野に阻まれたが、その1分後にも阿部が縦パスを入れると、原口がフリック。これを興梠が最終ラインの裏で受け、PA内にドリブルで仕掛ける。対応した大宮のDFニールに興梠が倒されると、家本政明主審はPKを宣告。さらにニールにレッドカードを提示した。このPKを阿部が確実に決めて、浦和が先制する。

 ビハインドとなった大宮は、ボランチで起用していた高橋をCBに下げ、ノヴァコヴィッチをトップ下、和田拓也を1ボランチに置く中盤をダイヤモンドにした4-4-1に布陣を変更した。しかし、数的優位を得た浦和が試合を優勢に進めていく。前半20分には右に大きく開いた位置でボールを受けたDF森脇良太がゴール前にクロスを入れる。興梠が左足のボレーで合わせたが、右ポストをわずかに逸れて行った。

 その後も数的優位を生かし、大宮を押し込む浦和は前半29分に原口がミドルシュートを放つが、クロスバーを越えて行く。さらに同32分にもノヴァコヴィッチのバックパスを高い位置でカットした柏木が狙いすましたシュートを放ったが、わずかに右へ逸れて行き、追加点を挙げられない。同37分には分厚い攻撃を見せて、最後はDF槙野智章がシュートを打ったが、GK北野に阻まれる。前半ロスタイムにも浦和は原口が大宮守備のミスを突き、無人のゴールにシュートを放ったが、懸命に戻ったDF今井智基にカバーされ、得点を挙げることはできなかった。このまま浦和が1点をリードして、前半を折り返す。

 後半も浦和が大宮を押し込む展開は変わらない。後半10分には興梠からのパスを受けた原口がシュートをゴールに突き刺すが、オフサイドで得点は認められなかった。耐えてきた大宮も後半16分、CKを得ると、そのこぼれ球を右サイドで拾った渡邉が中央に切り込み、左足でシュート。シュートは枠を捉えたが、GK山岸範宏に枠外へ弾き出された。

 後半18分には両チームに決定機が訪れる。まずは浦和が右サイドからクロス。ゴール前で宇賀神が合わせたボールが中央に流れると、原口が右足で合わせる。しかし、これはGK北野の頭に当たり、PA外へはじき出される。すると、このボールを拾った大宮が速攻に移る。ノヴァコヴィッチが左サイドにボールを展開し、フリーになってゴール前で折り返しのクロスを受けた。しかし、胸でのトラップが大きくなり、シュートに行けないまま攻撃が終わってしまう。

 後半27分、攻め続けた浦和がようやく追加点を挙げる。柏木から左サイドのスペースにボールが出ると、宇賀神が受ける。ゴール前にクロスを入れると、走り込んだ原口が合わせて浦和がリードを広げた。

 このまま試合を終えるわけにいかない大宮は、後半31分に右サイドから今井が上げたクロスをノヴァコヴィッチがボレーで合わせる。しかし、シュートはクロスバーに嫌われてしまう。すると、このクリアーボールを拾った浦和は、MF平川忠亮が前線に大きく蹴り出す。これを興梠が前線で収め、ドリブルで仕掛ける。GK北野を抜き、無人のゴールにシュートを流し込み、勝利を決定的なものにした。

 リードを3点に広げた浦和は、原口と平川を下げ、MFマルシオ・リシャルデスとMF梅崎司を起用する。さらに同35分にも興梠を下げて、関口を起用した。同37分には左サイドで縦に仕掛けた関口がゴール前にクロスを入れ、柏木が合わせたがシュートは左に逸れている。それでも1分後には、高い位置でマルシオがボールを奪い、PAへと走り込んだ柏木にパス。柏木の折り返しを関口が楽々と決めて、浦和が4-0と点差を広げた。

 攻撃の手を緩めない浦和は、その後も槙野が決定機を得るが得点を挙げられない。さらに後半44分には速攻から関口がGKと1対1になりかけるが、今井にユニフォームを引っ張られて止められる。このプレーで今井が一発退場となり、浦和は2人の数的優位を得た。このまま試合は終了し、浦和が4-0で勝利。ホームでのリーグ戦では2006年4月29日以来、実に7年ぶりとなる勝利を大勝で飾っている。

(取材・文 河合拓)
▼関連リンク
J1第28節LIVE速報

TOP