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勝ち取った残留争いへの“挑戦権”、最下位・東洋大が順天堂大下す!!:関東1部

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[10.5 関東大学リーグ1部第15節 順天堂大1-2東洋大 古河]

 JR東日本カップ2013 第87回関東大学サッカーリーグ戦1部第15節、8位・順天堂大と最下位の東洋大との一戦は2-1で東洋大が勝った。

「きょうの勝ち点3で残留争いへの挑戦権が得られた」。東洋大の古川毅監督はこの1勝の重要性を口にした。前節終了時点で東洋大は勝ち点9で最下位。残留圏内10位の日本体育大との勝ち点差は7へ開いていた。早稲田大、明治大、専修大の上位陣相手に3連敗していた東洋大にとっては残り8試合で迎えた正念場。残留の可能性はまだまだあるとは言え、ここで勝ち点3を加えなければ、モチベーションを維持することは非常に難しい状況に陥っていたはずだ。ただ東洋大はここで残留争いに踏みとどまる。

 前半3分、東洋大は右クロスに飛び込んだFW遊馬将也(武南高)がPKを獲得。これをエースFW黒須大輔(習志野高)が右足でゴール右隅へ流し込んで先制する。対する順大はMF長谷川竜也(2年=静岡学園高)とCB新井一耀(2年=清水商高)がU-20日本代表に招集されているため不在。それでもサイドまで確実にボールを運ぶと、そこからのダイレクトプレーで崩しにかかってくる。また元湘南ベルマーレの快足MF原田開(4年=磐田ユース)が動く出し速くオープンスペースへ走り込むなど、したたかにゴールを狙っていた。
 
 順大は前半34分、クリアボールに右中間で反応した全日本大学選抜MF天野純(4年=横浜FMユース)が左足ダイレクトでシュート。38分には左FKをファーサイドのMF青木翼(2年=清水商高)が頭で折り返し、MF和田直己(4年=静岡学園高)が決定的な右足シュートを放つ。だが東洋大はいずれもGK沖野泰斗(2年=幕張総合高)が好反応でストップ。また「チームで1、2のスピードを持っている」(古川監督)というCB筑井駿(3年=前橋育英高)が原田へ送られたボールに素早く対応して足に合わせるなどピンチを未然に防いでいく。後半10分には天野のスルーパスから原田に抜けだされるシーンがあったが、ここも沖野が好守で阻んで得点を許さなかった。

 東洋大は雨中でコンディションが悪い中、自陣のアタッキングサードではまずリスクを回避するプレーを選択。司令塔のMF石川俊輝(4年=大宮ユース、湘南ベルマーレ内定)とMF桑田直徹(4年=大宮ユース)を中心とした質の高いポゼッションをするチームだが、勝利することに集中した。多くの時間帯でボールが宙に浮くような理想通りのサッカーではなかったが、それでも勝ち点3を死守する。

 1-0のまま迎えた後半17分、東洋大は右サイドで粘った黒須から遊馬を経由してFW仙頭啓矢(1年=京都橘高)へ動かすと、強引に中央へ仕掛けた仙頭が混戦のボールを上手く収めて右足シュートをゴールヘねじ込む。守備に費やす時間の多かった東洋大だったが、ワンチャンスを活かして貴重な2点目。昨年度の高校選手権得点王がその決定力を示して白星に大きく近づいた。

 主導権を握っていた順大にとっては痛恨の2点目。今夏のユニバーシアードで日本を世界3位へ導いている吉村雅文監督は「0-1でいいんですよ。勝ち点3しか考えていないからこうなってしまう。2点目を取られないことが大事でそれを徹底してきたはずなのに……。弱いです」。1点差だからこそ追いつくチャンスがある。だからこそ守備のバランスを欠いていけなかった。だが、焦って相手のサッカーに合わせてしまい、攻め急いだ末に2失点目。後半アディショナルタイムにMF井村雄大(4年=横河武蔵野FCユース)の左CKをCB宮本和輝(2年=横浜FMユース)が頭で合わせて1点を返したものの、勝つしかない東洋大の気迫に飲み込まれた形となった。

 東洋大は前節までは3連敗を喫したものの、いずれも1点差で紙一重の敗戦。古川監督は「必要以上に落ち込む必要はないと思っていた。その3チームに互角、それ以上にできた手応えはあった」と言う。また前節の専大戦で右足骨折の重傷を負った注目FW三田尚央(4年=F東京U-18)の分まで戦おうと選手たちは気迫十分だった。石川は「(三田が)悔しい思いをしている。でも昨日、モチベーションを上げてくれるような動画を送ってくれましたし、それでやる気になりましたし、自分たちが三田のためだったり、試合に出られない応援してくれるみんなのためにも恩返ししなければいけない」と誓っていた。

 イレブンは勝ち点3を掴んだ試合終了後、ハイタッチを繰り返し、口々に「(この勝ち点3は)デカイ、デカイ」と話していた。チームが12月の全日本大学選手権に出場することができれば、三田も復帰できる可能性がある。この日残留争いへ大きな1勝を挙げたチームは暫定で勝ち点8差となった全日本大学選手権出場枠(5枠)確保も諦めていない。

(取材・文 吉田太郎)

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