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2得点でキャリアハイ更新の川崎F FW大久保「喜び、倍返しでした」

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[10.6 J1第28節 川崎F 3-1 柏 等々力]

 熱くなっているように見えても、頭の中はクールだ。川崎フロンターレのFW大久保嘉人は、6日の柏レイソル戦で2ゴールを挙げて、3-1の勝利に大きく貢献した。試合中に柏のGK菅野孝憲と言い合う場面もあったが、頭の中は常に冷静だった。

 キックオフから6分、大久保は先制点を挙げる。MF中村憲剛のロングボールを受けて抜け出したFWレナトが、左サイドを突破。ゴール前に入れたシュート性のボールに合わせて、均衡を破った。このゴールを振り返り大久保は「ビビっと来ましたね。『ボールがくるな』って。レナトはシュートを打ったんだと思います。そのまま入ったらそれでいいし、入らなかったら、触れるところにいつも練習から入っているので。レナトのシュートは速いから、あの位置ではDFも止まっていますし、(DFとGKの)間で点で合わせれば、ゴールが入ると思ったので、思いっきり走りました」と、練習からやってきた形がゴールにつながったと話した。

 後半6分にも、レナトが倒されて得たPKを大久保は決めている。右に蹴ったボールにGK菅野も反応したが、ボールは脇の下を通ってゴールに吸い込まれた。「完全に止められたと思いました」と大久保は明かす。

「ああ、またやっちゃったと思いましたよ。でも、止められたと思ったのが入ったから、逆に嬉しかった。外れたと思って、ゴール前に行ったら入ったので。ホッとしたし、その分、喜び、倍返しでしたね。あんなに嬉しいことはないよ。(菅野に)読まれていたけど、(喜びが)倍になって返ってきたから。オレの勝ちでしょ」

 先制点直後、大久保は首を痛めて一度、ピッチを離れた。試合後も「腕がピリピリする」と吐露したが、ベンチから交代するかと問われてもピッチに残ったのだと明かす。「後悔したくなかったからね。ベンチに下がって、痛さがなくなって『やれるじゃん』と思いたくなかったんすよね」という。

 ピッチに立ち続け、後半にもゴールを挙げた大久保は、今シーズンのゴール数を通算21点に伸ばした。「20点は嬉しいけど、まだ6試合ある。取り続けるだけです。それよりも、チームとして勝てたことが大きい。これを最終節まで続けたい」と、大久保はチームの結果を重視している。

 それもそのはず。6位に浮上した川崎Fは、30節に鹿島戦、32節に浦和戦、そして最終節に横浜FM戦と、上位との直接対決を残している。「上位との対戦が残っているのはモチベーション。続けて叩ければチャンスがあるからね。モチベーションは、みんなありますよ」。腕の違和感を少し気にしながらも、大久保はギラギラとした表情のまま、ミックスゾーンを後にしていった。

(取材・文 河合拓)
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