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勝って兜の緒を締める、7発大勝も城西国際大に慢心なし

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[10.6 平成25年度千葉県大学サッカーリーグ 1部秋期リーグ第5節 東京情報大0-7城西国際大 城西国際大G]

 城西国際大は6日、平成25年度千葉県大学サッカーリーグ1部第5節の東京情報大戦を、ホームグラウンドのPRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)で行った。前半から順調に得点を積み重ねた城西国際大は、今季最多タイの7得点を挙げ、7-0で大勝。後期初完封勝利を飾った。13日の次節は江戸川大と対戦する。

 城西国際大はこの日も不動の4-2-3-1のシステムで試合に臨んだ。GKは前期リーグ戦最終節以来のスタメン返り咲きとなった平山優樹(2年=長崎日大高)。DFラインは右から梅野健太郎(1年=福岡U-18)、重行拓也(2年=広島ユース)、廣瀬智行(1年=北海道大谷室蘭)、津川暢彰(2年=札幌U-18)が入る。

 ボランチには「パフォーマンスが落ちていたから」(小山監督)とレギュラーのMF橋本渉(2年=広島皆実高)をスタメンから外し、1年生コンビのMF雨宮幸太郎(1年=甲府U-18)とMF田中崚平(1年=広島皆実高)を起用。攻撃的なMF3枚は右から初スタメンを勝ち取ったMF黒木利樹(1年=宮崎日大高)、加藤潤也(1年=米子北高)、米澤康太(2年=都城工高)と並べ、1トップには後期初スタメンとなる井之元和之(2年=都城高)を配した。

 得点シーンだけを振り返れば何の問題もないのかもしれない。前半21分に井之元とのワンツーで抜け出した米澤がゴールネットを揺らし先制に成功。米澤は4試合連続ゴールとなった。さらに攻める城西国際大は、同28分に黒木がPA内で落ち着いた切り返しを見せ、右足でネットを揺らす。同39分、44分、45分には井之元が立て続けにゴールを奪い、ハットトリックを達成。前半だけで5得点を奪った。

 ただこのリードが後半、自らを苦しめることになった。梅野が「監督からハーフタイムに『もう一回締め直せ』と言われましたが…」と唇を噛んだ後半。絶対優位のはずの城西国際大が押し込まれる展開が続く。得点こそ奪われることはなかったが自陣でボールを回され、思うようなサッカーができない。「1人1人がバラバラで、チームでプレー出来ていない」。最後方からチーム全体を見渡したGK平山は素直にそう感じていた。

 だがそんな中で工夫も見えた。後半11分から井之元に代わって入ったFW浜田幸織(1年=諫早商高)がサイドに開き起点を作る。そこに加藤ら2列目の選手、さらにはボランチの雨宮らまでがゴール前に侵入。徐々に城西国際大らしいコンビネーションを復活させ、東京情報大守備網を崩していく。すると後半22分、そんな崩しの中で獲得したCKを重行が頭で合わせて追加点が生まれた。

 後半24分からは後期初めてベンチスタートとなっていたMF鯉沼将希(1年=東京Vユース)を投入。同30分からは最後のカードとして初のメンバー入りを果たしたMF川崎孝也(1年=日大山形高)をいきなり初出場させる。リズムを変えられる2人の選手を入れたことで、その後は怒涛の攻撃を仕掛けた城西国際大。東京情報大の体を張った守りの前に後半44分の川崎が挙げた1得点にとどまったが、最後までゴールに向かう姿勢を見せた。

「得点は入りましたが、前半も内容は良くなかった。後半さらに悪く見えたのは甘さからくるものだと思います。5点取ったことで気が緩んでしまっていた。サッカーは90分で決着が付くスポーツ。怪我人が出たり、退場者が出ることもあるし、何があるか分からない。後半もしっかりプランを実行してくれないと、これから先のチームのことを考えてもダメだと思う」

 南アフリカW杯の日本代表のチームコーディネーターなどを歴任した小山哲司監督は試合後、イレブンを一喝。結果にとらわれない、自身のチーム作りへのこだわりを説き、勝って兜の緒を締めていた。

 しかし選手1人1人の成長が見えたという点では成果もあった。初先発の黒木が初ゴールを記録。初出場となった川崎は、途中出場ながら初ゴールを記録した。これに触発されるように試合後に行われた八千代高との練習試合に出場した控え組の面々も次々とアピール。ある選手は「次は出られるかもしれません」と目を輝かせた。

 大勝を飾った城西国際大だが、今節の相手は後期未勝利とやや組しやすい相手だった。選手たちもこの日の得点後は激しいガッツポーズを見せなかった。傲り、慢心は見せなかったイレブン。更なる高みに上るためにも、こんなところで立ち止まっている暇はない。

(取材・文 児玉幸洋)

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