欧州遠征中の日本代表は10日、セルビア北部ノビサドの試合会場となるカラジョルジェスタジアムで公式練習を行い、11日のセルビア戦に向けて最終調整した。

以下、練習後の選手コメント

●FW柿谷曜一朗(C大阪)
「時差ボケは最初からない。コンディションはいいので、明日100%で臨みたい」
―ピッチの状態は?
「いいグラウンドというか普通です」
―合宿では今まで以上にコミュニケーションを取っているように見えるが?
「今までどおりだけど、会えば会うほどいろんな話はできる。そこまで意識していない。試合でできてナンボなので。試合でいいパフォーマンスが出せるようにいろいろ教えてくれたり、いろんなアドバイスがある」
―ファーストディフェンダーとして気を付けているところは?
「後ろの状況を確認したり、後ろの声を聞くことは意識している」
―セルビアのDFは当たりも激しいが?
「試合で激しいタックルが来たらファウルになると思うので、別にいいと思う。ボディコンタクトを避けているわけじゃないし、当たるときは当たる。当たって負けると思うときは当たらないけど」
―フィジカルコンタクトで気を付けていることは?
「特にない。基本的に僕と当たる人は自分より大きい人ばかりなので思い切ってやるだけ」
―手応えは?
「試合をやってみないと、どれだけよくなっているかは分からない。コンセプトを自分の中で整理して練習に取り組めているし、周りの選手ともコミュニケーションは取れている。でも、試合でどれだけできるかなので」
―欧州で2試合できることの意味は?
「チームとして集まれる機会は多くないので、ヨーロッパで集まってヨーロッパで試合ができることを大事にしたい。ヨーロッパで強い相手とやる中で2連勝したいという思いがすごく強い」
―セルビアの印象は?
「有名なチームでやっている選手もいるし、DFラインは背も高くて迫力がある。でも、日本のサッカーができればなんら問題ないと思う」
―相手のDFはプレミアリーグでプレーしている選手だが?
「ゴール前の集中力や、ボールを呼び込む動きが大事になる。チームとして戦ううえで、素早いカウンターのときは僕が起点になることを心がけたい」
―香川、本田との連係は?
「攻撃の選手全員の連係が完璧というのはどんなチームでもなかなかないと思うけど、あれだけ能力の高い選手たちが後ろにいてくれるので、いいパス、いいシュートというのはどんどん出てくる。それに応じて自分のプレーを変えていく必要はあると思う」
―タイプの違うハーフナーも招集されているが?
「一番前をやっていくうえで2人で日本を背負っていければいいと思うし、マイクくんのできるプレーは僕にはできないので、お互いのいいところを生かして日本が強くなればいいと思っている。サバイバルでどうやって勝ち抜いていけばいいかということは何一つ考えていない」
―欧州での試合ということで各国のスカウトも見にくると思うが?
「全然興味ない。日本が勝つためにやるだけです」
―W杯まであと8か月になったが、この時期にアウェーで2試合やれることについては?
「8か月もあるといえばあるのかもしれないけど、代表で集まれる期間はすごい限られているので、その中で勝ちにこだわることを意識している」

●FWハーフナー・マイク(フィテッセ)
―FW争いも激しいが?
「みんなタイプが違うし、自分は自分の持ち味を出していきたい」
―フィテッセではコンスタントに試合に出ている。
「毎試合フル出場しているし、コンディションは心配ない」
―柿谷と初めて一緒に練習しているが?
「うまいっすね。練習から見ていても分かる」
―1トップのポジションを争うが?
「自分とは特長が全然違う。自分の特長を試合で出していければいい」
―危機感はある?
「どちらかと言うと、いつもどおりマイペースでやりたい。慌ててもしょうがないし、なるべく自分のペースで試合に臨みたい」

●MF遠藤保仁(G大阪)
―今日は完全に合流した?
「全部やりました。特に大きな問題はなかった。100%の状態ではないけど、今日やってみた感じは悪くなかった」
―セルビア戦も出られる?
「それは監督が決めることなので。ここまではいい準備ができた。しっかりメンタルを明日に向けていい状態を保ちたい。監督に『行け』と言われれば行けるし、自分からストップをかける状態ではない。試合に出るなら出るで、いいイメージを持ってやりたい」
―試合会場のピッチコンディションは?
「昨日までの練習場よりははるかにいい。ちょっと滑りやすいかなと思う」
―セルビアのミハイロビッチ監督は現役時代にFKでも有名だったが?
「対戦したことはないけど、FKは世界レベルだし、右でも左でも同じレベルで蹴れる。好きだったし、鋭く曲がりながら落ちるボールというのは、あの当時なかなか蹴れる選手がいなかった。右利きなのにあれだけ左で蹴れるのはすごいなと思っていた」

●MF長谷部誠(ニュルンベルク)
「アウェーで、(スタンコビッチの)引退試合ということで、向こうも気合が入っていると思う。ビデオで見ると、確かにフィジカルは強いし、セットプレーでは危険なことをやってくる。いい相手だと思う」
―フィジカルコンタクトは日本の苦手とする部分だが?
「フィジカル的には世界でもトップクラスのチームだと思うけど、ボディコンタクトのないサッカーなんてないので、いかにそういう相手に自分たちが踏ん張れるか。その中でもできるだけフィジカル勝負に持っていかないことを考えたい」
―セットプレーは意識している?
「セルビアは予選を見てもセットプレーですごく工夫してやっている。明日はどういう形でやってくるか分からないけど、セットプレーは個人的にも日本としても課題だと思うので集中してやりたい」
―芝の状態は?
「練習場よりは全然いいし、そんなに悪い状態ではないけど、多少デコボコしている。でも、これくらいは許容範囲かなと思う」
―守備面はガーナ戦で手応えをつかんだあとの試合になるが?
「監督も今回の合宿で守備に時間を割くことが多いし、そういうメッセージを監督も選手に送っている。9月にできたことを引き続きやっていこうと。ビデオでも練習でも、継続してやっているので、9月のゲームを最低限のベースとしてアウェーでも表現していかないといけない」
―個人的なテーマは?
「守備に割く時間が多くなっている分、頭は守備のことを考えがちだけど、それだけじゃなくて攻守両面でいいバランスを保ってやりたい」
―柿谷が加わっての連係面は?
「監督の言っていることをしっかりと理解して、前線からの追い込みもしっかりやっている。攻撃の部分で相手のDFラインと見えないところで駆け引きしているし、それをすることでDFラインも下がっている。周りはもう少し彼の裏に抜ける動きを意識しないといけない」
―アウェーの4連戦を通して初めてつかめるものがある?
「そう思う。いろんなことにチャレンジしないと見えてこない部分はたくさんあると思う」

●MF細貝萌(ヘルタ・ベルリン)
「ヘルタで数多くの試合に使ってもらっているし、コンディションという意味では今までの代表よりいい感じで来れている。コンディションがいい分、やれることもあると思う」
―W杯まで残り時間も少なくなってきたが?
「代表は毎日一緒にいれるわけじゃないし、W杯までの試合数も限られている。毎試合毎試合、大事になる」
―セルビア戦はチャンスがありそうだが?
「中盤でプレッシャーをかけていって、ヘルタでやっているプレーをベースにしながら、自分の良さを多少消してでもチームに与えられた役割を果たしたい」
―セルビアの印象は?
「ビッグクラブでプレーしている選手も多いし、試合に出られれば楽しみ。チャンスがあればしっかりやりたい」

●DF酒井宏樹(ハノーファー)
「今回は良いチームとマッチメイクしてもらったので、良い経験になる。内容にも結果にもこだわっていきたい。特にSBには世界レベルの選手がいるので、自分が出ても出なくても参考になる」
―どうやって守る?
「セルビアは前の選手も強力だが、SBも攻撃力があるので、守備陣としては想定しなければいけないことが多く、難しい対応になると思う。最後のところでしっかり体を張れるように頑張りたい」
―守備のテーマは?
「守備陣は得点を決められる確率を減らすことしかできない。それをどれだけ減らせるか。DFラインだけでどれだけ連動してボールを奪っていけるか」
―3バックもやっているが?
「試合中にフォーメーションが変わっていけば、相手も迷うし、みんなが器用にやれば幅も出ると思う。最近は自分も試合に多く出ているので、焦らず平常心でやれればいい」
―イバノビッチとは共通点がある。どのような選手だと思っている?
「イバノビッチはCBもできる選手で、コラロフとは違う、守備的な選手。どちらかというとSBよりはCB寄りの選手で、すごく守備がうまいうえに攻撃力がある。ああいう選手になれればいいと思う。試合では相手SBと1対1になる場面は滅多にないと思うし、相手を見る余裕はないかもしれないが、すでにスカウティングビデオも見たし、試合後にビデオを見たりもできる。両SBが本当に良い選手なので楽しみです」

●DF長友佑都(インテル)
―練習場でスタンコビッチと会って抱き合っていたが?
「今日もまた『10分間はプレッシャーをかけないでくれ』と言われた。試合に出ても少しの時間だと思うということは彼も言っていた。彼の引退試合ということでお祭りムードはあるかもしれないけど、日本にとっては大事な試合。彼が(交代で)外に出てから本気の勝負をしたい。ビッグクラブでプレーしている選手が多いので楽しみ」
―セルビアはW杯予選で敗退している。
「そういう中で、日本はW杯に出るというプライドを持って戦わないといけない。セルビアが出ないなら、明らかに内容で劣るような試合をするようでは僕らもプライドが傷つく。やっぱり日本がアジアNo.1だと焼き付けさせたいし、このチームがW杯に行くならしょうがないと思われるような試合をしたい。ただ、一人ひとりのタレント性を見れば向こうの方が上だと思うし、相当力を持ったチームであるのは間違いない」
―日本が一段階上に行くには?
「スタンコビッチも言っていたけど、日本が良いチームなのは分かっているが、ただ、ビッグチームと比べるとそこまでではないだろうと。僕自身もそう思う。その認識を一戦一戦で変えていきたい」

●DF内田篤人(シャルケ)
―セルビアの印象は?
「フィジカルが強いし、技術もある。W杯に出られないようなチームじゃない」
―欧州予選は厳しい。
「シャルケでやっていても、(ペルー代表の)ファルファンもW杯は厳しいのかな。こういういい選手でもW杯に出られないとか、いろいろ思うことはあるけど、だからこそ恥ずかしいプレーはできない。欧州のチームとやれば、日本はW杯出場をすでに決めているチームと見られる。変に意識しすぎる必要もないけど、そう思われるわけだから」
―相手の左SBはマンチェスター・シティで活躍しているコラロフだが?
「スカウティングでも話にあったけど、どこにでもいい選手はいるし、ブンデスにもいるから。いい選手だと思うし、頭には入れるけど、対面して初めてやるというのもおもしろいからあまり意識しない」

●DF森重真人(F東京)
―東アジア杯後、代表に定着したが?
「今回、選ばれたことはよかったと思っているけど、これが終われば、次に呼ばれるまでがまた勝負になる。常に試合に出たいと思いながらやっていきたい。代表に長くいればいるほど、ベンチでもいいかなとなってしまう。東アジア杯のころのようなギラギラした感じを持っていないといけないと思っている。チャンスがあればいい結果を残したい」
―今遠征でも3バックを試す可能性があるが?
「そこ(3バック)が自分のチャンスのつかみどころだと思っている」

(取材・文　西山紘平、矢内由美子)