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「見えない敵」に苦しめられるも決勝進出、柏FW工藤「勝ちにこだわりたい」

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[10.12 ナビスコ杯準決勝第2戦 横浜FM2-0柏 ニッパ球]

「決勝に駒を進めたのはポジティブ」。第2戦は0-2で落としたものの、柏レイソルのFW工藤壮人はノルマ達成に胸を張った。

 一昨季のクラブW杯ベスト4入りを皮切りに、昨季は天皇杯を制覇し、カップ戦で強さを見せている柏。天皇杯のような一発勝負だけでなく、ホーム&アウェー形式でも結果を残し、ナビスコ杯は決勝に進出し、ACLでもベスト4入りをはたした。「ACLもそうだけど、180分で考えている」と言う工藤だけでなく、チーム全体の統一した意識があるようだ。その証拠に0-2とされてからは、チーム全体の守備意識が向上。0-3とされれば完全に横浜FMペースとなってしまうだけに、3点目は絶対に与えないという気迫が11人からみなぎっていた。

 ミックスゾーンで工藤が表情を曇らせたのは、チームや横浜FMではなく「見えない敵」に対する不満から。工藤が「イエローの数がおかしい」と指摘するように、この日は審判の笛に泣かされた。柏は4回警告を受けたが、横浜FMはゼロ。MF大谷秀和とDF橋本和は決勝が出場停止となる。「ファイナル進出にリスクを持って臨んだ」と試合後の会見で明かしたネルシーニョ監督だが、決勝進出と引き換えに大きな代償を払うことになった。

 審判に悩まされたのは警告だけではない。横浜FMの2点目で柏の選手の足が止まってしまったのは、直前のプレーの影響が大きい。柏がマイボールだと主張したスローインが横浜FMにわたり、そのスローインからボールをつながれ、MF佐藤優平がネットを揺らした。「自分は見える位置にいなかったけど、(近くの選手が)あれだけ抗議するってことはそういうこと」。怒りがおさまらない様子だったが、後はチームに任せると気持ちを切り替えた。
 
 今季はリーグ、ACL、ナビスコ杯で24得点を挙げて名実ともにエースに成長した工藤だが、現在は公式戦5試合無得点が続いている。その間1分4敗とチームも調子を落としている。「チームの状況を変えるためにもゴール」を欲する工藤。「決勝は勝ちにこだわって楽しみたい」。14年ぶりとなるナビスコ杯制覇は、エースストライカーの活躍がカギを握っている。

(取材・文 奥山典幸)

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