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けが人続出も総理大臣杯王者から会心の4発勝利、専修大が3連覇へ弾みの一勝:関東1部

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[10.12 関東大学リーグ1部第16節 専修大4-0流通経済大 RKUフットボールフィールド]
 
 JR東日本カップ2013 第87回関東大学リーグ1部第16節、首位の専修大と総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント優勝の流通経済大との注目カードは全日本大学選抜MF長澤和輝主将(4年=八千代高)の先制ゴールなどによって専大が4-0で快勝。2位・早稲田大との勝ち点差を8へと開き、独走態勢に入っている。

 専大はJリーグ3クラブが争奪戦を繰り広げている全日本大学選抜MF下田北斗(4年=大清水高)が「今までは勝っても苦しい試合だった。でもきょうは相手のやる気を削ぐというか、戦意を喪失させられたのは良かったと思います」と笑みを浮かべ、源平貴久監督も「前半で向こうの体力と戦意を奪うことができた」と納得の表情を浮かべた会心のゲーム。注目アタッカー、MF中美慶哉(4年=前橋育英高)やMF黒田拓真(4年=東大阪大柏原高)らを怪我で失っている流経大を圧倒した。

 前半はパワーで相手DFを上回るFW田上大地(2年=流通経済大柏高)とFW石井雄輔(4年=流通経済大柏高)の2トップ中心に力で押す流経大がシュートシーンをつくる。5分には中央突破した田上のパスから石井が左足を振りぬき、15分にもMF中山雄登(4年=広島ユース)のパスでスペースを突いた石井がシュートまで持ち込んだ。そして22分にはMF江坂任(2年=神戸弘陵高)が決定的な左足シュート。ただ、こちらもけが人続出で3-6-1システムを組んだ専大は長澤と下田、全日本大学選抜FW仲川輝人(3年=川崎F U-18)がPA近くでもボールを失わないキープ力を見せてじわりじわりと流経大を押し込んでいく。また、3-6-1の両ワイドに入った右の全日本大学選抜MF北爪健吾(3年=前橋育英高)と左MF小口大貴(1年=川崎F U-18)の走力が相手との差をつけた。

 先制点は前半30分、下田が左サイドのスペースへボールを送ると小口がセンタリング。これを受けた長澤がDF1人をかわして先制点を決める。さらに36分には抜け出した仲川の折り返しをFW前澤甲気(3年=清水商高)がゴールヘ沈めて2-0で前半を折り返した。ハーフタイムに流経大の中野雄二監督から「無難にやっているだけ。相手に何のプレッシャーもかけていない。このまま終わるのか?」とゲキを受けた流経大も前に出ようとするが、プレッシャーを苦にせずボールを保持する長澤や下田の前にPAへ押し込まれる状況。専大は後半12分、右サイドからボールをつなぐと最後は長澤からのパスを受けた小口が右足で決めると、26分には仲川のシュートのこぼれ球を交代出場のFW佐野弘樹(2年=桐光学園高)がスライディングで押し込んで4-0とした。

 流経大は31分にカウンターから田上のスルーパスに反応したFW藤山凌(2年=東海大五高)が決定機を迎えるが、GKの好守に阻まれ、試合終了間際に江坂が鋭いターンから放った左足シュートもゴール右横へ外れた。特に終盤はゴールエリアで何とか相手の攻撃を跳ね返す時間帯がほとんど。総理大臣杯優勝によってインカレ出場を決めてしまっているため、モチベーションの維持の難しさは確かにある。だが運動量を欠き、1点を取り返す意地を見せることもできなかった。

 専大にとっては大きな勝ち点3だ。今季はCBに怪我人が相次いでいるが、加えて後半戦最初の2試合は長澤を教育実習で欠き、先週は虫垂炎の下田や前澤も不在とメンバー構成が非常に厳しい状況だった。ただ苦しい状況の中で始めた新システムが機能し始め、先発起用されたDF中村侑人(4年=三菱養和SCユース)やDF篠崎拓也(3年=桐光学園高)が専大のサッカースタイルを良く理解しながら健闘。この日は無失点で勝利に貢献した。

 専大は主力不在の中で厳しい試合を経験したことでチームの厚みが増し、主力の復帰、コンディション向上によってまた高いレベルのサッカーを展開し始めている。「メンバーが揃ってきて、また上がりつつあるところがきょうは良かったところですね」と指揮官。この日、早大が敗れたことで2位との勝ち点差は8へ広がった。長澤が「まだまだこれからだと思う」と語ったようにまだけが人が多く、安心は全くしていないが、王者は陥りかけていた停滞ムードを早くも打破している。
 
(取材・文 吉田太郎)
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