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遠藤「どんなに厳しいマークをされても、日本の武器はやっぱり左サイド」

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 FW香川真司とDF長友佑都が厳しいマンマーク守備の前に撃沈してしまったセルビア戦。日本の攻撃の生命線である左サイドが封じ込められた東欧遠征初戦は、攻撃陣に少なからぬ動揺を与えた。

 試合直後、香川は「消化不良」と声を絞り出し、長友は「話すのは頭を整理してからにしたい」と言った。試合翌日にはMF本田圭佑が報道陣に「僕は今日はしゃべらない。意見を聞かせて欲しい」と求めてきた。左サイドからの攻撃にはまんざらでもない自信を持っていただけに、道をふさがれた際の反動は大きかったようだ。

 では、左ボランチとして左サイドの攻撃陣をサポートしているMF遠藤保仁(G大阪)は、この現実をどう受け止めているのか。その答えは極めて明確で、そのうえ強気だった。

「左サイドの攻撃は日本のストロングポイント。僕は基本的には、相手にしっかり付かれても、それでも(左サイドから)崩していくということを考えている。ある程度マークに付かれていても崩し切れるようにするには、選手間の距離感や、動きなどを少しずつ良くしていかなければいけないが、それは選手同士で話してもいる。極力そういう場から逃げずにやっていきたいと思っている」

 香川をもっと生かすためのアイデアの一端にも言及した。ポジションチェンジが有効だという。

「(香川)真司が中に入ってきたり下がったりするので、明らかなポジションチェンジというよりは流れの中でポジションチェンジをしていけばいいと思う。僕自身もより高い位置を取っていこうと思っているので、少しずつトライしていきたい。(長友)佑都も使いながら、いろいろなパターンを左サイドで出していければいい」

 シュートが少ないことを指摘されると、うなずきながらも「強引すぎるのはどうかと思う」と言った。「とりあえず打って相手に当たって入ることもあるかもしれないが、そういうのは10試合に1回くらいあるかないか。20本打っても入らないと意味がない。精度を高めることも重要」と冷静な表情を向ける。

「もちろん勝ちながら成長するのがベストだが、全試合勝てるわけではない。勝ち負けは僕はあまり気にしていない」とも言った泰然自若のベテラン。苦境にあってもブレないこのメンタルが、ザックジャパンの真ん中にいることは心強い。

(取材・文 矢内由美子)

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