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2連敗の中に本田が感じた日本代表の「進歩」

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[10.15 国際親善試合 日本0-1ベラルーシ ジョジナ]

 試合終了の瞬間、がっくりとうなだれ、両膝に手をついた。メインスタンドのサポーターに挨拶する選手の列にも加わらず、一目散にロッカールームへ姿を消したMF本田圭佑(CSKAモスクワ)。試合中にはピッチを右拳で叩くなど苛立ちをあらわにしていたが、ロシアへ戻るためスーツ姿に着替えて出てきたミックスゾーンでは、落ち着いた表情で報道陣の質問に答えた。

「勝てないというところはある意味、収穫かなと思う。これを日本でやって、ガーナに勝ったみたいにセルビア、ベラルーシに勝っていても意味がない。アウェーで勝つことで、結果としてステップアップしないといけなかった。そういう意味で残念だけど、それも実力。しっかりと受け止めないといけない」

 セルビアに0-2、ベラルーシに0-1。W杯欧州予選で敗退している2チームを相手に1点も取ることができずに2連敗を喫した。

「なぜアウェーだと結果が出ないのか。自分たちが悪いのか、相手がいいのか。メンタルが多少なりとも影響しているところもあると思う。普段のリーグ戦からしっかり向き合って、結果にこだわってプレーすることで、日本代表のレベルも向上すると思う」

 重くのしかかる2連敗という結果。しかし、本田は「自分たちのサッカーを貫いていることは進歩だと思う」と前向きに捉えている。「ここでみなさんに叩かれてブレるようなことがあれば、それが一番ダメなこと」。今は、さらなる高みにたどり着くための“生みの苦しみ”にあるという。

「W杯用に、さらに大きなものを披露しようと組み立てている段階でもある。前と同じようにすれば得点できていたかもしれないが、新たなトライをしていることで、その新しいことがうまくいかない。新しいトライをすることで、前の良さが出てない。そのへんのチグハグさは若干あると思うけど、そこは監督も選手も悲観していない。(11年1月の)アジア杯で優勝したサッカーをW杯でするつもりはない。1歩2歩先に行こうと、いろんなシミュレーションをしながら戦っている。そこは非常にポジティブに考えている」

 アジア仕様ではなく、世界仕様のサッカーを目指すうえでの発展途上にあると本田は言う。セルビア戦後には選手同士で話し合い、活発な意見も飛び交った。

「選手からいろんな意見が出るのはいいことだと思う。どんどん出すべきだし、正直、ぶつかるのが遅いぐらい。結局は同じ日本人でも、育ってきた環境も違えば、サッカーをしてきた環境も違う。攻撃でも守備でも、サッカーに対する考え方は違う」

 選手が意見をぶつけ合い、目指すべき方向性を確認し、意思統一してきた。ブラジルW杯まで8か月。南アフリカW杯では本大会直前のスイスキャンプで選手ミーティングを行い、“軌道修正”に成功したが、当時と比較して、この時期に選手が危機感を持っていることはポジティブな要素であり、日本の進歩だと本田は考えている。

「ちなみに前回のW杯では、それをスイスのキャンプで行った。そこは少なくとも進歩している。このままだと負けるぞと、みんなが危機感を抱いて話し合っている。そこは進歩だし、そこに妥協はない」

(取材・文 西山紘平)

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