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新システムも機能、アクシデントも乗り越えた城西国際大が完封勝ち

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[10.27 千葉県大学サッカー1部秋期リーグ第2節 中央学院大0-1城西国際大 中央学院大G]

 城西国際大は27日、雨天延期となっていた平成25年度千葉県大学サッカーリーグ1部第2節の中央学院大戦を行った。敵地に乗り込んでの一戦は、前半33分にFW井之元和之(2年=都城高)が挙げた1点を守り抜き、1-0で勝利した。城西国際大は11月3日に延期となっている帝京平成大戦を戦い、今季のリーグ戦全日程を消化する。

「やっとサッカーらしいサッカーが出来ました。こういう緊張した状態で勝ちきれたのは大きいです」。南アフリカW杯の日本代表のチームコーディネーターなどを歴任した小山哲司監督は試合後、満足げにゲームを振り返った。

 秋期のこの組み合わせは当初は9月15日に行われる予定だったが、当日の悪天候によりこの日に延期となっていた。通常の日程を消化した後に行われたため、中央学院大にとっては今年度の最終戦。最終学年生にとっては最終戦となることもあり、試合前から下級生による応援に熱がこもる中、キックオフの笛が鳴った。

 これまで4-2-3-1のフォーメーションを基本として戦ってきた城西国際大だが、この日は4-3-3のシステムを採用。前線からの守備を徹底し、中央学院大が得意とするボール回しをさせない作戦を立てた。またレギュラーCBの重行拓也(2年=広島ユース)がこの日は負傷のためメンバー外。代わってポジションにはFW登録の寺田大輝(2年=浜松開誠館高)を起用し、試合に臨んだ。

 GKの先発は平山優樹(2年=長崎日大高)。DFラインは右から梅野健太郎(1年=福岡U-18)、寺田、廣瀬智行(1年=北海道大谷室蘭高)、津川暢彰(2年=札幌U-18)が並ぶ。中盤の3人は下がり目のアンカーポジションに田中崚平(1年=広島皆実高)、前目に雨宮幸太郎(1年=甲府U-18)、加藤潤也(1年=米子北高)という1年生トリオが配され、前3人は井之元和之(2年=都城高)を頂点に右に黒木利樹(1年=宮崎日大高)、左に秋期リーグこれまで全試合得点中と絶好調の米澤康太(2年=都城工高)が入った。

 両者の対戦は今季3度目。1度目の春のリーグ戦は城西国際大が7-0で大勝。2度目の対戦となった総理大臣杯予選では中央学院大が4-1でものにしている。どちらかの一方的な展開が続いたが、この日のゲームは1点を争う好ゲームになった。

 立ち上がり早々、城西国際大は思わぬアクシデントに見舞われた。相手セットプレーによるゴール前の混戦で廣瀬が相手選手と接触。倒れ込んだところに相手選手に乗っかられる形で左足を負傷。ピッチを出て治療後、一度は試合に復帰したが、9分に中原翔矢(1年=広島ユース)と交代。CBはこれでますます急造感の濃いコンビが試されることになった。

 試合は拮抗した展開が続いた。最終学年生6人が先発メンバーに並んだ中央学院大が気持ちの入ったプレーを見せれば、城西国際大も集中した守りからカウンターにつなげるサッカーで応戦。カギを握るとみられていたセットプレーからチャンスも作り、得点機会をうかがった。

 ただ結果的にはミスが勝敗を分けることになった。城西国際大は前半33分、中央学院大の最終ラインによるパス回しが注意散漫になったところを見逃さなかった井之元がカット。そのままゴールに流し込み、ゴール右隅に収めた。「常に狙っていた」と選手たちが話した通り、中央学院大の見せた一瞬の隙を見逃さず、先取点を奪った。

 狙い通りの展開に持ち込んだ城西国際大は積極的に交代枠を使いながらゲームを進めていく。後半13分には雨宮に代えて小栗和也(1年=北海道大谷室蘭高)、後半31分には最後のカードを切り、黒木に代えて鯉沼将希(1年=東京Vユース)をピッチに送り込んだ。最後まで集中力を切らさなかった城西国際大は1-0で逃げ切り、3連勝を飾った。

 秋は無敗だった中央学院大に唯一の黒星を付け、秋期リーグ2度目のクリーンシートも達成した。初のCBでの公式戦出場となった寺田が「結果として無失点で終われましたし、そこは自信につながると思います」と話せば、急きょの出場となった中原も「準備は常にしていました。呼ばれたときは焦ることなく、落ち着いて入れました」。その他の選手たちも一様に充実の汗をぬぐっていた。

 今季のリーグ戦も残すはあと1試合となった。目標としていた優勝の可能性は潰えたが、春は控えだった1年生も台頭するなど、着実にチーム力を上げている。「いいサッカーが出来たと思います。こういうサッカーをしていれば先に繋がると思います」。試合後、イレブンの成長を感じ取った小山監督から笑顔が絶えることはなかった。

(取材・文 児玉幸洋)

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