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[選手権予選]ボトムアップ理論導入の綾羽、怒涛のゴールラッシュで初Vへ前進:滋賀

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[10.31 全国高校選手権滋賀予選3回戦 綾羽10-0国際情報 ビッグレイク]

 第92回全国高校サッカー選手権滋賀県予選3回戦(ベスト16)が31日、ビッグレイクで行われ、綾羽と国際情報が対戦。10-0と大勝で初優勝に弾みをつけた。

 ここ数年、着実に力をつけ全国まであと一歩まで迫るも、野洲や草津東など、ライバルの壁に敗れていた綾羽だが、今年は少し違う。就任13年目を迎えた岸本幸二監督が今年から選手主体となって、練習からメンバー選考など試合までを行うボトムアップ理論を導入。この日も、選手たちが話し合い「(ベスト8まで)中一日なので、疲労や怪我、出場停止などを考えてメンバーを話し合った」(DF堀井翔太、3年)と、国際情報戦だけでなく、ベスト8も含めた2試合トータルを考え、スタメンを選んだ。

 結果、これまで試合に出ていたスタメンは半数の6名。主将のMF山本涼太(3年)はベンチ外。攻撃のキーマンであるFW奥井良樹(3年)もベンチから戦況を見守ったが、序盤から山本に代わってキャプテンマークを巻いたアンカーの高野大輝(3年)を起点にボールを動かし、ゲームを支配。中央でのボール回しから、サイドのスペースへ展開し、左からはFW北川純希(3年)のドリブル突破、右からはFW小野山翔(2年)の飛び出しで決定機を作る。

 狙い通り、前半18分に中盤からのスルーパスを左に走りこんだ北川が中へクロス。走りこんだMF田中寛之(2年)が角度のない位置から頭で合わせて先制すると、30分には右サイドの高い位置でボールを奪った小野山のパスをFW中西真吾(3年)が決めて、2-0で前半を折り返す。

 そして、前半のボール回しで相手の体力を奪った後半は怒涛のゴールラッシュを開始。後半2分にあげた中西のゴールを皮切りに、8分には高野、30分には後半から入ったFW岩井健(2年)が決めて一気に5点差まで突き放す。残り10分を切ってからは「これまでスタメンで出ていたけど、選手権前からサブに落ちていた。頑張って活躍して、スタメンを取り戻そうとしていた」と意気込み十分だったMF奥村南斗(3年)が32分の一撃をきっかけに4ゴール。34分に生まれたMF高木哲八(2年)のゴールを含め、10-0の大差で試合を終えた。

 選手交代も点差や流れに応じた交代プランを用意しておき、岸本監督は交代を告げるだけ。指揮官は「次の試合のメンバーを決めるアピールの場であるし、モチベーションを持って送り出した」ものの、「僕から何かしたっていうのは無い。僕は選手に動かされているだけ」と笑う。

 新チーム結成後しばらくは、何も言わない監督に「最初は戸惑った」(堀井)。「走りの練習などで楽な方を気づかないうちに選んでいた」(高野)といい、気がつけばプリンスリーグ関西2部で結果が出ず、高校総体予選でもベスト8で姿を消した。

 チームに変化が生まれたのは今年の夏。石川県で行ったフェスティバルで4位になり、「自分たちがやってきた事は間違ってなかったと自信になった」(堀井)結果、9月以降、チーム状態は上向きで、初の全国出場も視野に入ってきた。

 頼もしさを増したチームについて、岸本監督は「これまでの積み重ねが出てきている。僕が言わないと出来ない子たちなら、また違ったかもしれない。選手たち自ら動いてくれるので、昨年までみたいに選手たちに口酸っぱく言わないで済む」と分析する。

次戦は高校総体準優勝の比叡山を破った立命館守山。北川が「強敵なので、気持ちを一つにして、綾羽の一体感を見せて頑張りたい」と口にしたように、大勝にもチーム全体に浮かれる様子は一切なし。初の全国舞台へと気を引き締めた。

[写真]綾羽は前半18分、MF田中が先制ゴール

(取材・文 森田将義)
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