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[MOM878]日章学園MF菊池禎晃(3年)_全国大会の“主役”の座狙う九州屈指の司令塔

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 全国高校選手権宮崎県予選決勝 日章学園4-1都城工 宮崎県総合運動公園陸上競技場]

 周囲を驚かせるような閃きと繊細なラストパスで輝きを放つ九州屈指の司令塔だ。日章学園の主将を務めるMF菊池禎晃(3年)は1年時から名門の中盤で主力を担い、そのアイディアと技術で存在感を放ってきた。

 この日の決勝では前半、高い技術を見せる一方でボールロストする回数も多かった。それでもセットプレーで味方の頭に正確なボールを合わせ続けていたMFは1-1で迎えた後半、試合の行方を決定づける役割を果たす。まずは3分、右FKからCB岩切龍二(3年)の勝ち越しヘッドをアシスト。その後も、浮き球をダイレクトでのラストパスに変え、左サイドからGKとDFとの間に“触れば1点”というラストパスを入れてくる。

 そして絶妙なボールコントロール、パスで会場を何度も沸かせていたMFは38分、カウンターから左サイドを駆け上がると、FW村田航一(2年)の前方へ右足でピンポイントのラストパス。早稲田一男監督も「紙一重のところでしたね」と唸った高精度のパスを村田が1タッチでゴールヘ沈めると、菊池は静かにガッツポーズして喜んだ。ただ本人は試合後「プリンスリーグでは徐々に上がってきていたんですけど、トーナメントでは別の壁が出てきていて、それにぶち当たってしまっていた。(準々決勝の宮崎)日大戦も鵬翔戦も全然ダメで当たり前のプレーしかできなかった。それでは自分は満足しないし、結果を残したかった。(きょうも)全然です。得点を取らないとMFは怖くないと思う。得点もアシストもしたい。アシストはいいと思ったけど、それだけでした」と全く満足していなかった。

 今年は夏前まで股関節痛に悩まされたこともあり、本領発揮をしてきたとは言い難い。それでも体重を増やさないことに気を遣い、わずかでもボールを触り続けて、ビデオでイメージを養ってきた。そして現在はコンディションを回復させているだけにその技巧とアイディアが全国でも注目されることは間違いない。早稲田監督はまだボールを失う回数について苦言を呈するものの、「本人も(故障によって)自信なくしたり、そういう部分があると思うんで、(今回の優勝で)一息ついて大きくなればいいと思う。より高い要求をされるので、打ち勝っていってほしい」と期待する。

 2年ぶりに出場する全国選手権へ向けて菊池は「一番はチームが勝つことですけど、勝っても自分がチームのプラスにならなければ、面白くない。逆に自分がプラスになっても負けたら意味が無い。勝って、自分もどの試合でもずっとMVP取れるように。全部オレだと言わせられるようにしたい」。目標は大会の主役を演じて日本一。将来のプロ入りを目指して関東1部の強豪大学に進学する予定の注目MFが、全国でインパクトを残す。

(取材・文 吉田太郎)
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