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[選手権予選]U-18日本代表FW小屋松「壁を乗り越える」昨年度全国準Vの京都橘が4強入り:京都

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[11.4 全国高校選手権京都府予選準々決勝 京都橘3-1立命館宇治 太陽が丘球技場]

 第92回全国高校サッカー選手権京都府予選準々決勝が4日、太陽が丘球技場で開催され、昨年度全国準優勝の京都橘と立命館宇治が対戦。京都橘が3-1で勝利し、2年連続出場に向けて一歩、前進した。

「全国より京都の方が難しいかなと思ったりする」。

 昨年度の全国選手権得点王で主将のU-18日本代表FW小屋松知哉(京都橘3年)が口にしたように、全国でも有数の激戦区である京都を勝ち抜く難しさを表した前半だった。

 試合開始直後に襲った強雨で荒れたピッチに苦しみながらも、京都橘はMF中野克哉(3年)とMF中山俊輝(3年)の両サイドMFにボールを繋ぎ、相手陣内に攻め込んだが、ゴール前での息が合わず。それでも、15分には中央からのスルーパスで左を小屋松が抜け出し、ドリブルから中へとパス。逆サイドの中野がシュートを狙うなど、個の力で強引に1点を奪いに行くが、ゴールが奪えない。

 一方の守備陣も「ずっと引かれた相手をどう崩すかがテーマだったこれまでの2試合とは違う。回してばっかりの試合が続いていたので、DF陣が攻められるのに慣れてないというか、慌ててしまっていた」(京都橘・米澤一成監督)と相手にチャンスを与えてしまい、38分には中盤からDFへのバックパスを立命館宇治FW登尾雅志(3年)に奪われ、ドリブルからフリーでシュートを打たれるなど、肝を冷やす場面が続いた。

 ピリッとしない前半ではあったが、「こうなる予感はあった」(米澤監督)。小屋松も「しっかり耐えながら、どこかでペースを握れると信じていた。前半は耐えつつ、後半は自分らのペースが出てくると思っていた」と焦りの色は無し。その言葉通り、後半開始3分に右サイドから中央へ切り込んだ中野が一度は相手DFに奪われながらも、強引に打ったシュートがネットを揺らして、先制点を奪うと、わずか2分後にはゴール前での混戦から、「いまいち良く覚えてないけど、泥臭く出来たかなと思う」という小屋松のゴールで突き放しに成功する。

 11分には登尾にミドルシュートを決められ、1点差に詰め寄られるも、27分にはFW宮吉悠太(3年)がドリブルから3点目を奪って勝負あり。序盤こそ苦しんだが、橘らしい勝負強さを発揮し、準決勝進出を果たした。

 昨年度の全国選手権準優勝校だが、京都で苦戦を強いられてきた。プリンスリーグ関西1部は2位で終えたものの、新人戦、総体予選ともにベスト8で敗退。「皆の『全国行きたい』という気持ちとか、今年はベスト8より上に行けていないので『壁を乗り越える』という気持ちがあった」(小屋松)後半はしっかりと戦う気持ちを見せて、勝利を手繰り寄せた。

 選手たちの気合いの入った姿を眺め、米澤監督も「楽しかった。攻防があるゲームやったんで、選手にとって良かったと思う」と満足げな表情を浮かべたように、佳境に差し掛かった選手権予選終盤に向け、京都橘にとっては戦闘スイッチを入れるために重要なゲームとなった。選手たちは昨年、目の前で逃した“日本一”へのリベンジしか考えていない。そのためには京都を打破することが、まず第1のミッション。残り2試合、負けるわけにはいかない。

[選手権予選]後半37分にピッチを退いた京都橘FW小屋松。昨年度選手権得点王は歓声にハイタッチで応えた

(取材・文 森田将義)
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