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[MOM880]京都橘MF中野克哉(2年)_“大人になりたい少年”が成長を示した1G1A

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 全国高校選手権京都府予選準々決勝 京都橘3-1立命館宇治 太陽が丘球技場]

「2年になったんで、大人になりたい。1年の時から、コーチに『まだ子供』とよく言われるし、大人になることが良いプレーに繋がると思う。普段の行動から変えようと意識しています」と口にするように、表情や言動からまだまだあどけなさが残る。

 だが、一度ピッチに入れば一変するのが京都橘MF中野克哉(2年)という男だ。昨年度の全国選手権ではルーキーながらも、切れ味鋭いドリブル突破でダブル得点王となった小屋松知哉と仙頭啓矢(現・東洋大)の2トップに次ぐ、攻撃の要として存在感を示していた。だが、新チーム結成後は「新人戦、インターハイともに全然良くなかった」(米澤一成監督)と本来のキレを失い、本領発揮とはいかなかった。

 ただ、「夏以降良くなってきた。元々、持っている物はあるので、それがチームとしてちゃんと戦う部分が出せたら出来る選手」と米澤監督が話したように、選手権が近づくに連れ、らしさが戻ってきた。本人も「プリンス(リーグ関西1部)の最後ら辺で得点が取れるようになってきた」と変化を口にしたように、この日の試合でも“中野らしく”サイドを躍動する。

「前半は芝がスリッピーやったんで、自分のプレーが出来なかったけど、後半はピッチが良くて本来のプレーが出来たかなと思う」と振り返ったように、勢いに乗ったドリブル突破で何度も相手守備陣をえぐりつつ、中に飛び込んでフィニッシュに絡んだ。そして、後半3分には「切れ込んでパスを出したら、(DFに当たって)ボールが帰ってきたので、打った」という一撃で先制点を決めると、続く5分にも混戦から小屋松に繋いでアシストを記録し、勝利の立役者となった。

 昨年度の選手権では、DF林大樹、倉本光太郎とともに1年ながらピッチに立ち、上級生に持ち味を引き出してもらっていた部分が多いが、1学年上がった今年は自ら持ち味を出さなければならない。加えて、今度は自分が周囲を生かす場面も増えてくる。

 いつまでも“末っ子”でいるわけには行かない事は、中野自身も良く分かっており、「下(後輩)が出来たんで、引っ張るという意味でも手本になるプレーが出来たらなって思う」と意気込みを話す。

 そのために出した答えは“ゴール”。

「点が一番目立つし、手本になると思うので、意識は高く持っています。昨年は2トップに頼っていた部分があった。今年も(小屋松)知哉くんがいるけど、知哉くんだけに頼っていたら、厳しいと思う。そこにマークが行く分、自分が点を取れるとチームが楽になるとも思う」。

 見据える視線の先は選手権優勝。昨年、あと一歩まで迫りながらも、鵬翔(宮崎)にPK戦で敗れた国立の舞台に「また戻りたい」と意気込む。ちょっと大人になった“中野克哉”を全国でアピールするためには、まだ負けは許されない。

(取材・文 森田将義)
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