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[選手権予選]インハイ全国8強の富山一が「富山クラシコ」制して全国王手

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[11.4 全国高校選手権富山県予選準決勝 富山一3-0水橋 高岡スポーツコア]

 第92回全国高校サッカー選手権の富山県予選は4日に高岡スポーツコアで準決勝2試合を行い、全国高校総体8強で2年連続優勝を狙う富山一は水橋を3-0で下して決勝進出を決めた。

 優勝候補の富山一が注目カードで強さを証明した。大塚一朗監督は「試合前、選手には『この一戦は、富山のクラシコだ。伝統の一戦にふさわしい戦いをしよう。ライバルがいるから力を出せる。相手の力を受け止めて、また一段上に行こう』と言った」と話し、ライバルとの大一番を強く意識していたことをうかがわせた。

 スペイン語で「伝統の一戦」を意味する「エル・クラシコ」は、リーガ・エスパニョーラのレアル・マドリーとバルセロナの注目対決を指す言葉だ。富山県の高校選手権は、直近20年で富山一が優勝13回、準優勝5回。対する水橋が優勝4回、準優勝11回。富山で覇を競う2強だが、実績でリードするのは富山一だ。県内では唯一、ユース年代最高峰のプレミアリーグWESTに所属。今季も3年連続の残留まであと一歩と奮闘している。それでも、大塚監督は受けて立つのではなく最大のライバルと認めて立ち向かう姿勢を何度も強調した。

 序盤、富山一には若干の硬さが見受けられた。前半2分、いきなり水橋のFW林拓実(3年)にヘディングシュートを見舞われる出だしだった。監督の子息で主将を務めるMF大塚翔(3年)は司令塔だが、マンマーク気味の守備に苦しんでいた。しかし、15分ほどが経つとボールを保持する時間を増やして試合のペースを掌握。前半26分、敵陣中央で混戦になると右から走り込んだMF西村拓真(2年)がボールをさらい、そのままドリブルで中央突破を敢行して先制点を挙げた。

 さらに前半終了間際の40分、左サイドで得たFKからMF善本燎(3年)がヘディングシュートを決めてリードを広げた。後半も主導権を譲らなかった。後半5分に大塚が相手GKとの1対1を迎えた決定機は相手に阻まれたが、その2分後にはボランチのMF細木勇人(3年)が相手CBの合間を射抜く低いフィードボールで守備ライン裏を急襲。タイミングよく抜け出したFW渡辺仁史朗(3年)が冷静に決めてダメ押しの3点目を奪った。

 水橋は、後半に投入した長身MF水野壱士(3年)が絶妙なパス出しで反撃の機会を作ったが、後半11分のチャンスはオフサイドに泣き、同17分に水野のパスからMF三原颯斗(3年)が迎えた決定機は相手GKに防がれた。試合終盤は集中豪雨に見舞われたが、富山一は最後まで試合をコントロールして3-0の完封勝利で決勝へ駒を進めた。

 富山一の大塚は「水橋と対戦するのは、久しぶり。前回大会の決勝以来、多分戦っていない。今季のチームでは初対戦。相手がどんなチームか分からない分、気持ちが大事だと思った。(負けられない一戦だが)あえてプレッシャーをかけて、絶対に勝たなければいけないと自分に言い聞かせて、それを力に変えていく気持ちで臨んだ。意外と落ち着いてプレーできたと思う」と初対戦の不安を乗り越える完勝の手応えを明かした。9日に同会場で行われる決勝戦では、富山東と対戦する。「富山クラシコ」を制し、2年連続の全国出場まであと一歩。ライバル対決を制することで成長するという大塚監督の青写真通りに富山最強を証明できるか注目だ。

(取材・文 平野貴也)
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