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強化を進めた城西国際大に唯一残った4年生MF湯本のラストマッチ

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[11.3 千葉県大学サッカー1部秋期リーグ第7節 城西国際大4-0帝京平成大 城西国際大G]

 城西国際大の今季のリーグ戦全日程が終了した。唯一の4年生、MF湯本直矢(4年=東京都市大塩尻高)にとっては、大学生活最後のゲームになった。当初はメンバー入りも検討されていたが、1週間前に負傷し、引退試合構想は泡と消えていた。

 サッカー部を強化するため、横浜F・マリノスのゼネラルマネージャーや2010年FIFAワールドカップ日本代表のチームコーディネーターなどを歴任した小山哲司氏を監督に迎え入れたのは2011年の3月のこと。最初のゲームではほとんどのメンバーが試合中に足をつり、試合どころではなかったと監督も当時を振り返る。湯本も例外ではなく、監督は「15分くらいで両足がつっていた。冗談抜きで最初に辞めると思っていた」と当時の湯本の印象を語った。

 だが監督の予想を裏切り、プレーヤーとして最後まで残ったのは湯本だけだった。入学当初は「たまにやるくらいならいいかな」と軽い気持ちで続けたため、サッカー部の強化に踏み切ることにはジレンマがあった。ただ「やっているうちに本気でやるのは楽しいなと思えてきた」とサッカー人としての本能を刺激。有力新入生を迎え入れた3年次以降も試合出場を続けるなど、高いレベルに刺激を受ける日々を楽しんだ。「今思えば監督に来てもらえて本当に良かったなと思います」。今では自然と感謝の言葉が口をつく。

「続けてよかったです。いろいろな出会いとか経験とか出来たので。もしサッカーをやっていなかったら、自分の大学生活なんて何でもなかったと思うので、いい思い出になりました。今年は目標には一歩届きませんでしたが、きっと来年は後輩たちが1部優勝して関東に昇格してくれると思います」

 この日もスコアボードの更新をするなど、裏方の仕事も文句も言わず黙々とこなす姿。“サッカー部の激変”を知る先輩の思い。後輩たちはきっと感じ取ってくれているはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)

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