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[選手権予選]昨年度全国8強の作陽、新鋭・倉敷翠松の好守に苦戦も決勝進出:岡山

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[11.4 全国高校選手権岡山県予選準決勝 作陽1-0倉敷翠松 笠岡陸上競技場]

 第92回全国高校サッカー選手権岡山県予選準決勝が4日、笠岡陸上競技場で行われ、昨年度全国8強の作陽と初めて4強へ進出してきた倉敷翠松との一戦は作陽が1-0で勝ち、大会9連覇へ王手をかけた。作陽は10日の決勝(カンコースタジアム)で玉野光南と戦う。

 今夏の全国高校総体こそ鹿児島城西(鹿児島)との強豪対決で初戦敗退を喫したものの、プリンスリーグ中国では暫定首位。作陽は各大会でメンバーを固定することなく、今大会もフィールドの登録選手は1人を除いて全員を起用した。多くの選手がトップチームで経験する公式戦やチーム内競争を経て養われた選手層の厚さは、間違いなく全国上位だ。今春、デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会で日本高校選抜を初優勝へ導いている作陽・野村雅之監督が「全部のメンバーの経験値を高めながらやらないと。全国では(最大)6連戦になるから、そういう経験をさせておかないといけない」という通り、メンバーを入れ替えた中でも高い質を維持したままのプレー。J注目の日本高校選抜MF平岡翼(3年)は「野村先生も日頃から『しっかりコミュニケーションとって、しっかりしゃべって気持ちを伝えたれ』と言われているんで、初めての組み合わせでもしっかりとしゃべってお互いのことを伝えている。そういう面ではメンバーが代わってもやることはブレずにできているのかなと思っています」。昨年度の全国大会でも試合ごとに大胆にメンバーを入れ替えて8強へ駒を進めた作陽だが、今年も同様のサッカーをハイレベルで展開している。

 昨年度、全国舞台を経験した10人を残す今年、チームは自分たちで主導権を握るサッカー、また相手に合わせたサッカーの両方ができるチームになってきている。この日の準決勝では立ち上がりから倉敷翠松を攻め立てた。6分にMF佐々木宏太(3年)からのパスを受けた1年生MF原口知土が切り返しでDFを外して右足シュート。8分にもCB東出功(3年)の縦パスから左サイドを打開した原口がシュートへ持ち込む。17分、24分には東出の右CKからCB山本義道(3年)が立て続けに決定的なヘディングシュートを放った。また28分には平岡が高速ドリブルで右サイドを独走。自陣からひとりで相手DFを切り裂くと、最後はその折り返しをMF永松達郎(3年)が右足で叩いた。

 正確なサイドチェンジと縦パスでも存在感を放った佐々木を軸に左右へ正確にボールを動かした作陽は個の突破力を交えて倉敷翠松ゴールヘ攻め寄せる。ただ、この日は相手GK小野敬(3年)が大当たり。決定的なシュートをことごとくストップする小柄な守護神の奮闘で勇気を得た倉敷翠松は、アンカーの位置に入ったMF生本翔太(3年)らが集中した戦いぶりで作陽を苦しめる。1999年に女子校から男女共学となり、5年前から元岡山DFの青山裕高監督(広島の日本代表MF青山敏弘の兄)が指揮を執る新鋭は、前半だけでシュート14本、CK11本を放たれる展開だったものの、ゴール前でDFが相手のシュートを必死に足に当て、均衡を維持する。

 それでも作陽は33分、右サイドからのボールを受けた佐々木がDFを食いつかせながら左サイドへ展開。これを受けた左SB野村一稀(3年)がクロスを放り込むと、長身FW三浦航(3年)が競ってこぼれたボールを原口が左足でゴールヘ叩き込んだ。相手の白い防波堤をようやく突破。これで作陽の攻撃力が爆発するかと思われたが、倉敷翠松は崩れない。風下だった前半を0-1で乗り切ると、後半は青山監督が「風向きもあって、相手の長いボールは届かないと思った。前から行こうと」と前線からプレッシャーをかけ、中盤では前半見せなかったダイレクトのパスワークも披露する。ターンでDFを外したMF池田幸樹(3年)がスルーパスを狙い、22分には自陣から右サイドを一気に駆け上がったSB和田大輝(3年)のアーリークロスにMF岩崎有佑(3年)が飛び込む。そして24分には左FKのこぼれ球に反応した岩崎が決定的な右足シュートを放った。

 後半、何とか一刺ししようと攻める倉敷翠松を作陽も突き放すことができなかった。15分には右サイドを切れ込んだ平岡のクロスを永松が頭で合わせたが左ポストを直撃。17分には左サイドから平岡がPAへ侵入し、GKをかわすもシュートは枠を外れた。変化を加えていたセットプレーなどからしっかりとシュートまで持ち込んでいた作陽だが、後半は攻撃がやや単調となり、相手の好守の前に得点は最後まで原口の1点のみ。終盤はいずれも長身のDF水野崚(2年)とFW牧添颯人(3年)を前線に並べ、さらに選手交代とともに3バックへ変更して反撃してきた倉敷翠松の前に、作陽は納得の行く戦いができなかった。
 
 それでも野村監督は苦戦しながらも相手の反撃を跳ね返して勝ち切った試合を評価し、「目先の1-0で苦しんだというところが目先で終わるのではなくて、次につなげるようにしたいと思います」。この日の苦戦を次の決勝につなげなければいけない。主将のMF谷壮一郎(3年)も「これがトーナメントだと思う。他のチームも懸けているし、選手権らしい試合だった」と振り返り、「最後まで油断せずに貪欲に全国制覇を狙っていきたい」と力を込めた。周囲の好評価の中、「過信が出てこないように意識している」(谷)という作陽。平岡が「決め切るところまでがボクたちのスタイルなんで、決め切らないといけなかった。もっとリズムをつくって最後のところでもっと決定機を決めないといけない」と語るようにまだまだ課題はあるが、チームが定めたスローガン「BREAK THROUGH」(限界突破)のサブタイトルにつけた「共に歩んだ道は確かな力に」ということばどおりに、140人以上いる部員がひとつになって成長し、全国制覇を目指す。

[写真]前半33分、作陽は1年生MF原口が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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