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[MOM885]桐光学園FW植木隆之輔(3年)_プレッシャーに打ち勝った2戦連発弾

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[11.9 全国高校選手権神奈川県予選決勝 桐光学園1-0座間 ニッパ球]

 エースの役目を果たした。桐光学園は前半27分、右サイドからMF蔭山裕之(3年)がスルーパス。ゴール前に抜け出したFW植木隆之輔(3年)が右足を振り抜き、先制点を奪った。「右サイドから裏に抜けたボールをそのまま左に流した。DFにちょっと当たって、いいコースに行ってくれた」。ゴール左隅に吸い込まれたゴールが、平塚学園との準決勝(1-0)に続く2試合連続の決勝点となった。

「みんなから『お前がストライカーなんだから決めろ』と言われていた。本当にうれしかったし、(今大会の)2点とも大事な場面で取れたことがよかった」。1年生FW小川航基との2トップ。鈴木勝大監督は「植木はよく決めてくれたが、その分、今日は小川がよくなかった。小川がいいときは植木が悪くて、うまく2人で帳尻を合わせているのかな」と冗談交じりに笑う。「2人がコンディションを上げて、相手の脅威になるように、残り2か月弱で高めていきたい」と、両ストライカーヘの期待を口にした。

 昨年度の全国高校選手権では、MF中村俊輔(横浜FM)を擁した96年度大会以来、16大会ぶりのベスト4進出を果たした。プリンスリーグ関東1部でも優勝。今年からプレミアリーグEASTに参戦しているが、第15節終了時点で1試合未消化ながら1勝3分10敗の勝ち点6で最下位と苦戦し、夏の総体も県予選準々決勝で麻布大淵野辺に敗れ、全国出場を逃した。

「去年が強い代と言われて、総体もダメで、プレミアリーグでもいい結果を出せていない。選手権では何としてもいい結果を出さないといけないというプレッシャーはあった」と植木は言う。夏の屈辱、プレミアリーグでの厳しい現実。前年度のチームと比較されることの悔しさも力に変え、冬に懸けてきた。「練習の紅白戦でも激しいプレーをして、みんなで走って、この1年間やってきた。ハードワークできるのが、このチームの一番いいところ」。たとえ泥臭くとも、全国選手権の切符だけは逃すわけにはいかなかった。

 亡き友への思いもあった。今年8月16日に急死した大西健太くんは植木と同じ3年生で、ポジションも同じFWだった。試合前の円陣では、掛け声のあとに空を見上げた。「だれよりも走って、つらいときには声を出す優しいやつだった。一緒にFWをやっていたので、あいつの分まで走って、点を取らないといけない」。強い決意で臨んだ決勝戦だった。

 昨年度の4強超えを目指す全国選手権。植木が狙っているのは、俊輔を擁し、同校初の準優勝に輝いた96年度大会を上回る日本一だ。「俊輔選手の代の銀メダルを超えて、金メダルを取りにいきたい。桐光が獲ってないのは金だけ。そこを目指してやっていきたい」。桐光学園のエースは、同校初となる全国制覇を力強く誓っていた。

(取材・文 西山紘平)

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