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[Fリーグ]ハットトリックの大分FP仁部屋「たかが2連勝」

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[11.9 Fリーグ第20節 府中2-6大分 府中総合]

 国内最高の選手たちが集まっているFリーグでも、めったに見られないスーパープレーだった。キックオフから、わずか29秒。バサジィ大分の日本代表FP仁部屋和弘が決めたゴールのことである。左サイド、ハーフウェーライン付近あたりからFP小曽戸允哉がゴール前にループパスを送ると、右サイドに駆け上がっていた仁部屋は、左足のダイレクトボレーでボールをゴールに叩き込んだ。マークを務めていた府中のFP田村研人が「あそこで、あのボールをダイレクトで打ってくるとは、まったく予想できなかった」と、脱帽する一撃で、大きく試合の流れを引き寄せた。

 このゴールを振り返り、仁部屋は「良いボールが来たので、あとは自分が決めるだけでした。うまく合わせることができて良かったです。裏に走ったらボールが来たので。最初はトラップをしようかと思ったのですが、思いのほか、ボールがスローだったのでダイレクトでいけるかなと思って。良いボールでした。決まってよかったです」と、笑顔を見せた。

 さらに仁部屋は前半5分にキックインの流れから2点目を挙げると、同13分にもゴール前の混戦からシュートを決めて、前半だけでハットトリックを達成した。別次元の決定力を見せた仁部屋だったが、クロスが合わない場面や、持ち味のドリブルで仕掛けないなど、らしくないプレーも見られた。

 後期開幕2連勝に貢献した仁部屋は「シュートの場面以外、今日のプレーは全然です。まったく(ダメ)でした」と振り返り、前節の浜松戦(5-2)で太腿を痛めた影響があったことを明かした。

「前節、蹴られすぎて内出血していたんですよね。今日のプレーに関して、すごく今も反省しないといけないなと。うれしいというより、早く練習しないといけないなという感想です。まずはケガの状況を治して、徐々にレベルを上げられるように、集中して練習しないといけないなと思っています」

 ここで満足してはいけない。そんな危機感を、仁部屋は口にした。先日、日本代表の一員として参加したブラジル遠征の影響もあるだろう。日本代表は、ブラジル代表(2-7)、イラン代表(1-3)、アルゼンチン代表(1-2)、セルビア代表(4-7)に4連敗を喫した。大会前、「最低でも2勝して来ます」と意気込んでいた男にとっても、少なからず衝撃的な結果だったはずだ。

 それでも、その遠征では悔しさを味わうだけでは終わらなかったと仁部屋は言う。

「シュートの意識は変わらないのですが、踏み込まないでシュートを打つことを意識するようになりました。どんな状況であれ、クイッと踏み込んでシュートを打つのではなく、感覚的に置いてあるボールをそのまま打つような。外国人選手のプレーを見ると、そういうのが多かったし、(GKも)タイミングが合わせにくいかなと思ったので。今日の3点目は、特にそんなイメージがあったから決められたと思います。あと、もう1回、そういう形があったのですが、力不足で決められなかったので、これからもっと集中して練習してやっていかないと」

 これで後期開幕2連勝。しかし、仁部屋は「たかが2連勝っていうか、始まったばかりなので。これからに集中していきたい」と、現時点での順位を気にすることなく、3連勝のかかるホームでの神戸戦を見据えた。

(取材・文 河合拓)

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