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名門・磐田が初のJ2降格。鳥栖は完封勝利でJ1残留に花を添える

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[11.10 J1第31節 鳥栖1-0磐田 ベアスタ]

 過去3回のJ1優勝を誇るサックスブルーの名門が、J1から消える。J1は10日に第31節を各地で行い、ベストアメニティスタジアムでは14位のサガン鳥栖と17位のジュビロ磐田が対戦した。残り4節全勝する以外に、J1残留の道がない磐田は、前半24分にDF丹羽竜平に先制点を決められる。後半14分にはエースのFW前田遼一をベンチに下げるなど、流れを変えようとするものの、最後までゴールは遠く0-1の完封負け。リーグ戦3連敗で、初のJ2降格が決まってしまった。

 前節のC大阪戦で4試合ぶりに勝利した鳥栖は、その試合と同じスタメンで試合に臨んだ。一方、MF藤田義明を出場停止で欠く磐田は、FW金園英学が第21節の湘南戦以来となるスタメン入り。MFチョ・ウヨンも第17節の鹿島戦以来、14試合ぶりの先発となった。出場停止明けのDFチョ・ビョングク、GK川口能活をベンチに置き、キックオフを迎えた。
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 第30節を終えてJ1残留が決まっていなかった両チームだが、13時からのゲームで湘南が鹿島に敗れたため、キックオフ前に鳥栖の残留が決定した状態で、キックオフを迎えた。序盤はボールのつながらなかった磐田だが、前半12分に最初の決定機をつくる。MF山田大記の縦パスを金園が落とし、中盤から走り込んだMF松岡亮輔がシュートを放つ。しかし、わずかに枠を捉えられなかった。

 時間の経過とともに、ホームの鳥栖が試合の流れをつかんでいく。前半24分、鳥栖は右サイドから丹羽がクロスを入れる。これは左サイドに流れたが、ボールを拾ったDF磯崎敬太が再びゴール前にクロスを入れた。中央で2人がつぶれた先に、クロスを上げてからゴール前に走り込んでいた丹羽が、ヘディングシュートを決めて鳥栖が1点を先行した。

 J1残留に、最低でも2ゴールが必要となった磐田だが、ビルドアップでのミスが相次ぐ。前半27分にはポストプレーをしたFW前田遼一がファウルを誘い、FKを得る。しかし、DF駒野友一のクロスはDFに弾き返された。磐田は前からプレッシングを掛けてボールを奪うことはできても、そこからボールを前線に運べない。MFカルリーニョスがパス回しで詰まり、ボールを失う場面が目立った。

 後方でボールを回し、磐田の守備を間延びさせる鳥栖は、前半36分にも決定機をつくる。左サイドからMF金民友が入れたクロスにFW豊田陽平がヘッドで合わせたが、ボールはGK八田直樹の正面を突いた。

 磐田はボランチのカルリーニョスと松岡のポジションを入れ替えて、リズムを変えようとする。前半39分には縦パスが金園に当たり、こぼれ球を前田がシュートしたが、クロスバーを大きく超えていった。同44分、鳥栖に縦パスを2本入れられた磐田は、山田がたまらずにファウルで相手を止める。これで警告を受けた山田は累積4枚目となり、次節の横浜FM戦は出場停止になってしまった。前半ロスタイムに磐田は前田への縦パスが収まらずに、速攻を受ける。MF池田圭のシュートが枠を外れて追加点を挙げられずに助かったが、チグハグしたまま前半の45分を終えた。

 ハーフタイムに両チームは、それぞれ一人を変更する。鳥栖はDF坂井達弥がベンチに下がりDF小林久晃が起用された。対する磐田は松岡を下げて、MF山本康裕を右SHに起用し、山田を左SHに移した。しかし、後半最初にチャンスをつくったのは鳥栖だった。右サイドからのFKをPA内でフリーになっていた池田がヘッド。フリーでのヘッドだったが、枠を左に逸れ、磐田は命拾いした。

 後半13分に磐田は左サイドからのクロスを前田がヘッドで合わせたが、シュートは右に逸れた。同14分、磐田の関塚隆監督はプレーに精彩を欠いた前田を下げ、7試合ぶりの出場となったMF松浦拓弥をピッチに送り出した。この交代を機に磐田はボールが回り始める。鳥栖を押し込む磐田は、同23分に左サイドからのクロスを山本康がヘッド。これが右ポストを叩くと、こぼれ球を山本康が再度、右足でシュートする。しかし、これも鳥栖のDFにブロックされ、同点ゴールを挙げられない。

 後半24分に鳥栖は、トップ下の池田をベンチに下げてMFニルソンを起用する。トレス・ボランチに布陣を変えて、守備を固めた。それでも同27分には、藤田のロングスローの流れからチャンスをつくる。PA内のハイボールをまったく競ろうとしない磐田のDFを尻目に、ヘディングでボールをつなぐと、最後はニルソンが思いきり右足を振り抜く。しかし、これは大きく枠を外れてしまった。同31分にも棒立ちになった磐田の守備を突破した鳥栖は、ニルソンがミドルシュートを放つが、これも枠を捉えられない。

 残り10分を切り、磐田は右サイドから駒野が左足にスピードのあるボールを入れるが、チョン・ウヨンに合わない。後半38分に関塚監督は、最後の交代枠でカルリーニョスを下げ、DFチョ・ビョングクを起用。韓国人DFを最前線に入れて、パワープレーに出る。

 後半41分には安田のロングボールを中央で金園がフリックし、鳥栖の最終ラインとGKの間にボールが転がる。走り込んだ山田がループシュートでゴールを狙ったが、GK林彰洋が右腕でシュートコースを変えてゴールを守る。

 前掛かりになる磐田に対し、鳥栖は後半44分にニルソンが3度目のチャンスを得るが、ここでもシュートを左に外す。意地を見せたい磐田も、後半45分に駒野のクロスから、最後は山本康が強烈なシュートを放ったが、またも林にセーブされ、1点が遠い。

 ロスタイムには山田のシュートがDFに当たり、CKに。攻撃参加した八田のヘッドが枠を越えた瞬間に、西村雄一主審がタイムアップのホイッスルを吹いた。J1残留を白星で祝った鳥栖に対し、磐田は今シーズン31試合でわずか3勝しか挙げられずに、来シーズンはJ2で戦うこととなった。

(取材・文 河合拓)
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