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[選手権予選]思いに応えて“3度目の正直”、神戸弘陵が13年ぶりV!:兵庫

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[11.10 全国高校選手権兵庫県予選決勝 神戸弘陵1-0神戸国際大附 ノエスタ]

 第92回全国高校サッカー選手権兵庫県予選決勝が10日、ノエビアスタジアム神戸で行われ、神戸弘陵と神戸国際大附が対戦。1-0で神戸弘陵が勝利し、13年ぶり8度目の選手権出場を決めた。

 昨年、一昨年と2年連続で決勝の舞台に立ちながら、目の前で相手チームの歓喜を見届けてきた。「今年、負けるとOBたちの思いが報われない。悔しい思いをした分を今日のピッチで背負って、優勝の報告をしたかった」という思いは谷純一監督だけではなく、選手も同じ。“3度目の正直”を叶えるため神戸弘陵は気合い十分だった。

 ただ、「決勝に来たら、楽な試合はないと分かっていた」(谷監督)という読み通り、立ち上がりから、主導権を握ったのは神戸国際大附。高い位置から果敢にプレスをかけてボールを奪い、素早いパス回しで神戸弘陵を押し込んでいく。前半12分には右から中へと細かくパスを繋ぎ、MF上原健司(3年)がミドルシュート。ゴールマウスの上を突いたが、神戸弘陵はGK鈴木雄大(2年)がパンチングでCKに逃げ込む。

 神戸弘陵はその後も神戸国際大附に攻め込まれる時間帯が続いたが、「準々決勝、準決勝と失点をしていたので、今週は決勝に向けて、無失点を意識していた」(谷監督)とCBの沢本樹(3年)と関和馬(2年)を中心に集中力を切らさず対応し、攻撃へと転換。35分にはMF鎌倉大和(2年)のスルーパスからFW菅優介(2年)がPA右を抜けて中へ折り返し、MF長谷川覚之(3年)がダイレクトでシュート。37分には前線でボールを受けた長谷川が2人をかわし、シュートを狙うなど徐々に攻撃の姿勢を見せ始める。

 前半は主将のMF湯川彗太(3年)が「狙い通り0-0で行けたけど、守備の時間が長かったんで、ちょっと焦りがあった」と振り返ったように、守備を重視した余り、攻撃で弘陵らしさを出せなかったが、後半からは「苦し紛れにボールを蹴ってしまって、余計に苦しくしてしまっていた昨年の悔しさが頭にあった。変わった事をするんじゃなく、これまでやってきた自分たちのサッカーをやり切る事を大事にした」(湯川)と初心に戻り、持ち味である攻撃色を全面に発揮する。前線から最終ラインまでの距離感をコンパクトに保ち、攻守の切り替えをスピードアップ。奪ってから素早く、前線にボールが入り始めた事で、攻撃が活性化する。

 22分には中盤からのボールが前線の長谷川に渡り、GKとの1対1を迎えるも、ネットを揺らす事が出来ないなどあと一歩、及ばずにいたが、29分に均衡を崩した。左サイドでボールを持ったFW毛利将宏(3年)からのマイナスのパスを長谷川が受けると、一気に加速。ドリブルで4人を切り裂き、PAに侵入する。ライン際から上げた低いクロスを菅が頭で叩き込んで、待望の先取点を奪った。

 神戸弘陵は終盤1点を奪いに出た神戸国際大附に対し、交代枠を使いながらしっかり守りきり、逃げ切りに成功。13年ぶり8度目の選手権出場を決めた。

 OBの思いを背負った一人が湯川。3歳年上の兄・直音さんもGKとしてプレーしていた弘陵のOB。兄は3年時の冬に準々決勝で市立西宮と対戦し、延長戦の末、敗れてスパイクを置いた。今大会の準々決勝の対戦相手も兄の時と同じ市立西宮。またもや延長戦までもつれたが、5-4で制し、「何が何でも勝ってくれ」と託された思いに応えた。

「素直に嬉しいです」。そうホッとした表情からは重責を果たした安心感が伺えた。13年ぶりの全国の舞台も、チームメイトだけでなく、これまでチームに携わった全員の思いを背負う。皆の思いをどこまで高みに導けるか注目だ。

(取材・文 森田将義)
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