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[MOM890]帝京長岡FW山田貴仁(3年)_2得点で存在感発揮の「越後の重戦車」

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 全国高校選手権新潟県予選決勝 開志学園JSC高1-5帝京長岡 東北電ス]

 迫力満点のストライカーが、決勝戦でも2ゴールと仕事をやってのけた。帝京長岡は昨季、テクニシャンの小塚和希(新潟入団)を軸としたパスサッカーを展開していたが、今季のチームの見どころは最前線に構える屈強なFW山田貴仁(3年)だ。応援団が用意した垂れ幕は「越後の重戦車」。その名に恥じない仕掛けが持ち味。「パスがあまり上手くないので、変な形で取られるくらいなら、最後(シュート)までいった方がいい。うまくいけば、点が取れるし、コーナーキックになることもある」と割り切った積極性でゴールへ突き進む。自分で行くと決めたら、寄せられようが囲まれようが最後まで仕掛け抜く姿は、間違いなく見る者の記憶に残る。

 開志学園JSC高との県予選決勝では、1-0から追加点がなかなか奪えずにいた前半30分に2トップを組んだ岩渕裕人からのパスをゴールへねじ込んだ。プレーは豪快だが、見えていた風景を聞くと「斜め後ろにいたブチ(岩渕)からパスが来たとき、自分のマーカーがボールを見ているのが分かった。相手はオレが左に行くと想定しているようだったので、ファーストタッチで右にはたけば(マークを)ずらせると思った。ツータッチ目が大きくなって相手のDFが来てしまったけど、それもかわして左を狙って打った」と冷静に判断していたことがうかがえた。

 2点目は、後半17分にダメ押しとなるチーム5点目のゴール。こちらも「2点目もブチからでした。前を向いた状態で左足で受けたかったけど、パスがずれて後ろに来てしまった。ボールをあまり見ない形でのトラップになったけど、なんとか前にこぼれてきた。どっちの足で打つか迷ったけど、ここは左足の方が良いと思って振り抜いた」と見事に解説。仕掛けの迫力が目立つが、活躍の裏には駆け引きもある。

 惜しくもハットトリックはならなかったが、存在感は十分に見せつけた。次の舞台は、昨年ベスト8を経験した全国大会。「重戦車」らしく、立ちはだかる障害を物ともせずに乗り越える構えだ。山田は「昨年の選手権では通用しない部分が多く、やり残したことがたくさんある。1点しか取れなかったので、得点という形で見せられるように頑張る」と躍動を誓った。

(取材・文 平野貴也)
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