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[2013Jユースカップ]「粘り強さはトップと同じく新潟の特長」2度追いついた新潟ユースがPK戦でF東京U-18突破!!

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[11.10 Jユースカップ2回戦 F東京U-18 3-3(PK4-5)新潟ユース 東京ガス深川グラウンド]

 9、10日、Jユースカップ2回戦が全国各地で行われた。アルビレックス新潟ユースは10日、東京都の深川グラウンドに乗り込み、FC東京U-18と対戦した。

 今年の新潟は夏の日本クラブユース選手権への出場を逃し、プリンスリーグ北信越でも優勝を逃すなど不本意なシーズンを送ってきたチームである。「強豪とやる機会がまるでなかったので、FC東京みたいな強いチームとやれるのはすごく楽しい」(FW山本礼利、3年)、「FC東京さんのほうが総合的な力が上なのは分かっていましたから」(上野展裕監督)と謙虚な姿勢でこの一戦に臨んだ。

 立ち上がり、最初の決定機はF東京。この試合で際立つ存在感を示すことになる左MF蓮川雄大(2年)の突破からのクロスをFW矢島輝一(3年)が合わせる好機は、惜しくも枠外へ。するとこの3分後の7分だった。MF手塚竣一郎(2年)のクロスからMF吉川佳介(2年)が決め、新潟が先制点を奪取。最初の決定機を外したF東京と、決めた新潟。これによって新潟はボールを持たれても精神的に余力のある状態で守れるようになり、効果的な逆襲も見せていく。33分、45分とチャンスを作ったが、ここは相手GK大野遥河(3年)に阻まれた。

 ハーフタイムを挟んでも試合の大きな流れは動かない。ただ、セットプレーだけは違っていた。後半18分、ゴール前で矢島が放った強烈なFKはクロスバーを直撃。そのリバウンドボールをMF安部柊斗(1年)が鮮やかに決め、同点とする。さらにF東京は負傷明けのU-17日本代表MF佐々木渉(2年)を投入して攻勢を強めると、25分にはその佐々木のシュートのこぼれ球を蓮川が決めて逆転に成功。試合は完全にひっくり返った。それまで蓮川に食らい付いていた右SB石附航(3年)が足をつって交代した直後の、悔やまれる失点だった。

 だがこの一撃では新潟のヒザを折るには不十分だった。「トップチームも粘り強いんで、俺らもそうなんです」と語ったのは、同点にされた直後に投入されていたFW山本礼利(3年)だ。上野監督が「粘り強さはトップと同じく新潟の特長」と同様に胸を張ったように、ここからが新潟の真骨頂だった。山本のスピードを生かして裏に走らせる攻めが奏功し始めると、42分にその形が結実。裏に抜けた山本が決め、試合は振り出しに戻った。

 しかし、折れなかったのはF東京も同じ。延長に入ってなお攻勢を強めると、6分には蓮川のシュートをGKが防いだこぼれ球を矢島が決めて、再度の勝ち越しに成功。これで勝負は決したかに思えた。ところが、このゲームにはもう一段のドラマが残っていた。延長後半7分、FKのチャンスで新潟DF酒井高聖(3年)が倒され、PKに。これをFW渡邉新太(3年)が決めて、またしてもスコアはイーブンに。そしてPK戦に持ち越された勝負は、5人目の蓮川のキックが防がれ、新潟に軍配が上がることとなった。3-3からのPK勝ち。新潟が壮烈な試合を制し、大会前に目標として掲げていた「ベスト8」へと駒を進めてみせた。

 それにしても、新潟にとって最大の脅威となっていた蓮川に順番が回ってきてしまったのは皮肉と言うほかない。号泣する蓮川に、口々に慰めの言葉をかけていた先輩たちの言葉に偽りはないだろう。F東京にとってのJユースカップはこれで閉幕となったが、まだ残り3試合となったプリンスリーグ関東1部、そしてその先にあるプレミアリーグ参入戦が控えている。借りを返すチャンスは、まだ残っている。

[写真]延長後半7分、新潟ユースは渡邉(右)のPKで3-3の同点に追いつく

(取材・文 川端暁彦)
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