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[選手権予選]観衆12,058人の静岡頂上決戦!「ふじ色軍団」藤枝東が5年ぶりV!!

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[11.16 全国高校選手権静岡県予選決勝 清水桜が丘0-1藤枝東 エコパ]

 第92回全国高校サッカー選手権静岡県予選は16日、エコパスタジアムで決勝を行い、清水桜が丘と藤枝東が激突。後半27分に大会MVPのFW片井巧(3年)が決めた決勝ゴールによって藤枝東が1-0で勝ち、5年ぶり24回目の全国大会出場を決めた。

 全国大会優勝3回の名門・清水商と庵原が統合して今春誕生した清水桜が丘と、全国大会優勝4回の名門・藤枝東との静岡頂上決戦。清商時代と同じブルーのユニフォームで戦う清水桜が丘と「ふじ色軍団」藤枝東との戦いには、12,058人の観衆が駆けつけた。互いに集中した攻防戦が繰り広げられたが、0-0で迎えた後半27分に決勝点が生まれる。清水桜が丘のクリアボールを右サイドの藤枝東FW櫻井敬基(3年)がダイレクトでグラウンダーパス。ターンしながらスペースへボールをコントロールした片井が一気に抜けだし、GKの頭上を射抜く右足ループシュートで決勝点を沈めた。

「集中したゲームを相手もしているので、最後のところをなかなか割れないけれど、絶対に片井とか田口のスピードは最後ボディーブローのように効いてくる。必ず最後について来れなくて一発仕留められる瞬間があるからとにかくそこを狙っておけと田口も片井も送り出したんですけど、最後上手く背後を取って、それを活かして点を取ってくれた」と藤枝東・吉野友三監督。両翼の櫻井とFW小谷春日(2年)、3トップの中央に位置するFW田口史也(3年)、そして片井と前線にスピードと技術のあるタレントが並ぶ藤枝東が膠着した展開を一発のゴールでモノにした。

 試合は立ち上がりから両校ともに集中力高い戦いぶり。7分には藤枝東・小谷の左クロスをファーサイドの櫻井が頭でゴールへ押し込むが、小谷がパスを受ける前にタッチラインを割っていたという判定でノーゴールとなった。ただ、これが藤枝東に最後まで「サイド攻撃で行ける」という自信を生んだ。対して、相手のディフェンスラインから中盤に入ってくるボールへ狙いを定めていた清水桜が丘は、中盤でボールを引っ掛けるとすぐさまオープン攻撃。スペースへ走りこむFW信末悠汰(2年)へ素早くボールを入れ、そのこぼれやパスからMF城之内統貴(3年)やMF鈴掛涼(2年)がシュートへ持ち込んでくる。

 藤枝東は前半半ばから得意のパスワークでリズムをつくると、「準々決勝でも、準決勝でも毎回両サイドに(DFが)2人ずついて、そういう中でやっているので、多少止められても仕掛けていく姿勢を見せるべきかなと思っている」という小谷と櫻井の突破とサイドチェンジを交えて決定機をつくり出す。22分には中央でのコンビネーションから片井が右足を振りぬき、25分にはDF大村海太主将(3年)とのコンビから右サイドを打開した櫻井が決定的なラストパスを入れた。

 特に櫻井の突破が相手の脅威となり、10番MF藤原賢吏(2年)中心にボールを保持して攻めた藤枝東はサイドから切り崩すシーンもあったが、相手の厚い守りの前に縦パスを入れられず、なかなか1点をもぎ取ることができなかった。逆に後半は右サイドを縦に仕掛けるMF大石竜平(2年)ら清水桜が丘に押し返されてしまう。ただ10分、混戦から抜けだした信末に決定的な右足シュートを放たれたが、藤枝東はこれをGK長沢祐弥(2年)が好セーブ。また大村やDF熱川徳政(3年)が対人で強さを発揮して相手に決定打を打たせない。我慢の展開で先手を許すことなく迎えた27分、藤枝東はワンチャンスを逃さずに先制ゴール。粘る清水桜が丘は34分に信末が中央を抜け出し、35分には右クロスから交代出場のDF小林翼(3年)が決定的な左足シュートを放つ。だが、2試合連続無失点中の藤枝東は要所を締めて決勝も完封勝利。大村が「プリンス(リーグ東海)で本当に失点多くて、このチームは『攻撃のチーム』『攻撃のチーム』と言われていて、それが一番悔しかったというのが多少ならずあった。それが選手権でゼロでできたことは良かったです」と胸を張った藤枝東守備陣が最小得点を守りきり、優勝した。

 選手権で藤枝東はMF河井陽介(現清水)らを擁した07年度に全国大会で準優勝し、翌08年度も全国大会へ出場。ただ、その後は全国舞台から遠ざかってきた。当時コーチを務めていた吉野監督は「河井のときに満員の国立で悔しい思いをした(決勝で流通経済大柏に0-4で敗戦)ということがボクの原点にある。もう一回、あの舞台に立って今度こそ優勝というのがありますし、静岡代表というのもあるので恥ずかしいゲームはできない。また藤枝東ということだけでなくて、県民の期待とかも背負いますけれど、今までプレッシャーを感じて力を出せないことがあった。片井だったら片井、藤原だったら藤原の良さがある。それを全国に見てもらおうと思います」。この日は本領発揮とはいかなかったが、本来の武器はパススタイル。大村は「相手が2度とやりたくないと思わせるようなパスサッカーをやりたいと思っています。自分たちはまだまだいいサッカーができると思っているし、もっと良いサッカーがしたい。目標は優勝です」と力を込めた。復活を遂げた藤枝東が自分たちの力を発揮して全国で大暴れする。

(取材・文 吉田太郎)
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