[11.17 全国高校選手権千葉県予選決勝 市立船橋1-0流通経済大柏 ゼットエーオリプリスタジアム]

　本来のボランチからCBに転向して1年間チームを支えてきた男が大一番でヒーローとなった。市立船橋DF柴戸海(3年)は後半25分、左CK後の混戦からCB田代圭亮(3年)が頭でつないだボールをコントロールすると、渾身の右足シュート。ゴール至近距離から放った強烈な一撃はクロスバーを弾いてゴールネットを揺らした。

　雄叫びを上げながらスタンドに駆け寄った柴戸は「本当に気持ちでしたね。ああいう形で常に狙っていて、絶対にこぼれてくると思っていた。迷わず打とうということだけ考えていました。応援してくれる仲間のためにも絶対に勝ってやろうと思っていた。今回、自分が点を取れてやったぜという感じでした」と会心の笑顔で優勝決定弾を喜んだ。

　昨年までボランチだったが、本職のCBたち以上の安定感で堅守・市船の最終ラインを守る。この日、3バックにはそれぞれ小さなミスがあったものの、「しっかりチャレンジとカバーをしっかりしていた。一人目がはずされても二人目がカバーしてできたと思います」と高い連係と集中力によって強敵を無得点に抑えた。柴戸自身、絶妙なカバーリングでPAへの相手の侵入を阻むなど守備面でもチームの勝利に貢献。守備で耐え続け、そして自らゴールを奪って決勝戦の主役となった。

「(日本一になるためには)ここが一番の勝負だと思っていた。流経と3回やって3回勝ち切れたことは自信にもなりますし、チームワークで上回ったかなと思います」。日本一に輝いた2年前の全国大会では登録メンバーにこそ入っていたが、出場機会を得ることはできなかった。県決勝のヒーローは喜びから切り替えて、「ボク自身憧れ」という選手権で頂点に立つための努力を続ける。

(取材・文　吉田太郎)

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