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[選手権]「去年のことを忘れられる」「強いという証明になる」日本一狙う京都橘と藤枝東両主将が好カード実現を歓迎

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 第92回全国高校サッカー選手権(12月30日開幕、国立ほか)は18日、都内で組み合わせ抽選会を行った。各代表校の対戦相手が決まった中で注目は昨年度準優勝の京都橘(京都)と全国大会優勝4回の名門・藤枝東が激突する一戦だ。昨年度得点王のU-18日本代表FW小屋松知哉や京都FW宮吉拓実の実弟でもある注目MF宮吉悠太、GK永井建成(すべて3年)ら昨年度の準優勝メンバーを多数残す京都橘に対し、静岡MVPのFW片井巧やFW櫻井敬基(3年)ら高速アタッカー陣と好守で激戦区・静岡県予選を制した藤枝東の戦いは実力派同士の好勝負が予想される。

 昨年度の決勝でPK戦の末に鵬翔(宮崎)に敗れ、紙一重のところで全国タイトルを逃した京都橘。日本一へ再挑戦する小屋松は、名門校との対決を素直に喜んだ。「自分らよりも藤枝東が上だと思っている。伝統校ですし、『去年のことを忘れられる初戦になる』と思う。そのへんの楽しみはあります。準優勝でも1回戦敗退でも一緒だと思っているので最後の国立で笑えるようにまずは初戦、いい試合できたらなと思います。(ただ)リハーサルと同じ組み合わせだったので、何かあると思っていた」と微笑んだ。

 一方の藤枝東DF大村海太主将(3年)も「自分としては結構いいところを引いたと思っています。京都橘は前線の豊富さとか攻撃力は凄いものがあると思いますけど、僕らも負けていないと思いますし、ボクらDF陣がその攻撃力をどうやって封じるのかという自信もあります。早く試合したいなという気持ちです。なるべく強いチームと当たって優勝した方が強いという証明になる。初戦勝ってどんどんボク達もレベルアップしていきたい。本当に初戦、結果第一ですけど内容にもこだわっていければいい」とこちらも強豪対決を歓迎していた。

 昨年、決勝まで勝ち上がり、その経験者を多く残しているということで京都橘が注目を集めることは間違いない。ただ、初戦から頭も身体もフルパワーでぶつからないと勝てない組み合わせとなったことで、選手たちが昨年の好結果を忘れて取り組むことができる。小屋松はチームを引き締める意味でいい相手と感じていた。目標はもちろん日本一しかない。「去年勝ち切れなかった部分は悔しさとして残っていましたし、あそこまで行ったことよりも悔しさの方が残っている」という。日本一に再挑戦した今夏の全国高校総体は京都府予選で敗退。全国のピッチに立つこともできなかった。だが、今回の予選では夏に敗れた東山にリベンジするなど準決勝、決勝をいずれも3-0快勝。堂々と日本一への挑戦権を獲得した。小屋松は「全国に出ずに終わるのは嫌だった。去年準優勝という結果にも満足していないですし、一発屋と言われるのも嫌だったのでそこはチケットを取れたということは良かったと思います」と前を向く。

 昨年、京都橘は得点王を分け合ったFW仙頭啓矢(現東洋大)と小屋松を中心とした攻撃陣の爆発力を武器に初の決勝まで駆け上がった。今年はまた違う強さを備えていると小屋松は感じている。「(昨年と違う強みは)攻守のバランスが整っていること。前の選手だけでなくて、後ろの選手からバランスが取れるところです。(攻撃陣に)頼るところは少しありますけれど、いろいろな選手が出てこれている。勝負強さのところはまだ分からないですけど、去年とは違う強さがあると思っています」と手応えを口にした。藤枝東はプリンスリーグ東海2位と結果を残しているが、京都橘も強豪集うプリンスリーグ関西1部で2位。相手を上回る自信を持っている。

 もちろん、全国区の名門・藤枝東も静岡代表になっただけでは満足していない。特に今年の藤枝東は高校総体予選決勝で後半アディショナルタイムに静岡学園に追いつかれて延長戦の末に敗れており「満足している選手はいないと思いますし、全国に対する思いというのは他のチームよりも強いと思う。高い目標(優勝)を持って成し遂げたい」(大村)というチーム。こちらも日本一以外は考えていない。藤枝東について「強いチーム、伝統のあるチーム。強い静岡予選を勝ち上がってきたチームですし、僕らよりも伝統のあるチームなので、ボクらがチャレンジャーの気持ちで挑戦していきたい」と小屋松が語る京都橘が勝って今年も勢いに乗るか、それとも静岡を代表する名門が伝統校の強さを発揮するのか。注目カードは14年1月2日、フクダ電子アリーナで行われる。

[写真]健闘を誓い合う京都橘FW小屋松主将(右)と藤枝東DF大村主将
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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