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10月を意味のある敗戦にした日本代表 「勝つべくして勝った」

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[11.19 国際親善試合 日本3-2ベルギー ブリュッセル]

 敗戦を教訓にした。オランダと2-2、ベルギーに3-2。世界の強豪との2連戦を1勝1分で終えたベルギー遠征は、日本代表がまた一歩、前進したことを印象付けた。

 年内最終戦を白星で終えたMF長谷部誠(ニュルンベルク)は「結果もついたし、内容も90分通してよかったと思う。3-1になってからの試合運びは課題かもしれないけど、自分たちが勝つべくして勝った内容だと思うし、内容も結果も伴った試合だったと思う」と、3-2の逆転勝利を喜んだ。

「今年最後をこういう形で終われたことは非常にうれしく思うし、監督はじめコーチングスタッフには良い年越しになってほしいと思うけど、この1年を見れば、いいときも悪いときもあったし、チームはそういう経験を経て強くなっていくのかなと思う」

 6月のコンフェデレーションズ杯は3戦全敗に終わり、8月のウルグアイ戦も2-4で敗れた。世界の強豪相手に厳しい結果が続き、周囲からは批判の声も強まった。

「もちろん、客観的な意見というのは大事だと思うし、耳を傾けることも大事だと思うけど、それ以上に自分たちの主観というか、継続してやっていくところはブレていなかった。結果が出なければ、周りの人にいろいろ言われるのはこの世界では当たり前。そういうのに左右されずにやれているのはこのチームの強さなのかなと思う」

 10月の東欧遠征は2試合連続の無得点で連敗。しかし、それもまたチームが成長する過程として意味のある敗戦だったと、長谷部は今、振り返る。

「あのときはうまくいかなくて、チーム全体が『自分たちがやろうとしていることはこれじゃない』と再確認できた。そういう意味では、10月の遠征は負けてよかったとは言わないけど、悪いところが出てよかったのかなと思う」

 常に順風満帆に進むわけではない。時には回り道も必要だということをコンフェデレーションズ杯以降の戦いが証明したのかもしれない。

「もちろん、一番いいのは悪いときがなくて右肩上がりに成長していくことだと思うけど、なかなかそういうわけにもいかないので、終わりよければすべて良しじゃないけど、最後に内容があって結果も出たことはポジティブなことだと思う」

 オランダはFIFAランキング8位、ベルギーは同5位。ベルギーは来年のブラジルW杯でも第1シードに入る。とはいえ、今回の結果がそのまま本大会につながるとは考えていない。

「内容も結果も伴ったというのはすごく自信になると思う。でも、オランダもそうだったけど、ベルギーも本調子だったかというと、そうではなかったと、やっていて感じた。正直、ブラジルやウルグアイの方が相手の強さを感じた。だから、冷静に分析しないといけない」

 危機感と逆風の中、チームは団結し、反発力を見せた。だからこそ、ここで立ち止まるわけにはいかない。結果に一喜一憂しないというのは、勝ったあとにこそ必要なことであり、選手たち自身がだれよりもそのことを分かっている。

(取材・文 西山紘平)

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