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俊輔をベンチから引っ張り出したJFL長野は延長で横浜FMに敗れる

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[11.20 天皇杯4回戦 横浜FM2-1AC長野パルセイロ 日産ス]

 天皇杯は20日、4回戦を各地で行い、J1の横浜F・マリノスAC長野パルセイロ(長野県代表)と対戦した。前半31分にオウンゴールでした横浜FMだったが、引いた長野を崩すことはできない。逆に速攻から好機をつくる長野は前半37分、FW宇野沢祐二が直接FKを決めて試合を振り出しに戻した。攻め手のない横浜FMは、後半⒕分にMF中村俊輔を起用する。一方的にボールを持ち、中村のセットプレーやパスを起点に好機をつくったが、90分間では得点を挙げられずに延長に突入した。それでも延長前半7分、FW藤田祥史が追加点を挙げると、これが決勝点となり、横浜FMが2-1で長野に勝利。ベスト8に進出した。

 横浜FMは10日のJ1第31節・名古屋戦(1-2)からスタメンを3人変更。DF中澤佑二がベンチ外となり、DFファビオが先発入り。また、中盤ではMF小椋祥平がベンチに入り、MF斎藤学はベンチ外に。MF熊谷アンドリューとMF佐藤優平が先発した。名古屋戦ではベンチ外となっていたMF中村俊輔もベンチに戻っている。一方、JFL第33節のSC相模原戦(1-2)から中2日で格上との一戦を迎えた長野は、3-4-3の布陣でJ1の首位を走る相手との一戦に臨んでいる。
[スタメン&布陣はコチラ]

 横浜FMがボールを保持したときには、両WBと両SHが一列下がり、宇野沢を最前線に残す5-4-1の布陣になる長野は、横浜FMに攻撃を加速させるスペースを与えない。格上の攻め手を与えずにバックパスやミスを誘発すると、そこに一気に圧力を掛けて好機をつくっていく。前半8分には左サイドから中にドリブルした宇野沢が、MF高野耕平に横パスを出す。シュートに持ち込んだ高野だったが、DFに体を寄せられてミートできない。同15分にも長野は横浜FMのミスを突き、MF田中恵太の縦パスからFW青木翔太がシュートに持ち込むが、ボールはゴール左へと外れて行った。

 しかし、前半31分。先制したのは横浜FMだった。それまでMF兵藤慎剛やFWマルキーニョスのミドルシュートしか攻め手がなかったが、アタッキングサードで細かくパスをつなぐと、左サイドを抜け出した佐藤がゴール前に速いボールを折り返す。これがDF松原優吉に当たってゴールに決まった。

 先制された長野だが、その後も集中を切らさずに、相手のミスからチャンスをつくる。前半37分には速攻からドリブルを仕掛けた青木が倒されてFKを獲得。これをJFLで今季20得点を挙げて得点ランクのトップに立つ宇野沢が、壁の外から巻く見事なFKを決めて試合を振り出しに戻した。その後も長野は多くのチャンスをつくる。前半終了間際には左サイドからのクロスを田中恵がヘッドで合わせたが、これはクロスバーに嫌われて逆転はできなかった。

 後半に入り、長野は青木を下げて、C大阪から期限付き移籍で加入しているMF岡田武瑠を起用する。しかし、前半以上に圧力を掛けてくる横浜FMに対し、なかなかボールを持つことはできない。後半11分にはマルキーニョスに強烈なシュートを放たれたが、枠外に逸れていった。

 圧倒的にボールを保持しながらも、フィニッシュに持ち込めない横浜FMは後半14分に中村俊輔をピッチに送り出す。その4分後、横浜FMは右サイドの深い位置でFKを得ると、中村がゴール前に精度の高いボールを入れる。ファビオがヘッドで合わせたが、ボールはクロスバーを叩いた。90分で試合を決めたい横浜FMは、同32分に富沢をベンチに下げて、藤田を投入し、4-4-2に布陣を変更する。同39分には再び中村のCKから、今度はDF栗原勇蔵がヘディングでゴールを狙ったが、これは枠を捉えられない。その後も低い位置でプレーする中村を中心に、大きなパス交換で揺さぶりを掛ける横浜FMは、後半41分に左サイドからドゥトラがフリーになってゴール前にクロスを入れるが、中央で体を張って守る長野の守備を崩しきれない。

 残り時間が5分を切ると、長野が前にボールを運び始める。後半43分には中村からボールを奪った有永が、宇野沢にボールを預けて前線に駆ける。リターンパスを右サイドの深い位置で受けて、ゴール前にクロスを入れたが、ボールは力なくDFに引っ掛かってしまう。同45分には横浜FMが最後の交代枠で兵藤を下げて、MF端戸仁を起用する。ロスタイムには左サイドから速いクロスを入れた横浜FMだが、ゴール前で合わせられる選手がいない。このまま後半はスコアレスで終わり、試合は延長戦に突入した。

 PA内にボールを運べなかった横浜FMだったが、延長前半7分には最終ラインのギャップを突き、藤田が待望の追加点を挙げる。その後も中村の直接FKなどでゴールを脅かした横浜FMが、1点のリードで延長前半を終えた。

 延長後半開始から長野は高野に代えて、MF野澤健一を起用し、布陣も4-4-2に変更した。2分には右サイドの深い位置から西口がクロスを入れたが、ゴール前でシュートを打てない。延長後半7分には2トップの一角に入った岡田が、最終ラインの裏を取る。GK榎本哲也と1対1になる決定機を迎えたが、シュートを右に外してしまい、千載一遇のチャンスを逃した。11分にも長野は、岡田のスルーパスを受けた宇野沢がシュートを放ったが、GK榎本に阻まれる。さらに同15分にも宇野沢がPA内から左足でシュートしたが、ボールは右に逸れた。このまま2-1でJ1首位の横浜FMがJFL王者の長野に競り勝ち、準々決勝に進出している。

(取材・文 河合拓)
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