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横浜FMを追い詰めるも…美濃部監督「非常にショックでした」

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[11.20 天皇杯4回戦 横浜FM2-1AC長野パルセイロ 日産ス]

 MF中村俊輔が「(長野は)J2でも上の方でできる」と言えば、樋口靖洋監督も試合後の会見で「長野さんが非常に素晴らしいサッカーを展開されて、かなり苦しめられたというのが正直なところです」とコメントするなど、AC長野パルセイロは対戦した横浜F・マリノスに強烈なインパクトを残した。

 今シーズンのJFLで2節を残し、悲願の初優勝を決めた長野は、J1で首位に立つ横浜FMと熱戦を繰り広げた。前半31分にオウンゴールで先制されながらも、その7分後にはエースのFW宇野沢祐次がゴールを決めて、試合を振り出しに戻す。以降も積極的なプレッシングで相手のミスを誘発し、速攻からビッグチャンスをつくり出した。延長前半に再びリードされてからも、何度か横浜FMゴールに迫っていた。1-2で敗れたものの、健闘したと評する人が多かっただろう。

 しかし、長野を率いる美濃部直彦監督は、「ショックだった」と、チームの戦いぶりを振り返った。

「私自身がもっとも悔しいのは、自分たちがJFLでやってきた攻撃的なサッカーというか、ビルドアップからしっかりつないで、いろんなアイディアを持って(相手守備を)破ってきたことが、まったくできなかったこと。そこに力の差を感じることがありました。守備はある程度、計算できますが、攻撃のところでもっともっと自分たちがやらないといけないところで、できなかった。そのことは非常に僕自身ショックでした。選手がパスをつなぐことにストレスを感じているというか、ビビっている姿勢だったので。それでは自信を持って『攻撃的サッカーをやっています』と言えないと思う。そういう意味では今日、僕自身は非常にショックでした」

 彼らにとっての日常である『JFL』とは、異なるレベルの対戦相手、異なる規模のスタジアム。さらに普段は経験していないナイターゲーム。そうしたいろんな非日常が重なり、本来の長野のサッカーができなかった。

「1対1の個の力、一瞬のスピード。そういうところがJFLとは、かなり違う。選手たちは、それを最初に体感してしまって、そこで相手が来ていないのにも関わらずビビっていたりしました。メンタル的にも、技術的にも、そういうところが一つ課題だったんじゃないかなと思います」、

 今季はアマチュア選手もチームに混在しているが、J3に参入する来季からは、全選手がプロ契約を結ぶ。試合後のロッカールームでは、全員の前で延長後半に決定機を生かせなかったMF岡田武瑠を名指しして「最後のところで、岡田が決めるか、決めないかで、プロとしての評価が変わってくる」と、話したという。

 厳しい言葉を並べるのも、すべてはプロとして歩み始める選手、クラブを思ってこそ。「今年の天皇杯のチャレンジは、今日の敗戦を持って終了しました」と話した指揮官だが、本当のチャレンジがここから始まることを誰よりも理解している。

(取材・文 河合拓)
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