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決定機を逸した長野MF岡田武瑠「あれが入っていたら…」

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[11.20 天皇杯4回戦 横浜FM2-1AC長野パルセイロ 日産ス]

 J1の名古屋グランパス、J2のギラヴァンツ北九州を破り、大会に旋風を巻き起こしていたAC長野パルセイロ。20日に行われた4回戦の横浜F・マリノス戦でも、前後半を1-1で終えて、延長戦まで持ち込んだが、延長前半にFW藤田祥史に決勝点を許してしまい、1-2で敗れている。

 延長前半7分に失点してから、長野は反撃に出てチャンスもつくった。最大の決定機は、延長後半7分の場面だ。延長後半から4-4-2に布陣を変更した長野は、FWにポジションを上げた岡田武瑠が最終ラインの裏を取って、GKと1対1の局面を迎える。余裕をもってシュートを打てる場面だったが、慌てるように打ったシュートがポストの右に外れると、岡田は天を仰いだ。

 今年5月にC大阪から長野に期限付き移籍で加入した19歳は、「相手は格上とわかっていたので、そういう相手にどれだけできるか、自分の中で確かめたかった。J1首位の相手に、自分たちのサッカーがどれだけできるか。そういうことを考えて、チームのためにやるだけでした」と、試合に入る前の心境を振り返る。実際に後半開始からピッチに立つと「これがJ1の首位なんだ」と思い知らされたという。

「時間帯に応じたボール回しだったり、時間の使い方だったりがすごくうまかった。何回かはチャンスもつくれましたけど、自分たちのサッカーがほとんどできなかったので、通用したという感覚は、ほとんど持てていません。もっと自分たちのサッカーができたんじゃないかなって思います」

 自分たちのスタイルで戦えなかった長野だが、それでも決定機はつくった。延長後半7分、自身が迎えた決定機について、岡田は「あれが入っていたら」と、唇を噛む。「オフサイドかなと少し思いましたが、それ以上にギリギリで『GKに当たるかな?』って思ったんです、一瞬。でも、あとから見ていた人に聞いたら『踏み込んで打てるくらい、余裕があったよ』と言われたので…。GKに当たってしまうと思って、トゥキックで打ったんですが、ああいうところで決めないと」と、反省した。

 試合後のロッカールームで美濃部直彦監督は「最後のところで、岡田が決めるか、決めないか。そこでプロとしての評価が変わってくる」と、チーム全員の前で苦言を呈したことを明かした。岡田も「本当に、その通りだと思う」と頷く。

「決めたかったです。あそこで決められたら、チームを助けることができましたし…。ああいうところで決めないと。これからもっと先、いろんな場面でこういうことがあると思うので、しっかり決めていけたらと思います」

 横浜FMのMF中村俊輔と同じピッチにも立ち、「全然、ボールが取れませんでした」と、大きな刺激を受けた若武者は「今後、活躍していくためには、一つひとつのシュートであったり、ドリブル、パス。その大切さを実感することができたので、しっかりやっていきたいです」と、横浜の夜空に飛躍を誓った。

(取材・文 河合拓)
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