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[MOM902]東福岡MF松田天馬(3年)_「ヒガシの10番」全国決めるゴール

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.23 全国高校選手権福岡県予選決勝 東福岡4-3九州国際大付 レベスタ]

 決勝で3得点を上げたFW木戸皓貴(3年)の爆発力は衝撃的だったが、東福岡を全国へ導くゴールを決めたU-18日本代表候補MF松田天馬(3年)が80分間見せたプレーも非常に質が高く、インパクトがあった。左サイドで先発したこの日、松田は相手のプレッシャーを苦にすることなく、余裕あるプレーの連続。抜群のコントロールでボールを収めると、ドリブル、ワンツーで相手守備陣を振り回した。

 1-0の前半21分には緩急をつけたドリブルでDF3人を振りきって強烈な右足ミドル。ゴール左を捉えた一撃はGKに阻まれたものの、こぼれ球を木戸がゴールへ流し込んでリードを広げた。さらに2-3の後半開始直後には、左サイドでタメをつくってFW中島賢星(2年)へスルーパス。3点目の起点となる働きを見せた。

 そして3-3で迎えた後半34分に「優勝決定弾」を決める。MF草野昂希(3年)の右クロスをファーサイドのMF赤木翼(2年)が頭で折り返すと、これをPAに入ったところで受けた松田がコントロールから右足で「ズドン」。目の前にDF2人がいたが、「もう思い切りストレートで打ちました」というシュートは狭いニアサイドを破ってゴール左上へ突き刺さった。熱戦を締めくくるにふさわしい鮮烈ゴール。「去年も、一昨年も、自分が試合に出て負けて悔しい思いをしている。もうあんな思いはしたくないという強い思いが出てきて、それがつながったと思います」と語った松田の決勝ゴールによって日本一2回の名門が全国復帰を果たした。

 松田は164cmと小柄で決してスピードもない。豪快な動きや、派手なプレーをする訳でもない。それでも的確な技術と鋭い読みで違いをつくり、周りを活かしつつ自ら仕留める意識も失わない。その男が決勝でも輝きを放った。東福岡の森重潤也監督も「人間的にもしっかりしている。このスピードの中で、狭い局面でもあの小さな身体でやっている。(常に周囲を)見ているし、ボールを失わない。チームで一番必要な選手だと思っています」と絶賛。200人を超える部員の中で10番を任される松田は大きな信頼を受け、それにプレーで応えている。

「一番はボールを失わないところと怖いプレーヤーになることを目指している。(身長が)デカイにこしたことはないですけど、小さくてもいろいろなプレーができる。身体を入れやすいし、自分のストロングポイントにしている。(10番の)責任は感じていますし、10番をつけている以上、自分がやらなきゃと思っている」。自身初の選手権全国大会で、狙うは日本一。ヒガシの10番は「いつも通り空気に飲まれないように」自分の役割を静かに完遂する。

(取材・文 吉田太郎)
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