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[プリンスリーグ関東1部]大宮ユースが執念のF東京U-18撃破!プレミアリーグ参入戦出場圏内3位浮上!!

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[11.30 プリンスリーグ関東1部第17節 大宮ユース4-2F東京U-18 駒場]

 30日に行われた高円宮杯U-18サッカーリーグ2013プリンスリーグ関東1部第17節1日目で3位のFC東京U-18(東京)と4位・大宮アルディージャユース(埼玉)が激突。大宮がトップチーム昇格内定のU-18日本代表MF大山啓輔(3年)の2ゴールなど4-2で勝ち、プレミアリーグ参入戦(12月)出場圏内の3位へ浮上した。

 一時2点差を挽回して勢いで優っていたF東京を初のプレミアリーグ参入を狙う大宮がねじ伏せた。残り2試合でF東京と勝ち点2差の大宮にとっては、敗れれば4位以下が確定し、高校年代最高峰のリーグ戦への来季参入の権利がなくなるという大一番。その中で大宮は前半1分、PAのこぼれ球を大山が押し込んで先制すると、互いになかなかシュートシーンをつくれないまま迎えた36分には右中間でボールを持った大山のスルーパスにトップスピードで走りこんだ右SB山崎浩介(3年)が中央へ折り返す。これに1年生FW川田拳登が飛び込むと、ボールはクリアしようとしたF東京守備陣に当たってゆっくりとゴールラインを越えた。

 勝ち点3奪取しか考えていなかった大宮が幸先良く2点を先取した。だが、11年度以来となるプレミアリーグ復帰を目指すF東京も直後の37分、前半特に脅威となっていた左MF蓮川雄大(2年)が左サイドを縦に切り裂いてからクロス。これをファーサイドのMF長澤皓祐(2年)が左足でゴールへ流し込んで1点差とした。ポゼッションで上回り、前線、サイドで起点をつくってくる大宮に対し、やや苦しい試合展開となっていたF東京はこのゴールで踏みとどまる。そして前半終了間際にFW矢島輝一(3年)が右クロスから決定的なヘッドを放つと、後半4分には蓮川のシュートのこぼれ球から矢島が渾身の右足シュート。DFのブロックにあいながらも執念の一撃がゴールを破ってスコアは2-2となった。

 F東京の先発の3年生はわずか2人のみ。そのうちのひとりでキャプテンマークを巻いた矢島のゴールで試合の流れはF東京へ傾いた。10分には敵陣左サイドでDFにプレッシャーをかけた蓮川がインターセプトして一気にPAへ潜り込み、14分には相手DFの連係ミスからインターセプトしたFW佐々木渉(2年)が独走して決定的な右足シュートを放つ。だが、大宮も西脇徹也監督が「(F東京が)あれだけ前からプレッシャー来て、ウチの選手たちは中盤がスピードのある子たちではないので食われたり。またビルドアップが雑だったりしたので、押し返さないとこのままではやられるかなというのがあった」と高さのある左MF小沢佑太(3年)を前線に移行してカウンター気味の攻撃で押し返す。小沢を起点に読みのいい大山やMF中家亮(3年)がセカンドボールを拾って攻める大宮は19分に川田が決定的な左足シュートを放ち、24分には左サイドを突いた大山のクロスから川田が撃ったヘディングシュートがクロスバーを叩いた。

 伝統的に試合終盤に強さを発揮してきたF東京が相手を飲み込みにかかるが、大宮も怯まない。大宮は守備面でも前半苦しめられた蓮川を2人がかりで挟み込んでPAから遠ざけると、入ってくるクロスはこの試合を想定して一週間、スモールコートでクロスゲームを繰り返していたという練習の成果を発揮して鯉沼晃(3年)と高山和真(2年)の両CBがことごとく跳ね返していく。そして迎えた33分、試合の軸は再び大宮に傾いた。左サイドの川田からのパスをゴール正面左寄りの位置で受けた大山が右足一閃。鮮やかな弧を描いた一撃はGKの手の先の抜けてゴール右上隅へ吸い込まれた。「監督も3年生を集めて昨日も話合って、3年生の中でも『何か残そうぜ』、という話を全員でしていた。出ている人は2年生も1年生も多いですけどついてきてくれて、そういう(プレミアリーグ昇格へかける)姿を3年生が見せれたのかなと思います」と大山。勝利への執念、強い思いを渾身のガッツポーズで表現した10番はピッチサイドの控え選手の輪へ興奮した表情のまま飛び込んだ。

 F東京はすぐにU-18日本代表MF川上翔平(3年)を投入するが、大宮の守備は崩れない。逆にアディショナルタイム、大宮は交代出場のFW里見直樹(2年)が右サイドから出したラストパスを受けたMF小島幹敏(2年)が左足でゴールを破り、ダメ押し。4-2で「直接対決」を制した。

 大宮は99年にユースチームが発足し、10年にプリンスリーグ関東初参戦。そこから4年目の今年、かつて1部8位が最高だったチームが3位につけて最高峰のプレミアリーグへ駆け上がろうとしている。就任2年目で好成績をもたらしている西脇監督は「今年、彼らに言ったのは育成の歴史をつくるというか、基盤をつくろうと。今の高3が(大宮)ジュニアの一期生でクラブのアカデミーとしての積み上げ、育成のスタッフたち含めたみんなの活動の賜物ではないかと思いますね。(選手個々も精神的に逞しくなり、この日も)絶え間なく動き続けるとか、あきらめないというところで最後相手を上回ってくることができたのではないかと思います」と目を細めていた。

 12月8日の最終節では首位・前橋育英高(群馬)と激突。4位・市立船橋高(千葉)、5位・F東京との勝ち点差は1のため、自力でのプレミアリーグ参入戦出場を決めるためには勝つしかない。大山が累積警告で出場停止となることから厳しい戦いとなることが予想されるが、指揮官は「彼(大山)がいなくても、いろいろな試合で彼らは勝ってきていますから、しっかりと準備して臨めればいいかなと思います」と前を向いた。「ユース年代で何か残して後輩に受け継いでいきたい」(大山)という願いを3年生、そして1、2年生全員で叶える。

[写真]後半33分、勝ち越しゴールを決めた大宮ユース・大山(右)が渾身のガッツポーズ

(取材・文 吉田太郎)
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