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逆転Vを支えた愛娘の言葉、広島DF水本「2つのメダルを2人の娘に」

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[12.7 J1第34節 鹿島0-2広島 カシマ]

 愛娘の言葉が、崖っ縁に追い込まれた状況での支えになった。34試合で29失点。リーグ最少失点で連覇を決めたサンフレッチェ広島のDF水本裕貴は「DF陣だけでなく、FW、MFの選手が体を張ってくれたおかげで後ろも助けられた。チーム全員のハードワークのおかげ」とチームメイトに感謝し、「去年は(最少失点より)1点多かった。今年、リーグ最少失点で終えられたことはうれしい」と胸を張った。

「春先はケガ人も出て、ACLでは1勝もできなかった。夏場にも3連敗して、チームとして苦しかったけど、やることを変えずに自分たちの力を信じてやってこれたことが優勝の要因だと思う」

 目先の結果にもブレずに自分たちのサッカーを貫いたことが、最終節での逆転Vを呼び込んだ。とはいえ、苦しい状況に水本自身、気持ちが折れそうになることがなかったわけではない。11月23日の第32節・C大阪戦。敵地での上位決戦に乗り込んだ広島は0-1で敗れ、首位・横浜FMとは残り2試合で勝ち点5差に開いた。

 完全に連覇が遠のいたかに思われた一戦。あきらめたわけではないが、落ち込んで広島に戻った水本を出迎えたのが3歳の長女だった。「大丈夫だよ。きっと次は勝てるよ」。必死に励まそうとする愛娘の言葉に奮い立った。気持ちを切り替え、次節30日の湘南戦に1-0で競り勝つと、優勝に王手をかけていた横浜FMが新潟に敗戦。優勝に望みをつなぎ、最終節での逆転優勝につながった。

「娘のおかげで切り替えることができた。娘に感謝です」。昨年11月27日には第2子となる次女が誕生。昨季、初優勝したC大阪戦の3日後のことだった。「去年、優勝したとき、2人目の子供はまだ生まれてなかった。今年も優勝できて、見てくれていたと思うし、これでメダルが2つになったので、2つのメダルを2人の娘にかけてあげたい」。苦しいときに支えてくれた家族に捧げる2連覇。激闘を終えた水本はパパの顔に戻って、チームバスに乗り込んだ。

(取材・文 西山紘平)

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