beacon

世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」前回、世界16人に残ったFW木下「いい意味でもっと目立ってほしい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 世界的スポーツブランドのナイキは、世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」(旧THE CHANCE)を2014年も開催することを発表した。「NIKE CHANCE」とはプロ契約を交わしていない若きフットボールプレーヤーを対象に、世界各国で実施されるセレクションプロジェクト。“日本代表”の座を懸けた国内選考会は14年1月25日(大阪ファイナル)と2月1日(東京ファイナル)にそれぞれ実施され、各合格者1名が来年3月にイギリスで開催されるグローバルファイナルへの出場権を獲得する。世界中から集まる予定の“世界選考”グローバルファイナルで選ばれれば、イングランド・プレミアリーグが運営するナイキアカデミーへ入学。海外でのプロ入りに近づくことができる。
 
 日本人では昨年、滝川二高(兵庫)に所属していたFW木下稜介(現サバデルB)がグローバルファイナルをアジア人で唯一突破し、ユベントス(イタリア)やマンチェスター・U(イングランド)といった欧州名門のアカデミー所属選手と実戦で戦う約6週間のグローバル・トレーニング・ツアーに参加。最終的にナイキアカデミー入りは叶わなかったものの、世界でその実力の高さを示している。国内選考会を突破し、世界で貴重な経験を積んだ木下が「NIKE CHANCE」について語ってくれた。


―現在はスペインで挑戦中。「NIKE CHANCE」を経験したことでサッカー人生が変わったと思うが、木下選手にとって「NIKE CHANCE」とは
「自分を知ることができたというか、まさに『チャンス』があって受けに行って、人生がここで変わった」

―まず1年前の国内セレクションを振り返ると
「最初のプレーが悪かったら後々も悪くなる。だから最初のプレーでインパクトを残してやろうと思っていた」

―国内の最終選考会はスカウト担当の風間八宏さんが見ている中でのプレー。緊張していた?
「緊張していたというのはあまりなかった。受かる気とかは正直なかったんですけど『やったろ』というリラックスした感じでやっていました。やっているうちは合格とかあまり考えていなかった。とにかく全力でやっていただけだった」

―合格した瞬間も実感がないという印象だった
「正直、(合格者として)呼ばれるとは思っていたんですけど、自分が海外に行けるチャンスをもらえるとは想像していなかったです」

―国内選考を突破して次はバルセロナで世界各国・地域から集まった100人によるグローバルファイナル。外国人相手のセレクションで感じたことは?
「海外の人とプレーするのは初めてだった。楽しみにしていました。めっちゃ上手くて、強いというイメージがあったんですけど、最初見たときは思っていたよりも『上手くない』と思った。ただ試合をやっていたときはやっぱり『上手いな』と感じましたね」

―50か国以上の国・地域から集まった選手たちに勝って(グローバル・トレーニング・ツアーに参加する)合格者の16人に入った瞬間の気持ちは
「日本のセレクション以上にヤバかったですね。今までで一番嬉しかったですね」

―あの合格があったからこそ、今、海外でチャンスを得ようとしている。自分の意識も変わった?
「『CHANCE』の16人に選ばれたことは自信を持って良かったと思うし、それがあったから海外へ行こうと思った。いい経験をさせてもらったので、この経験を海外で活かすしかないと思った。それまではあまり海外でプレーすることは考えていなかった」

―木下選手の姿を見て『オレも』と思った人が多いと思うが、「CHANCE」を受けようと思っている高校生たちへのメッセージを
「いつもやっている通り、普段通りの自分というか、ヘタに自分をうまく見せないようにやってもらいたい」

―どれだけ自分を印象づけられるかが大事になってくる
「セレクションなんで、周りの人達と同じプレーをしても意味が無い。(自分の武器を出して)いい意味でもっと目立ってほしい」

―『NIKE CHANCE』をより多くの人に知ってほしいと思う?
「こんな機会は滅多にないと思うので、海外に挑戦したいのなら絶対に行くべきだと思う」

―全国大会に出ない選手たちはスカウトの目に止まることが少ない。自分自身、もっといろいろな人に見てもらいたいという気持ちは持っていた?
「ありました。それはもちろん。先生とかからは『CHANCE』を受けて良かったなと言われました」

―『CHANCE』から1年経ってみて自分自身、ここが変わったと思うことは?
「自分ではあまり実感がないんですけど、逆にもっとやらないかんなと思いますね」

―今足りないものとは?
「サッカー面では、守備をもっとやるってことで、それと結果を残すということ。私生活ではコミュニケーションとか、サッカー選手としての自覚というか、人間的にも成長しなければいけないと思います」

―サバデルではどのような指示を受けることが多い?
「動き方というか戦術的なことを言われることが多い。もっと強く、みたいなこととか守備のことをよく言われますね」

―現在の生活はどう?
「サッカーだけ、みたいな感じですね。サッカーだけしか考えていない。現在プレーしているのはサバデルのB。チームのユニフォームとかを管理する人のところにホームステイしている。普段の生活はスペイン語オンリー。(まだまだだが)はじめの頃に比べたら(会話も)良くなっていると思いますけれど」

―最後に現在の夢を
「まずはトップに上がること。まだ不安なんですけど、信じてやります」

★NIKE CHANCEの詳細はこちら

(取材・文 吉田太郎)

TOP