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史上最年長35歳でのMVP、俊輔「自分がさらに上に行ける感覚はある」

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 Jリーグは10日、横浜アリーナで「2013 Jリーグアウォーズ」を開催した。史上初となる2度目の最優秀選手賞(MVP)に選ばれた横浜F・マリノスのMF中村俊輔は「13年前と基本的には変わりなく、素直にうれしい」と、受賞の喜びを語った。

 2000年以来、13年ぶり2度目のMVPは、35歳という史上最年長での受賞となった。「これだけ若いときとかけ離れていると、自分が実験台じゃないけど、こうすればこうなるというのが分かった。自分が辞めたときのアドバイスが一つ増えたかなと思う」。前回の受賞時は22歳。「W杯ぐらいからいろんな部分で落ちてきているのは分かった」という俊輔にとって、ここ数年は自分との“闘い”でもあった。

「試合が終わってマリノスタウンに帰って、プールに入って、ストレッチして、エアロバイクをこいで、交代浴をして。その間、1時間以上も待ってくれているトレーナーがいる。そういうことに感謝したいし、チームメイトを含めたそういう良い環境が、自分のプレーよりも(MVP獲得の)要因になったと思う」

 自分を支えてくれたトレーナーやコーチングスタッフ、一緒に戦ったチームメイトへの感謝。だからこそ、キャプテンとして臨んだ今シーズン、あと一歩のところでタイトルを逃した悔しさが強かった。

「上から目線だけど、優勝したかったし、させたかった。一つになって何かをつかむ経験はサッカー人生で何回かしかない。それをユース上がりの若い選手にさせたかったし、自分もしたかった。そういうことがいい財産になるし、それを味わわせたかった」

 35歳のシーズン。俊輔自身、「最後の2試合をやっているときは(優勝する)ラストチャンスだと思ってやっていた」と言う。しかし、今は違う。「数日経って、頭の整理をする中で、自分がさらに上に行ける感覚はある。それを練習してやるだけだと思う」と力強く言った。

「今シーズンはゴールが増えても、アシストが少なかった。アシストが増えて、ゴールも15点ぐらいいくのが本当のトップ下だと思う」。だれもが納得のMVPだ。それだけのパフォーマンスを見せてきたが、本人は満足していない。

「悔しい感じが自分の中にある限りは、年齢に関係なく、伸びる余地はあると思う」。35歳でのMVP受賞は、まだまだ成長していけるという確信をもたらした。「多少の自信は付くと思う。この受賞で、もっと上に行けるイメージができたというのもある」。来年6月には36歳になる。それでも日本の誇るレフティーは、さらなる進化を遂げようとしている。

(取材・文 西山紘平)

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