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決意と共に臨む全国舞台、富岡高校「頑張っている姿を見てもらいたい」

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 高校日本一を懸けた全国大会開幕まであと20日を切った。参加48校の中でもトップクラスの注目の中、決意を持って夢舞台に臨むチームがある。福島県代表の富岡高校だ。

「戦っている姿は本当に逞しかったですね。決勝の相手も全国レベルだったけれど、ウチの選手たちが強く見えたし、チームとしてまとまっていた」。佐藤弘八監督はそう振り返ったが、今年の福島県予選は富岡のブルーのユニフォームが逞しい戦いぶりで駆け抜けた。力強い動きで相手を押しこむFW高木洋輔(3年)とFW内山翔太(3年)の強力2トップに加え、決勝でチームに歓喜をもたらしたMF黒澤健太(3年)の右足FK。個々の技術の高さを感じさせるパスワークで主導権を握り、そして走り切ることも、身体を張ることもできる守備陣たちがライバルにゴールを割らせなかった。

 全国大会へ挑む彼らの胸の中にはひとつの思いが共通している。それは笑顔で福島県予選を闘いぬいた自分たちと同じように富岡、福島の人々を笑顔にしたいという思い。DF古谷将寛(3年)は「国立のピッチで戦って、もっと全国の皆さんとか、被災された皆さんに自分たちが全国で頑張っている姿を見てもらいたい。自分たちが勇気を与えたりできると思うので、それを目指して頑張っていきたい」と言い切った。

 11年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原発事故の影響は今も富岡に大きな影響を及ぼしている。校舎が避難指示区域内にあることから、“本来の場所”で授業を受けることも、自慢の人工芝グラウンドを使用することもできない。サッカー部員は普段、4つのサテライト校のひとつである福島北高校内にある仮設校舎に通学。ただ、高木が「この学校に来てよかったなと思いますし、(周囲の協力があって福島市内の人工芝グラウンドを借りて練習するなど)常にいい環境でサッカーできることに感謝しなければいけない。この3年間で学んだことは大きかったと思います」と語り、FW保田省吾(3年)も「(自分たちの学校で練習できないことは)最初はやっぱり抵抗がありました。このまま3年間ずっとこうなのかなと。でもこういう状況にも関わらず、サッカーができていることに感謝している」と微笑んだように、彼らは周囲の支えのおかげで最大限の環境の中でサッカーに取り組むことができている。

 今度は自分たちが恩返しする番だ。過去、気負いすぎて失敗してしまった反省から笑顔を意識して戦った県予選。全国大会へ向けて練習に励む彼らからも、プレッシャーより「楽しもう」という空気が伝わってくる。同時に目標は高い。GK高瀬凌平主将(3年)は「震災の影響とかで避難している人たちに元気を与えるためには全国大会へ出場してそこで躍動すること。やるからには優勝目指してやるという大きな目標を持って取り組み続けていた。優勝目指して本気でやっていきますし、そのためには一戦一戦、目の前の相手に勝っていかなければダメ。その一戦を大事にしていきたい」と力を込めた。

 震災の影響もあって、全国大会で大きな注目を集めるだろう彼らの足下は、ネオンカラー(蛍光色)に彩られている。ちょうど取材日はadidasが14年W杯ブラジル大会へ向け、ブラジルをイメージした蛍光色を採用したフットボールスパイク『サンバ コレクション』シリーズを発表した日。富岡の練習場には4つのプレーヤータイプに合わせたモデル「アディゼロ F50」「プレデター リーサルゾーン」「ナイトロチャージ」「パティーク 11 プロ」が届けられ、彼らは日本で最も早く『サンバ コレクション』シリーズをテストした高校チームになった。

 グラウンドに並べられた4色のスパイクを前に練習前からやや興奮気味の選手たち。adidas史上最軽量の高速スパイク「アディゼロ F50」に「軽い!」と唸れば、必殺5ゾーンがボールコントロールに違いを生み出す「プレデター リーサルゾーン」、チームを助けるエンジンプレーヤーのための一足「ナイトロチャージ」、そして日本で開発され、世界へ発信されている新モデル「パティーク 11 プロ」にそれぞれ「ボールタッチがヤバイ!」とか「凄え、フィットする!」など感動していた。

「チームの武器はキミの個性だ」。この4つのスパイクは選手が怪我をしないための最大限のサポートが施されている一方、スピード、テクニック、そして運動量とそれぞれの選手たちが持っている個性をより光らせるための武器が搭載されている。実際にスパイクを履き比べた佐藤監督は「最後の最後は本当にちょっとの差じゃないですか。トップになってくると、こだわらないといいプレーができないんでしょうね。ポジションで求められるものも違うし、その部分を凄くこだわってつくっているんだなと思いました」と感想を口にしていた。

 全国大会のような接戦では半歩の速さの差やわずかな頑張りの差が勝負を決めてしまう。自分たちを活かす武器を選ぶことも含めて、富岡は最高の準備をして全国大会へ臨む。高瀬は「(自分たちをサポートしてくれる人々への)恩返しというか、感謝の気持ちをもって倍以上の結果を出して、躍動していかなければダメ」。県予選を突破したことで満足している選手はいない。プレッシャーを楽しみながら、富岡は支えてくれた人々のためにも結果を出す。

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(取材・文 吉田太郎)

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